参院選の総括―今こそ「万年野党」からの脱却を!

 今夏の参院選は、自民党が27年ぶりの単独過半数を確保し、いわゆる「改憲勢力」が議席数の2/3を超え、野党惨敗の結果となりました。もちろん、この「改憲勢力」という言葉は、最初から意味不明でした。与党である自公議員と憲法改正を標榜するその他の議員を足した数字ということらしいのですが、そうであれば、野党・民進党の中にも憲法改正が必要だと考える議員は少なくありません。しかも、出来の悪い自民党の改憲草案をそのまま公明党が支持しているとも思えませんし、自民党内にも異論がくすぶっていると聞きます。ですから、単純に民進・共産・社民・生活の党以外の議員たちを「改憲勢力」とひとくくりにして攻撃する手法は、有権者を惑わすものだったと考えますし、野党共闘の旗印にこのスローガンを選び、「2/3阻止」と大書したポスターやプラカードまで作成して有権者を煽った民進党執行部には大いに反省を求めます。

今の民進党は「政権を任せられる政党」なのか?


 同時に、私たちは、今回の参院選を通じて示された民進党に対する民意とはどういうものであったのか、真摯に向き合わねばなりません。岡田代表も枝野幹事長も「6年前に獲得した改選議席を大幅に下回ったものの、3年前に比べれば議席は倍増した」としきりに主張しています。しかし、今必要なことは、獲得議席数が6年前と比べてどうか、下野した直後のドン底だった3年前と比べてどうか、などという数合わせの議論ではなく、今の民進党が再び政権を奪還する可能性を感じさせる野党第一党となっているのか否かについて徹底的な議論だと考えます。私は率直に言って、民進党は、今や共産党の支援なしには自公勢力とまともに闘えないレベルにまで衰弱してしまったのではないかと深く憂慮するものです。それは、得票面のみならず政策面でも、国民の抱くイメージが「政権を任せられる政党」からかけ離れつつあることを意味します。

得票面でも政策面でも、国民の支持や信頼を回復できていない

 得票面では、北海道や東北の一人区での健闘が言われていますが、実態は、自民党が公約違反ともいえるTPP推進に舵を切ったことで巻き起こった農村部の怨嗟の声をテコにして、共産党との共闘を推し進めたことによる辛勝なのです。裏を返せば、まさしく共産党の支援なしには勝利は覚束なかったことを意味します。じっさい、これまで一貫して自民支持で来た東北5県の農業団体は、今回自主投票を決めました。一方、西日本エリアでは大分選挙区以外は、共産党の手厚い支援を受けながらことごとく惨敗しています。複数区でも、大阪や兵庫といった都市部で獲得議席はゼロでした。

民進党の最重点政策は、こども・子育て・女性・若者の応援だ!

 一方、政策面では、本来民進党が重視してきた若い世代の支持が低迷したことに、私は大きなショックを受けています。報道機関の出口調査によれば、新たに有権者となった18歳、19歳の約4割が与党に投票し、民進党へは2割程度にとどまりました。「人への投資、未来への責任」を訴えた民進党が最も力を入れた政策が「こども・子育て・女性・若者」だったにもかかわらずです。同じ出口調査では、与党に投票した有権者が重視した政策で最も多かったのが「景気・雇用」(36%)、民進党の場合は「憲法改正」(23%)でした。結局、消費税率引き上げを先送りし(おまけに、必要な財源を次世代にツケ回す国債に頼り)、選挙戦で「憲法改正阻止」を中心に訴えた民進党に、将来不安を抱える若い世代からの支持は集まらなかったのです。逆に、「2/3阻止」などという実態も怪しげなスローガンに惑わされてしまった有権者の投票先を共産党と分け合ったということです。

このままでは「万年野党」に陥ってしまう!

