訪韓、イラク特質疑、ウェークアップ

仙谷議員らと久しぶりの訪韓。先方も夏休み中とあってパーフェクトとはいかなかったが、今後につながるきわめて意義深い3日間となりました。韓国へ行って先方のご機嫌とって来ただけではないか、との心配する方も多いようですが言うべきことを言うべき相手に伝える、との外交の基本を貫いたつもりです。北朝鮮、靖国、竹島、米韓同盟、中国などをめぐる訪韓の詳細についてはきちっと報告させていただきます。

ただし、11日に衆院イラク支援特別委員会で質疑に立つことになり、その準備もあって報告は週末にずれ込んでしまうことをお許しください。イラク特では、イラクでの航空自衛隊の活動とともに、閉会中審査というせっかくの機会なので、北朝鮮ミサイル発射や深刻化するレバノン紛争への日本政府の取り組みなどについても併せて質すつもりです。

さて、安倍官房長官の靖国参拝についての私の言及について、やはり何人かの方がご指摘になったとおりだと思います。谷垣財務相に対する批判と併せ、お詫びして撤回したいと思います。麻生外相の提案が問題解決するためにいかにすべきか相当苦悩した末に出されたものとの印象を強く持った余りに、参拝方法の「調整」で済まそうとしているかに見える安倍、谷垣両氏との比較を不必要な表現で行ってしまいました。

安倍さんの「工夫」は、たしかに考え抜かれた方法かもしれません。しかし、内閣総理大臣の参拝ともなれば、事はそれほど簡単ではないと思います。私としては、合祀対象者をめぐり安倍さんとは見解が異なりますので、あのように批判がましい表現を使ってしまいました。しかし、麻生私案で行っても実現にはなお相当な困難が予想される以上、「現状維持」を主張する安倍さんの行動にも一理あることを認めざるを得ません。

ここは、麻生さんが私案の中で何度も強調していた「靖国を慰霊と安息の場とし、静謐な祈りの場」とするための解決策を求めて真摯に議論を深めていかなければなりません。その際、私が思わずやってしまったような「政治利用(政敵を攻撃する材料に使う)」はこれを厳に慎まねばならないことを改めて銘記したいと思います。

土曜日には「靖国問題」で『ウェークアップ!ぷらす』に出演し、自民党の舛添参議院議員と議論することになりました。祖国のため戦いに命を捧げた尊い御霊とご遺族の皆さんの安息を汚さぬよう心静かに臨むつもりです。
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靖国に弥栄あれ

ついに、靖国問題煮の混迷に終止符を打つ具体的な解決策の提示が政治家からなされました。麻生外相の私案です。タイトルもなかなか練られていると思います。こそこそと隠れて参拝する方がいたり、外国からの圧力で単に自粛を表明する方がいる中で、次期総裁候補として批判を覚悟で体系的な解決策を提案した勇気に心から敬意を表したいと思います。

私見は3回にわたってこのブログでも述べてまいりましたし、HPの乾坤一擲コラムでもまとめて書かせていただきましたが、個人的には麻生私案を支持します。靖国神社が自主解散に応じるかどうか、非法人化・特殊法人化の法律案が出せるか、などまだまだ乗り越えなければならないハードルは沢山ありますが、靖国こそが唯一の戦没者追悼施設であることを国民的に再確認する意義は大きいと思います。ぜひ一日も早く、靖国神社を「正常化」(本来の戦没軍人・軍属の英霊を祀る社に戻す)するべく、国民的な議論を盛り上げて行きたいものです。

以下、産経新聞ウェッブサイトからの引用です。

麻生外相、靖国神社の非宗教法人化を
≪最終的に特殊法人に移行へ≫

 麻生太郎外相は8日午前の閣議後の記者会見で、靖国神社問題に関する見解「靖国に弥栄(いやさか)あれ」を公表した。宗教法人の靖国神社が全国の護国神社とともに自発的に解散して非宗教法人化し、最終的に特殊法人「国立追悼施設靖国社」(仮称)に移行させ、国家護持することを提唱している。「靖国社」の慰霊対象は特殊法人の設置法に明記し、「A級戦犯」分祀(ぶんし)を念頭に「国会が国民の代表として議論を尽くし、決断すべきだ」としている。

 靖国神社をめぐっては、安倍晋三官房長官が4月に参拝していたことが判明、小泉純一郎首相の8月15日参拝が注目されている。また、非宗教法人化は自民党の古賀誠元幹事長や中川秀直政調会長らも提唱している。党総裁選に出馬する意向の麻生氏は、靖国問題について「政治的取引材料にすることはあってはならない」との立場だが、靖国神社が現状のままであれば、首相に就任しても参拝を自粛するとみられる。

 麻生氏は見解で、靖国が唯一の戦没者追悼施設であると指摘。戦後、宗教法人とされたことについて「国家がなすべき戦死者慰霊を一宗教法人に丸投げした」と批判し、非宗教法人化による「国営化」の必要性を強調した。そのうえで、靖国神社が自発的に任意解散手続きをとり、財団法人などを経て特殊法人化する手順を示している。

 麻生氏は、こうした手続きによって天皇陛下や首相、外国首脳の靖国参拝が可能になるとして、「(手続きに)何年も費やすべきではない」と結んでいる。
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原爆症認定訴訟で再び原告全面勝訴!

