年金暴風の中、閣僚による連続自爆テロという信じられないような敵失が重なり、与党惨敗、民主党は歴史的な勝利をつかんだ。
しかし、これからが正念場。
まさしく、「勝って兜の緒を締めよ」だ。
たしかに、一人区に照準を合わせた小沢戦略がぴたりと当たった。
長妻代議士を先頭に、まじめにこつこつと積み上げてきた年金問題への取り組みが国民の皆さんの共感を呼び起こした。「政治は生活だ」「生活が第一」というスローガンが、地方の格差や少子高齢社会における国民の不安や不満に真正面から応える強い印象を与えたことも事実。
しかし、すべてはこれからだ。
参院での与野党逆転という新たな現実を踏まえ、国会においては、まず、政府与党の「成長か、停滞か(成長第一か、生活優先か)」の問題提起に応えなければならない。真の構造改革に取り組むのは自民党か民主党か、の論争に決着をつけねばならない。私たちは、官公労と心中するつもりもないし、経済成長を阻害するつもりも毛頭ない。財政赤字を垂れ流し旧来型のばら撒き政策など論外だ。ましてや、「改革に逆行する」などといった濡れ衣は、これを堂々と払拭しなければならない。
解散総選挙に追い込むためには、とうぜん対決基調になるだろう。しかし、そこで旧社会党のような「なんでも反対、なんでも対決」イメージがつきまとうようであれば、政権交代は難しく、一発のスキャンダルで膨らんだ風船は一気に破裂するであろう。
今後、次期総選挙までの数ヶ月間は、民主党にとってまさに正念場の期間。
有権者の心を、単なる自民党への反発から、民主党への信頼に転換し、ぐっと引き寄せる努力をしなければならない。私自身も、微力を尽くす覚悟だ。
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安倍自民党は、明らかに「小泉前」に逆戻りした印象。
支持率の急降下は、国民がそこを敏感に捉えている証左だろう。
かくて、安倍自民党の支持率はついに、森政権時代、つまり「小泉前」に逆戻りしたのだ。
自民党を「ぶっ壊」してまで構造改革に挑戦し続けた小泉さん(もちろん、細かいところで批判にさらされてきたものの)と、「自民党で改革を」と叫ぶ安倍総理とでは、自民党(およびその取り巻き業界・団体)に対する姿勢の違いが鮮明に出ている。そこが如実に現れたのが、政治と金をめぐる安倍自民党のドタバタ劇だ。
赤城農水大臣の事務所費をめぐり、さすがに「法律に則って適正に処理」という故松岡大臣答弁と瓜二つの弁明では逃げ切れないと観念した(安倍総理の意を受け)中川幹事長が内規の策定を指示した。ところが、党内の反対で発表できなかったという。(7月12日の各紙報道)しかし、さらに野党やマスコミの追及を受けると、今度は正式に安倍総裁の指示で政治団体の資金を資金管理団体へ一元化するよう党内で議論することになったという。(ここで注意を要するのは、安倍総裁は内規を策定することを指示したのではなく、「議論を始めること」を指示したのだという点。つまり、これは明らかに選挙向けのポーズに過ぎず、選挙が終われば議論など霧散する可能性が高い。)
赤城事件は、佐田・松岡・伊吹ら各大臣の事務所費問題を受けて改正された政治資金規正法が、改正にもかかわらず依然としてザル法であることを瞬く間に実証した。このことは、立法府に身を置く国会議員として恥ずべきことである。しかし、こういういい加減な法律であることが自明であったからこそ、民主党は、政治家関連の政治団体すべての収支公開と領収書(1万円以上)の添付義務付けを明記した独自の改正法案を提出したのだという点だけは、改めて明確にしておかねばならない。(公明党も民主党案には本音で賛成していながら、本会議採決では、自民党と徒党を組んで民主案に反対したことも改めて明記しておきたい。)
つまり、いまの自民党を前提に「改革を!」と力んでみても、安倍総理に国民を納得させるだけの説得力はゼロということだ。提灯持ちの御用評論家が、テレビや雑誌で盛んに安倍擁護の発言を繰り返しているようだが、笑止千万。知的良心は大切になさった方がいいのでは、とだけ申し上げておきたい。その点、「(赤城大臣は)領収書を公開すべきだ」とブログに書いた「小泉後」の代表選手・タイゾー議員の感性の方がはるかに鋭い。
いずれにしても、この「小泉後」、「小泉前」で考えていくと、争点が明確になる。第一に、政治と金の問題。小泉さんなら、悪びれず、(民主党の「日本国教育基本法案」をなかなかいいじゃないか!と言ったように)民主党改正案を丸呑みしたであろう。残念ながら安倍総理にはそれができなかった。
第二に、公務員改革。これも、渡辺行革大臣が衆院本会議で机を叩いて「天下りは根絶します!」と絶叫したにもかかわらず、政府提出の官製法案は、これまで陰でこそこそやっていた再就職の斡旋を堂々と法律で公認する見事なザル法に仕上がった。にもかかわらず無理やり会期延長して、これを強行採決。「こんな法律で天下りがなくなると本気で思っているの?」と扇参院議長に突っ込まれる始末だ。これまた「小泉前」に逆戻り。ならば、参院で与野党逆転を実現し、民主党の「天下り根絶」法案を参院で可決させるしかない。
第三に、年金改革。これも、多言を要しまいが、年金制度の「抜本改革」を財源も含めて具体的に提案しているのは、民主党だけだ。自民党と公明党は、3年前の「100年安心プラン」に呪縛されて、身動きが取れない。だから、財源が怪しいなどという批判でごまかしているのだ。これは、そもそも小泉政権の負の遺産であるから、安倍総理としては如何ともし難いであろうが、これを乗り越える気概を持たねば、「小泉後」のトップリーダーとして政局を主導することは到底できまい。これまた、参院で民主党提案の「年金の信頼回復3法案(一元化法案、保険料流用禁止法案、社保庁解体・国税庁統合法案)」を丸ごと先議し可決させるまでだ。
