訪韓報告

今回の訪韓で面談相手は次の通りです。
(1)崔相龍ソウル大学教授(元駐日大使)
(2)文正仁・大統領顧問
(3)金グンテ・与党ウリ党議長ほか与党議員団
(4)元喜龍・最大野党ハンナラ党議員ほか同党若手国会議員
(5)呉世勲ソウル市長(前ハンナラ党国会議員)
(6)宋永吉・ウリ党議員ほか同党若手国会議員
(7)韓国若手研究者(国際関係・安全保障)
(8)李大淳元通信部長官(郵政大臣)
(9)李相得・韓国国会副議長(ハンナラ党次期大統領候補の最右翼・李明博氏の実兄)
(10)朴振・ハンナラ党国会議員(朴クネ前ハンナラ党総裁の最側近)

今回の訪韓の特徴は、野党のハンナラ党との交流を厚めにしたことと、私の旧知である保守系の若手外交専門家との懇談を入れたこと、そして、最後の朴振議員とは(他の同行議員には失礼してしまったが)差しで懇談したこと。なぜなら、ノ・ムヒョン大統領はじめ与党ウリ党の議員たちでは、外交問題でまったく話が噛み合わず、しかも、残り任期1年半もありながらすでに現政権は完全なレイムダック状態に陥っていることが明らかであるからです。

これまでの我が党の交流相手はウリ党関係者が多かったため(これまでは、自民党を日本軍国主義の残滓と見るウリ党は最大野党の民主党に物凄く期待(苦笑)してきた経緯があり、わが民主党の中でも軍事政権の流れを汲むハンナラ党に対するアレルギーが残っていたようです)、派遣議員団長の仙谷代議士(民主党日韓交流委員会委員長)に強く要望し、今回はハンナラ党や保守系の関係者との交流を重視してもらうことにしました。

その甲斐あって、韓国が抱える重要な問題のいくつかを再確認することができました。第一に、米韓同盟の深刻な危機です。第二に、北朝鮮の崩壊の可能性、第三に、ノ大統領支持基盤の崩壊です。(大事な問題なので、詳細は次回エントリーで! 明日朝早いので失礼します。)

また、ウリ党議員との間では、竹島の領有権や靖国問題、北朝鮮の脅威をめぐってかなり厳しい議論をしました。議論は、予想通りまったくの平行線(中でも韓国による独島の領有については取り付く島なし)でしたが、(1)ミサイル発射の直後だけに、以前より北朝鮮擁護はトーンダウン、(2)靖国問題についても、「日本の国内問題」との主張を受け入れ、以前のように声高に靖国参拝非難を繰り返す姿勢は抑えられていた。

私からは、1998年の金大中大統領(当時)来日時の国会演説における「3つの原則」(過去の歴史から目を背けない、戦後日本の平和主義・民主主義を評価、未来志向の日韓関係の構築)を引いて、日韓両国の現指導者が、自国のナショナリズムを管理できずに迎合してしまって険悪化した二国間関係を、なんとか次世代の政治家による努力で「小渕・金大中時代」まで立ち返らせよう、と呼びかけました。相手議員の何人かは、ハッとして聞いてくれていたように感じました。

最後に朝食を共にした朴振議員(彼は、中国銀行も対北朝鮮金融制裁に着手していたことを米国情報を基に最近公表したことで脚光を浴びました)とは、日韓関係再構築のきっかけとなる「共同プロジェクト」について打ち合わせをしました。お互いに超党派精神で成功させよう、と誓い合いました。早速、自民党で日韓関係を頑張っている山本一太議員や河野太郎代議士(総裁選が終わってからですね、彼は!)らに声をかけよう。我が党でも、前原さんや野田さんや細野くんなどエース級に声をかけようと思います。何がテーマかって?それは、クイズでお答えしましょう。

「来年400周年を迎える日韓間の壮大な事業は何ですか?」
(ヒント:司馬遼太郎さんの名著『明治という国家』の冒頭に出てきます。)

2005年という日韓両国にとっての重大な節目の年(日露戦争から100年、大東亜戦争終結から60年、日韓国交正常化から40年)を「竹島問題」で逸機してしまったので、来年こそは大事に行かねばならないと思っています。中国との長く熾烈な戦略競争を勝ち抜くためにも、我が国にとって朝鮮半島との関係は重要な意味をもっていると思います。あの半島が中国の影響下に陥るのか、日米との協調を維持できるのか、は我が国の外交力にかかっているといっても過言ではないと思います。

追記:今朝の読売新聞特集は画期的でした!1994年に独自の憲法改正草案を発表して以来の快挙です。この間、私自身理解を深めてきた我が国近現代史をめぐる歴史観と軌を一にするところが多く、とくに、満州事変以降の日本の戦争を「昭和戦争」と命名したことに得心が行きました。これまで「大東亜戦争」(対中侵略戦争+対米英自衛戦争)と呼んできた私も、今後は、満州事変・日中戦争、(対米英)太平洋戦争を一括して「昭和戦争」と呼ぶことにします。
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