ひなげしの ごとき君こそ つひの身と ならむおのれの 墓に咲きなめ
*これはツイッターで、恋の歌を詠めとの課題を出した時に、みなで詠った歌の一つですね。ツイッターでは時に無言でフォローしているあなた方に課題を投げています。何にも知らないふりをして、けっこういろいろやっていることは、感じていますよ。
確かこれは、いにしへの恋を思ひて詠める、と題して詠まれた歌でした。古えの恋といい、ひなげしと言えばわかるでしょう。項羽と虞美人の恋のことです。
ひなげしのような君こそ、いずれは死んでいく身であるわたしの、墓に咲いてしまうだろう。
「こそ」~已然形の係り結びですから、最後は「なめ」になりますね。「なむ」は紛らわしいですが、連用形についているので、完了の助動詞「ぬ」の未然形と推量の助動詞「む」がむすびついた「なむ」であることがわかります。その場合、「~してしまうだろう」とか「きっと~にちがいない」とか訳されます。
推量の強い感じだと思えばよい。ちなみにこれと紛らわしい終助詞「なむ」は、未然形につき、「~してほしい」と訳されます。ですから末尾の言葉が「咲かなめ」になれば、「咲いてほしい」という意味になります。こっちでもいい歌にはなりそうですね。項羽が虞美人に、死んだら自分の墓に参ってほしいと願っているということになります。
細かいことだがこういうことも押さえていけば、スキルアップにつながります。面倒くさがらずに勉強し、これを応用していろいろと詠んでみてください。「なむ」が使いこなせるだけで、いろいろな歌が詠めますよ。
「言ひなむ」なら「言ってしまうだろう」、「言はなむ」なら「言ってほしい」になる。簡単ですね。勉強嫌いというのは、こういうのを煩わしいと感じてしまうのです。こんなのは面倒だからいやだと思ってしまうと、何も身につきません。
なんでもまじめにやるのが上達の極意だ。
面倒なことでも、やればできるのですよ。人間の力というのは、勉強すれば大きくなるように元からできているのです。やればやるほど、優れたものになれる。難しいと思わずに、いろいろとやってみてください。