かくて、「小泉前」に逆戻りした自民党はもはや恐るるに足らず。
最大の敵は、己自身にあり、だ。
ここで、気を緩めてはいけない。
実際、民主党の支持率は思うように伸びていない。
政権はあらゆる手段を講じて反撃に転ずるであろう。勝負はこれからだ。
こちらも、覚悟を決めた代表を先頭に、まっすぐにひたむきに政策を訴えていく以外にない。
かならず、そこに国民・有権者の皆さんが呼応してくれるはずだ。
なぜなら、「小泉後」の正統な後継者は、安倍自民党ではなく、民主党なのだから。
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天下分け目の参院選が始まった。
地方遊説に出かける機会が多くなったが、移動の最中は貴重な読書の時間だ。
最近手にする本は、決まって幕末・維新もの。
ちょうど、92年から94年にかけて、読み漁ったものだ。
米国留学にも持って行って、勉強の合間に読みふけった。
その中から、海音寺潮五郎の秀逸作品『西郷と大久保』。
次のくだりは、長州の公武合体派の論客・長井雅楽に乗せられて、奸計を弄した薩摩の秀才・堀次郎をたしなめる西郷吉之助の言。
「・・・術策で天下のことが成ると思うとるのか。大体、人が術策を用うるのは、勇気がなかからだ。自分の身が恐ろしゅうなるから、術策に頼ろうとするのじゃ。天下のことは誠心をもってすべきであり、また誠心によらんければ成りはせん。誠心をもってするならば、たとえ仕損じても、感憤して続いて起つ人が出て来る。あっちをだまし、こっちを欺き、そげん卑劣なやり方で、天下のことが成るものか。・・・」
安倍自民党の凋落ぶりと重ね合わせ、この言葉の重みを噛み締めている。
なんとなれば、安倍自民党が目指す「戦後レジームからの脱却」は、その大上段に振りかぶった「建て前」とは裏腹に、(かんべい殿が鋭く看破しておられるように)背後に隠された「本音」の狙いが余りにも姑息で、術策が過ぎたのである。
かんべい殿の解説にいわく、「戦後レジームからの脱却」政策の4本柱の真意は、
①教育再生・・・じつは、日教組潰し
②社保庁解体・・・じつは、自治労の最強部隊潰し
③公務員制度改革・・・これも、自治労にダメージ
④憲法改正・・・民主党を股割きに。
戦後レジームからの脱却というスローガンの意味するところは、日本再生を目指した果敢なレジーム・チェンジなどではなく、民主党、いや民主党の「応援団」潰しという、ほとんど嫌がらせのレベルに過ぎなかったのである。(ところが、残念ながら、私たち生粋の民主党議員からすれば、自治労や日教組になどまったく世話になっていないのが実情。したがって、彼らの攻撃には何の痛痒も感じない。)
こんな術策で、世論が動くはずがなく、天下の大事が成し遂げられるはずもない。
かくて、年金、松岡、久間、赤城の連続自爆テロによって、頼みの支持率はつるべ落とし・・・。指導者のメッキが剥がれれば、民心が離れるのは早い。前哨戦に過ぎない鳥羽・伏見の戦いに破れ、将軍慶喜が大阪城を脱出したとたん、関東以西の諸藩は雪崩を打って官軍に降ったものだ。
天下をうかがう我々は、この轍は踏むまい。
民主党議員、候補者一人ひとりが代表の示した「覚悟」を共有し、堂々とマニフェストを掲げ、「(ここが大切!)民主党が政権を担った暁には、戦後日本の悪弊がどのように一掃され、国民生活の将来にどのような展望が拓け、世界における日本の地位がどのように確立するのか」を粘り強く、わかりやすく訴えていかねばならない。我々がここで誠心誠意訴えて戦い抜けば、結果はどうあれ、後から後から同志たちが澎湃として立ち上がり、さらに大きな改革のうねりをつくり出すに違いない。
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政治家の一言が軽くなったといわれて久しいが、昨日の小沢代表の一言は、正直胸に迫るものがあった。
日頃、私は代表の党運営には批判的な立場を隠してこなかったが、「参院選で与野党逆転が実現しなかったら国会議員としての職を辞する」との宣言には脱帽だ。ここまでの覚悟がいますべての政治家に求められるのだ。安倍総理との違いを際立たせる選挙戦術だとの意見もあろう。世論調査に乗せられた強気の表れと揶揄する向きもあろう。
しかし、私には、退路を断って文字通り背水の陣頭に立ち果敢に大将戦を求める政治家小沢一郎の姿が目に浮かぶ。不透明な政治資金との批判にさらされた農水大臣をかばい立てするあまり、800円という過去10年で最低金額の事務所費に言及せざるを得ないいじましい総理大臣との差は歴然としているのではないか。(敵将とはいえ、一国の総理大臣にあのようないじましい批判のネタを提供する側近たちに対し、国民の一人として憤りを禁じえない!)
いずれにしても、あと20日余で決着がつく。この総大将の心意気に応え、挙党一致で選挙に臨み、参院での与野党逆転を実現し、与野党・衆参両院が拮抗する緊張感ある国会を取り戻さねばならない。それこそが、真に国家国民のためになる法案審議、政策論議を可能にする議会の在るべき姿だと信ずる。
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