今日、広島地裁(坂本倫城裁判長)は、被爆者援護法に基づく原爆症の認定申請を国が却下したのは違法だとして広島、山口、東京の被爆者ら41人が却下処分の取り消しなどを求めた訴訟で、「疾病はいずれも原爆の放射線が原因」などとして、全員を原爆症と認める原告勝訴の判決を言い渡しました。坂本裁判長は判決理由で「残留放射線による外部被ばくや内部被ばくを十分に検討しておらず、限界や弱点がある」と指摘。現行審査方法で算出される被ばく放射線量は「一応の最低限度の参考値」にすぎないとし、国の認定基準の妥当性を完全に否定しました。

ところで、被爆者手帳を持っている全国の被爆者は、06年3月末現在で26万人弱ですが、このうち原爆症と認定されたのはたったの2280人で、被爆者全体の1%にも満たないのです。「爆心から遠くなるほど人体に与える放射線の影響は少なくなる」との理論を機械的に適用して、厚労省は、白血病など同じ病気でも距離に応じて放射線量を推定し、多くのケースで原爆症認定を斥けてきたのです。しかし、00年に最高裁がこの方式について「未解明な部分を含む推定値」に過ぎないと批判して以来、この種の原爆症認定訴訟では、国の敗訴が続いてきた経緯があります。

そして、本判決では、以前のエントリーでも紹介した5月の大阪地裁判決に続き、今回の判決でも国は事実上完敗(連敗!)したこととなり、もはや厚労省の論拠は司法の場で完全に説得力を失ったといっても過言ではありません。5月の大阪地裁判決の直後には、ぬけぬけと国は控訴に踏み切りましたが、年老いた被爆者の皆さんの実情を考えれば、これ以上の遅延は許されません。

そこで、私たちは、今後の原爆症認定や被爆者援護行政の在り方に根本的な転換を政府に迫る「要望書」の作成を行い、判決結果が出る直前の本日午前、「核軍縮と原爆症認定基準の緩和を求める要望書」を、我が党の高木義明副代表に託し、厚生労働省にて赤松厚生労働副大臣にこれを手渡しました。赤松副大臣は要望を真摯に受け止める旨約束しましたが、引き続きあらゆる手段で行政監視を強めていかねばなりません。

ところで、さる7月31日に行われた東京都原爆被害者協議会主催の「原爆慰霊祭」に寄せた私のメッセージを掲載し、改めて原爆症認定基準の緩和に向けた決意表明とします。

     『第42回 東京都原爆犠牲者慰霊祭に寄せて』

 あの広島、長崎への原爆投下から61年目の夏がめぐってまいりました。
 唯一の被爆国として、私たち日本人は、二度と再び人類がこのような惨禍を被らぬよう、国際社会に対し戦後一貫して核軍縮を提唱してまいりました。しかし、隣国の中国や北朝鮮をはじめ、最近ではむしろ核兵器の世界的な拡散が顕著となっています。いまこそ、被爆者の皆さまの切実な声を世界に広め、アメリカやロシアを含めた本格的な核軍縮の国際運動を展開してまいらねばなりません。
 翻って、国内に目を転じますと、未だに被爆者の皆さまに対する国の補償や支援が十分でないことに、政治家の一人として誠に申し訳ない気持ちでいっぱいです。去る5月の大阪地裁判決により、原爆症認定訴訟はじつに8回連続で原告勝訴を勝ち取ることになりましたが、厚生労働省は直ちに控訴に踏み切るなど、国の姿勢はまったく改善されておりません。東京在住の被爆者の方々の平均年齢はすでに72歳を超え、昨年度だけでも176名の方々が亡くなられました。
 世界的な核軍縮の進展と国内外の被爆者の皆さんへの補償と支援は、唯一の被爆国である我が国政府が何が何でも実現させなければならない喫緊の政治課題です。本日の慰霊祭にあたり、「東友会」の皆さもとともに、原爆犠牲者の皆さまのご冥福を心よりお祈り申し上げ、政治の場でのさらなる努力をお誓いし私の挨拶とさせていただきます。

       平成十八年七月三十日

                          衆議院議員 長島 昭久

追記:前回のエントリーで皆さんにアドヴァイスをお願いしたところ、日本の外交に対する「素朴な疑問」の数々をお寄せいただき心より感謝申し上げます。メールで直に詳細な項目や強烈な批判を送ってくださった方もいらっしゃいました。心より御礼申し上げ、大いに参考にさせていただきます。また、御礼が遅れたことも併せてお詫び申し上げます。(2006-08-05 08:45)
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