イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

路地に誘われて

2010-07-01 23:28:36 | チュニジア編
テストゥールの路地に迷い込むと、
そこはチュニジアなのか、それともアンダルシアなのか、
まるでわからなくなってしまう

オレンジの匂いに誘われ、
奥へ奥へと迷い込んでゆく
冷たい風と、建物の影のひんやりした空気が、
そのうちやってくる暑くて熱い夏を予感させる

鋭い視線を感じ、
入ることが出来ないオープンカフェ

拒絶するわけではない
ただ、女ひとりがめずらしいだけ

それでも、その刺す様な視線に、
座ることが出来ずに歩み続ける自分がいる

ああ、ここは、イスラームの小さな町

アンダルシアであれば、
一人旅を珍しがられても、
その視線に、突き刺すような鋭さは感じないだろう

砂漠の民の瞳には、半月刀が潜んでいる

その吸い込まれそうな瞳を
正面から見てはいけない
美しすぎるものは、時に凶器

月明かりで磨かれた、
眼差しの奥に、
アンダルシアを見つけてしまったら…

もしも、見つけてしまったら…

どこか、他人とは思えない、アンダルシアの人々が築いた町で、
還りたいと異国人がつぶやいたら…


しかし、これは、もう、遠い昔のこと
いまは、チュニジアのイスラーム教徒たちの町

私は立ち止まらず、
この町をあとにする