 このことは、近年「こどもの貧困」問題に真剣に取り組み、女性の働き方や若者の雇用など日本社会の在り方を根本的に見直す必要性を痛感し、選挙戦を通じて重点的に訴えてきた私にとって、本当に悔しい事実でしたし、それはそのまま民進党の将来に対する抜き差しならない危機感につながって行くのです。すなわち、今の民進党の路線は、「眼前の敵である安倍政権に打撃を与える」ことに汲々とするあまり、その先にある、政党としてより本質的な問題―たとえば、こども達や若者や女性の輝く未来をどのように実現していくか―に関する国民への大事な政策メッセージを、憲法や安保批判を前面に押し出すことによって自らかき消してしまったのではないか。それは、この3年半で限界に突き当たったアベノミクスのその先にある経済政策や社会政策を国民の前に明らかにする努力と直結しています。ここに明確な方向性を示せなければ、それは政府に対する単なる批判や揚げ足取りに過ぎず、それでは、永遠に国民の支持や信頼を獲得することは難しく、したがって「万年野党への道」に他ならないと考えます。国民は、数多の批判よりも、「民進党ならこうする」というポジティヴな一言を待っているのだと、私は全国各地の候補者応援を通して確信しています。

野党を立て直し、国民にふたたび政権交代を予感させる政治を!

 今世紀に入って、国民が野党に期待し続けてきたことは、政府批判を繰り返す「万年野党」ではなく、与野党が政策で切磋琢磨し、いつでも政権交代が可能な「政権準備政党」だったはずではないでしょうか。そのために私は、平成12年当時、与党自民党ではなく、現実的に政権を担いうる野党第一党の民主党に参画し、国政に初挑戦したのです。今あらためて「政治は絶望との闘いだ」との言葉を噛みしめ、ふたたび政権を担い得る現実的な野党勢力を結集するため、全力で立ち向かって行くことを心に誓うものです。そこでは、「何でも反対」の万年野党勢力に気兼ねすることなく、自由闊達に憲法や安全保障を論議し、自公政権では踏み込めない経済構造改革や子育て支援強化策、それに伴う日本的な長時間労働の抜本改革などに果敢に取り組む「政権準備政党」としての真のリーダーシップが求められます。私、長島昭久はその先頭に立つ覚悟です。どうか、皆さんの倍旧のご支援をよろしくお願いします。

衆議院議員 長島昭久拝

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都知事選挙について


衆議院議員 長島昭久

 本日、東京都知事選挙にあたり、私に出馬を要請してくださった都議団の皆様に対し、「出馬しない」という判断に至ったことを私からご報告させていただきました。この間、都議会民進党議員14名全員ならびに来年の都議会選挙をめざしている前職議員の皆さんからも出馬要請を受けるなど、多くの皆さんにご期待いただいたことを重く受け止め、出馬について真剣に考えてまいりました。

 国政に身を置く者として、これまではもっぱら外交・安全保障政策に取り組んでまいりましたが、超党派の「子どもの貧困」対策推進議連の幹事長や衆議院文部科学委員会の筆頭理事を務めるなど、最近では「子どもの貧困」問題はじめ子ども・子育て・教育の問題について真剣に考えてまいりました。オリンピック・パラリンピックの準備、直下型地震やテロへの備え、高齢者対策等、東京が抱える課題は多岐にわたりますが、待機児童や児童虐待、子どもの貧困は、最も深刻な「東京プロブレム」です。そして、東京の子ども・子育て問題を解決できれば、それが全国に波及し、政策的にも国を動かし得る。そうであるなら、都知事という選択もあると思い、出馬の可能性を検討して参りました。

 しかし、ついに民進党執行部は、「四党の枠組みを受け入れない限り、党の推薦候補とは認められない」という頑なな姿勢を崩すことはありませんでした。私は、率直に、国政選挙においても共産党との共闘路線には強烈な違和感を抱いてまいりましたが、何よりも都政に国政の枠組みを持ち込むことは適切ではないと考えました。この点については、都議会の皆さんも同様のお考えでありました。

 したがって、私の出馬は大変難しい状況にはありましたが、参議院選挙が終わるまでは明らかにしないというお約束でしたので、選挙中は自らの意思を表明することは差し控えてまいりました。しかし、参議院選挙が終わった今なお、党本部において「四党の枠組み」からの方針転換がなされない以上、残念ながら本日この時点を以って、都知事選出馬を断念せざるを得ないと判断いたしました。

 これまでご期待を寄せていただいた全ての皆さんに心から感謝を申し上げるとともに、引き続き国会議員として外交・安全保障政策、そして子どもの問題に取り組んでいくことをお誓い申し上げます。

(写真は都議会民進党への報告を終え、都庁で受けたぶら下がり会見の様子です。)
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