モンテマヨールで、私はとうとう青空を見なかった。厚くたれこめた雨雲に覆われ、傘を手放すことが出来なかった。屋根つきのベンチが一つ置かれただけのバス停で、バスの下からバックを引きずり出すと、バスは直ぐに走り去った。さて、どうしたものか。車窓から標識を追っかけていたので、だいたいの方向感覚はつかめている。とにかく広い国道に出なければならない。宿は国道に並んでいるはずだからだ。車窓から見る限り、ガイドブックに掲載されていない宿はこの街には無いようだ。
バス停から国道までは一本道。国道に出ると直ぐ、大きなドライブイン…っと。黄色いレストラン兼オスタルがならんでいた。レストランに入っていき、カウンターの中で忙しく立ち回るカマレロ(ウエイター)に一泊できるか聞いてみると、キーをカウンターの上にさーっと滑らせた。部屋はダブルベットとクローゼットでいっぱい。大きなスーツケースなら広げる場所が無い。バストイレがついてこじんまりとしているが、居心地は悪く無い。下からレストランの食器と人々の声が多少のぼってくるが、それもさほど気にならない。
丁度シエスタの時間についてしまったので、村は静まり返っている。店も閉り、傘にあたる雨粒の音だけがする。小高い丘の上にたつカステージョを目指して歩く。下から見上げると林に囲まれた城のようである。しかし、それはほんの一部であることが登りきって見ると判る。見晴らしのよい丘の上からは街が見渡せる。天気のよい日なら、真っ青な空に、白壁の家が太陽の光を受けて輝いていることだろう。
城は大きくしっかりとしていて見ごたえがありそうだ。城壁に沿って歩き、教会を見上げ、唯一開いていた花屋で薔薇や菊を眺める。
シエスタも終わり、そろそろ車や人通りが激しくなってもよさそうだと思いつつ、私は郵便局の前に立った。開く気配は無い。隣りの観光案内所の扉が細く開いたので、入ってみる。
観光客がめったに来ない村や街では、城や博物館を閉めているところが多い。そんな時は、観光案内所や委託を受けているバルなどにいって開けてもらわねばならない。ここでもそんなことであろうとたかをくくって聞いてみた。「カステージョに行きたいのですが」と尋ねると、そこにいた男の人はカレンダーを指差しながら首を振った。「諸聖人の日が来るから連休ですよ。街じゅう観光できるところは、一週間全て休みです」と言う。なんということだ。シエスタの時間に路地と言う路地は歩いてしまった。大きな公園も無く、珍しい建物も少ない。そして、宿の部屋は居心地はいいものの一週間もいるには窮屈だ。
目の前にこんなに立派なカステージョがあるというのに入れないとは。考古学博物館は、中が丸見えである。鉄門があるだけで薄暗い部屋に石臼などがごろごろ転がり、ガラスケースにやじりや小さなものが沢山並んでいる。鉄門を握り締め、目を凝らして中の展示物を見る。
小奇麗な広場にはなぜかアルハンブラのライオンの噴水が置かれているが、これもお休みである。仕方なく、教会の外観めぐりを始める。手を合わせるマリア像や十字架を背負うキリストのタイルなど、素朴で、伝統的なスタイルのものが多い。たまたまかもしれないが、門前のクロスが鉄製でレース模様のところがいくつかあり、可愛らしい。
散歩だけで終わってしまったモンテマヨール。もし、青空が広がり、路地路地で、パンのいい香りが漂っていたら私はもう何日かいたかもしれない。翌朝、私は次の村へ向かった。
カスージョから見下ろす屋並。そして目と同じ高さの空。今度来るときは平日の晴れた日に…。
バス停から国道までは一本道。国道に出ると直ぐ、大きなドライブイン…っと。黄色いレストラン兼オスタルがならんでいた。レストランに入っていき、カウンターの中で忙しく立ち回るカマレロ(ウエイター)に一泊できるか聞いてみると、キーをカウンターの上にさーっと滑らせた。部屋はダブルベットとクローゼットでいっぱい。大きなスーツケースなら広げる場所が無い。バストイレがついてこじんまりとしているが、居心地は悪く無い。下からレストランの食器と人々の声が多少のぼってくるが、それもさほど気にならない。
丁度シエスタの時間についてしまったので、村は静まり返っている。店も閉り、傘にあたる雨粒の音だけがする。小高い丘の上にたつカステージョを目指して歩く。下から見上げると林に囲まれた城のようである。しかし、それはほんの一部であることが登りきって見ると判る。見晴らしのよい丘の上からは街が見渡せる。天気のよい日なら、真っ青な空に、白壁の家が太陽の光を受けて輝いていることだろう。
城は大きくしっかりとしていて見ごたえがありそうだ。城壁に沿って歩き、教会を見上げ、唯一開いていた花屋で薔薇や菊を眺める。
シエスタも終わり、そろそろ車や人通りが激しくなってもよさそうだと思いつつ、私は郵便局の前に立った。開く気配は無い。隣りの観光案内所の扉が細く開いたので、入ってみる。
観光客がめったに来ない村や街では、城や博物館を閉めているところが多い。そんな時は、観光案内所や委託を受けているバルなどにいって開けてもらわねばならない。ここでもそんなことであろうとたかをくくって聞いてみた。「カステージョに行きたいのですが」と尋ねると、そこにいた男の人はカレンダーを指差しながら首を振った。「諸聖人の日が来るから連休ですよ。街じゅう観光できるところは、一週間全て休みです」と言う。なんということだ。シエスタの時間に路地と言う路地は歩いてしまった。大きな公園も無く、珍しい建物も少ない。そして、宿の部屋は居心地はいいものの一週間もいるには窮屈だ。
目の前にこんなに立派なカステージョがあるというのに入れないとは。考古学博物館は、中が丸見えである。鉄門があるだけで薄暗い部屋に石臼などがごろごろ転がり、ガラスケースにやじりや小さなものが沢山並んでいる。鉄門を握り締め、目を凝らして中の展示物を見る。
小奇麗な広場にはなぜかアルハンブラのライオンの噴水が置かれているが、これもお休みである。仕方なく、教会の外観めぐりを始める。手を合わせるマリア像や十字架を背負うキリストのタイルなど、素朴で、伝統的なスタイルのものが多い。たまたまかもしれないが、門前のクロスが鉄製でレース模様のところがいくつかあり、可愛らしい。
散歩だけで終わってしまったモンテマヨール。もし、青空が広がり、路地路地で、パンのいい香りが漂っていたら私はもう何日かいたかもしれない。翌朝、私は次の村へ向かった。
カスージョから見下ろす屋並。そして目と同じ高さの空。今度来るときは平日の晴れた日に…。
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