官邸機能の強化

自民党総裁に就任した安倍官房長官の指示で、政府が、重要政策の企画、立案を担当する首相官邸スタッフを全府省庁から公募すると発表しました。公募の対象は課長、企画官級の中堅幹部で、対北朝鮮政策や教育改革などを担当。募集人員は5-10人程度で書類選考や面接の上採用が決定。身分は、内閣官房と出身省庁の併任となるが、安倍政権の間は出身府省庁には戻らないという。

官邸機能強化を打ち出していた安倍氏の改革イニシャティヴ第一弾となります。省庁側の推薦によらない官僚の登用は画期的で、いわば「政治任用」であり、機能すれば素晴らしい試みだと思います。私自身、日本版NSCの創設をこれまで幾度となく提唱してきましたから(実際、「次の内閣」より「影のNSC」を民主党内につくるべきと提案してきました)、こういった試みに思い切った民間登用も組み合わせ、現下のベスト・アンド・ブライテストによって首相・官房長官の政権中枢機能を高めていくことにはまったく異論はありません。

ただし、機能するかどうかは今後の推移を注意深く見守りたいと思います。これまでの官邸人事は、結局、出身省庁のひも付きで、しばしば「府省庁側の権益を守るための連絡役」に止まっていました。もっとも、政権が代わればお払い箱というのでは、仕える官僚の皆さんから見ればそれもやむを得ないでしょう。今回の措置によって、出身官庁を離れ、安倍官邸に馳せ参ずる課長クラスの優秀なスタッフがどのくらいいるのだろうか。そうとう勇気の要ることだろう。役所での出世を重視している人がそう易々と今の地位を捨てることは難しい。安倍政権が短命に終わったら・・・。

せめてその後の身分保障を考えてあげれば、チャレンジし易いとも思いますが、しかし、打算抜きに、どんなに短くとも、官邸中枢で政策立案・執行のコントロールに情熱を傾けることができれば、あるいは公僕として本望かもしれません。いずれにしても、画期的な試み。今後、幾多の試行錯誤を経ることになるでしょうが、わが民主党政権が誕生した暁には、これをもっともっと深化させていきたいものです。
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