カイロで時間がると、手紙を書く。
もっとも、最近はなかなか時間が取れないので、アラビア語か?と思うような流れる文字を書く。
薔薇園でもらった、赤いジャスミンと白い花。
とてもいい匂いを楽しめる時間。
ベランダの向こうは緑が広がる。
丸一日この部屋にいてもいいぐらい居心地がいいが、ほとんど寝に帰ってくるだけ。
残念!
本も、針箱もあるのに、どちらもママならない。
絽の着物をほどいた物を持ってきた。
真っ青な生地に、蜻蛉が飛んでいるスカートを仕上げて、ナイル沿いを歩くつもりだったのに。
いつから、私のエジプトでの時間は、早く流れるようになってしまったのか?
その昔は、時間をつぶすのが大変だったのに。
ヒルトンモールで日がな一日、縫い物をしていたころ。
川べりのベンチで、本を読んでいたころ。
マクハーで、絵葉書を書いていたころ。
時間はとても長かった。
『日はまた昇る』をファルーカで読み、「時間は経つものだ」と、自分に言い聞かせていたあのころ。
懐かしむ間もない今。
ふと、思い出した。
次は、長く行こう。カイロに住もう。