しなしなの記録

 しなしなの趣味の記録です。洋楽カラオケ、郵便局訪問、川、猫など

山吹の実のひとつだになきぞ悲しき

2010-06-07 21:54:44 | Weblog
 室町時代に江戸城を開いた太田道灌は、扇谷上杉家の家臣(家宰)です。

 ある日、鷹狩に出かけた太田道灌は、あいにくの雨となります。雨を防ぐための蓑を借りようと、みすぼらしい家を訪れます。そこにいたのは少女だけでした。蓑を借りたいという太田道灌の言葉に、少女は少し考えた後、立ち去ります。しばらくして、すぶ濡れの少女が太田道灌に渡したものは、一輪の山吹の花でした。太田道灌には山吹の花の意味がわかりませんでした。しかし、蓑を借りることはできないことは分かりましたので、その家を後にしました。



 居城に戻った太田道灌は、部下にこのことを話しました。すると中村重頼という近臣が、進み出て、こう告げました。後拾遺集の兼明親王の歌に「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」というのがあります。蓑が無いことを言いたかったのでは?しかし、少女がなぜそのような歌を知っていたのか?
 
 翌日、太田道灌は使者に蓑を持たせて、昨日、訪ねた家へ向かわせます。しかし、家には誰もいなかったのでした。

 この事があってから、太田道灌は歌道を極めようと決意し、一流の歌人になったという話です。

 この話を知ったのは、私が大学生の時です。以来、山吹の花を見るたび、この話を思い出します。



 本来のヤマブキの花は一重です。実は、家を建て替える前、我が家の庭にもありました。今はありません。これは実がなるそうです(すみません、確認したことはありません)。七重、八重のものは突然変異だそうです。おしべやめしべが花弁になっており、それゆえ、実がならないのだそうです。七重、八重の方が花が綺麗です。昔からそれらを園芸種として、日本人は植えていたのでしょう。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする