日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

核ゴミの最終処分地の決定無くして廃炉への道無し

2019年06月12日 10時15分36秒 | 日々雑感
 現在日本にある原子力発電所59基のうち、廃炉準備中及び廃炉が決まったものが25基だそうだ。ところで、廃炉作業を本格的に進めているのは、東電福島第1原発の4基位であろうが、これらは事故後の廃炉であるため困難を極めているようだ。

 他に関しては余りマスコミに登場しないが、事故を起こした原発の廃炉に比べて、正常な運転後、正規の手順で停止した原発の廃炉作業は、所定の手順で進めれば遥かに簡単だと思われる。

 しかし、そもそも廃炉作業はお金を生まないし、日本では経験が無い上、廃炉で生じた廃棄物の処理法も決まっていないのが現状で、積極的に廃炉を進めていない、あるいは得意の問題先送りを計っているのではなかろうか。

 放射能を帯びた廃棄物は実にやっかいなゴミだ。何百年、何万年と放射能を出し続ける。その間人間に害が及ばないように安全に保管しておかなくてはならない。このために最終処分地の確保が必要であるが、今もって何処にするかも決まっていない。こんなことは原発を始める前から分かっていた筈だが、目の前の利益に目がくらみ、問題先送りを企てたのだ。

 ゴミを出さない風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーが急速に躍進する中で、トイレの無いマンションと揶揄される原発にこれ以上未練はないが、ゴミの処分に関してはこれまでに享受してきた現世代で責任取る必要がある。もちろん、時間的に最後まで責任は取り切れないが、最善の策を準備しておくことがせめてもの責任の取り方なのではないか。

 ごみの最終処分地に関しては、2000年に事業実施主体として原子力発電環境整備機構(NUMO)が設立された。その定款は、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分の実施等の業務を行うことにより、原子力発電に係る環境の整備を図ることを目的とする、である。

 そこで、2002年から処分地選定の公募を始めた。最終処分地は地元住民の反対が予想されるため公募と言う形を採ったのだ。NUMOが科学的に適地を選択し指名するのではなく、手を挙げたところが適地かどうかを判断するならば地元の反対も無く候補地を見つけやすいと考えたわけだ。

 NUMOの公募では、文献・概要調査だけで6年間でおよそ45億円もの交付金が配られる。しかも後で断っても返さなくて良いとの文面だ。そのアメで釣った結果、2007年1月、高知県東洋町長が町議会の同意も得ずに候補地の調査に手を挙げた。その結果、町を二分する大騒ぎとなり、町長が町民に信を問うとして辞任し、その出直し選挙で大差で敗れた。

 その後は、他の地域もすっかり手を挙げる動きは無くなり、この公募方式は行き詰まった。この機構が設立された2000年は福島の原発事故が起こる前であり、事故による後片づけのゴミまでは考慮されていなかったであろうが、その最終処分地でさえも以上のように暗礁に乗り上げている。増して、事故後の廃炉のゴミとなると放射能レベルは一段と高くなり、最終処分地の決定は一層困難になっているだろう。

 NUMOのホームページを見ると現在の活動状況は科学的特性マップに関する対話型全国説明会の開催程度である。処分方法の安全性を説明し、住民に理解を得ようとする活動であろうが、参加者は極めて少ないとの話だ。そうそうたる人材を集めたこの組織も、往々にして寄せ集め集団でまとまりが無く、また国の天下り先でもあり、命を懸けて職務を全うする人材も皆無であろう。

 日本の少子高齢化は急激に進行し、現在、所有者不明の土地は全国で20%、九州本土を大きく上回る面積で、驚くほど多くの土地の所有者がわからないという状況にあるとのことだ。NUMOはこれらの土地の活用を考えているのか、あるいは海外に求めているのか、少なくとも将来展望を示さなくては、廃炉への道は拓けない。2019.06.12(犬賀 大好-554)

認知症の予防法は数多あれど!

2019年06月08日 08時48分44秒 | 日々雑感
 認知症患者は、このままでは2025年に700万人を突破するとの予想で、65歳以上の5人に1人が該当することになる恐ろしい世の中が待ち受けるようで、高齢者の自分は認知症とならないように何とか対策せねばと内心焦る。

 アルツハイマー病の治療薬も最近増えているが効果は単に進行を遅らせる程度のようで、抜本的に治すまでには至らないようだ。また新たな治療薬の開発も必死に進められているようだが、現時点では見つかっていない。アルツハイマーを完治させる薬を発見あるいは発明すれば、間違いなくノーベル賞に値するだろう。その位社会的なインパクトは大きい。

 認知症の直接の原因は脳の神経細胞の劣化だ。ある種のたんぱく質が脳に蓄積することで神経細胞が破壊され、能の働きが劣化する現象とのことだが、このたんぱく質の蓄積がなぜ始まるのかは分かっていないとのことだ。

 アルツハイマーの場合、アミロイドβと称する蛋白質であるが、その蓄積の原因は、・炎症、・栄養不足、・毒物の三つに大別されるとの説がある。この場合毒物とは水銀などの有害金属やカビから発生するカビ毒を言うようだ。この他伝染性病原菌説もあり、炎症や栄養不足まで含めれば何でも原因になりそうな混とん状態だ。

 何か一つの根本原因があるのか、あるいは複数の原因があるのか、はたまたいくつかの要因が重なれば発生するのか科学的には興味深いテーマであるが、高齢者には一刻も早く突き止めてもらいたい。

 根本原因が不明でも、認知症の中でもっとも多いアルツハイマー病は、生活習慣の改善である程度が予防できることが分かってきたようだ。糖尿病や高血圧の生活習慣病予防のためと同様に、バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠、が肝要と言われており、これらの予防策は認知症に限らず健康に生きるための必須の習慣でもある。

 また、アルツハイマーにはこれらだけでなく、活発に人と交流し、趣味を楽しみ、積極的に社会参加することすなわち脳を活性化することが効果的と言われている。

 更に人間の五感を刺激することも認知症予防に効果的と言われているが、その点異性に恋することが最も分かり易い。しかし、恋心は若者の特権で高齢者にはなかなか湧き上がってこないし、もし芽生えたとしても世間体を考えると深入りが出来ない。

 十分な睡眠は健康の基本だが、“とりすぎ”は認知症には逆効果になるそうだ。本来、脳には、アミロイドβのような有害な物質を除去して脳機能を保つ働きがあり、その役割を担っているのが睡眠だそうだ。この点睡眠不足が認知症の原因になることは理解できるが、睡眠過多が原因になるとは理解できない。

 しかし、2017年にアメリカの神経学会が約2400人の高齢者(平均年齢72歳)を対象に行なった調査によれば、1日9時間以上睡眠をとると、それ以下の人間に比べて認知症の発症率が2倍になることが判明したそうだ。

 この調査がどのように行われたか分からないが、睡眠をとる理由が明確に区分されていただろうか。運動等による疲れが原因であるならば、いくら長時間寝ていても体に害は無いと思うが。

 兎も角、認知症の予防法はどれも決定的な方法では無く、どの程度行えばよいかは誰も教えてくれない。個人差も大きいだろうし、長続きさせるためには何より気力が必要だが、気力の維持の仕方まで教えてくれない。

 認知症予防のためには、数多くの生活習慣が提案されているが、結局のところ絶対に認知症にならない予防策はよく分からず、健康に過ごせるような習慣が一番良いとの結論であろう。2019.06.08(犬賀 大好-553)

古墳群の世界遺産登録を喜んで良いのか

2019年06月05日 09時27分58秒 | 日々雑感
 5月14日、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)は、百舌鳥・古市古墳群を世界遺産に登録するよう勧告した。今回世界遺産に登録される予定の古墳群49基のうち29基は歴代の天皇皇族の墓として現在宮内庁が管理し一般の人の立ち入りを禁じているため、調査がなされず未知の部分がほとんどである。
 そのため墓の真実性が専門家の間などで議論となっているが、学術的な調査は極めて限られた範囲に制限されている。百舌鳥古墳群の一つである日本最大の古墳はかつて歴史教科書には仁徳天皇陵と記されていたが、本当に仁徳天皇の墓なのか確証がないため、現在では”伝仁徳天皇陵”と呼称されることが多いのだそうだ。

 世界遺産登録となるとその真実性が問題となるため、登録などされない方が良いのではないだろうか。登録を地元自治体は喜んでいるが、宮内庁も歓迎しているのであろうか。邪馬台国がどこにあったのかと同様に、古墳に誰が眠っているかは古代史の大きなミステリーとして、ひっそりと隠しておいた方が神秘性が増してよいと思われる。

 そもそも古墳とは、3〜7世紀頃に築造された墳墓で、その数は全国に16万基以上あるそうだ。日本の古墳所在件数が最も多いのは兵庫県で16,577基にのぼり、以下、千葉県 13,112基、鳥取県 13,094基、福岡県 11,311基、京都府 11,310基と続くそうで、その多さに驚くばかりだ。

 百舌鳥・古市古墳群には前方後円墳や方墳など大小89基の古墳があるが、その内49基が世界遺産の登録対象となっている。これらの選択理由は中身がともかく発掘さず保存状態が良いと言ったところであろう。

 墳墓の建造は主として亡き人を弔う宗教的な意味からであろうが、仁徳天皇陵は権威を誇示するために大規模に作られたのではないかと、5月25日NHKの番組ブラタモリで放映していた。建造当時、海岸線は現在より東側にあり、船に乗って遠方から来る人々にその大きさを誇示したのではないかとのことであった。

 なお、この番組では仁徳天皇陵と断定して話を進めていたが、公平性を旨とするNHKとしては、別名大山古墳、伝仁徳天皇陵と呼ぶ場合も多いとのコメントも欲しかった。

 また、古市古墳群最大の前方後円墳は応神天皇陵とのことだが、大阪府の世界遺産事務局も、仁徳天皇陵と同様に、具体的に誰のお墓なのかが分からないのが現実で、仁徳天皇や応神天皇が実在したかどうかを含めて謎だそうだ。

 また、『古事記』や『日本書紀』には卑弥呼の墓と言われている「箸墓古墳」の建設以外の記述は一切ないそうだ。仁徳天皇陵は5世紀前半から半ばに築造されたものと言われている。

 一方712年に古事記、720年に日本書紀は完成しており、これらは日本の国あるいは天皇家の成立までの神話および歴史書であり、ここに記述が無いとは、謎が一層深まり、創造力を掻き立てる。

 さて、日本の夥しい数のこれらの墳墓は、3世紀半ばから7世紀代に作られたようだが、6世紀末以降巨大古墳は造られなくなったらしい。646年の大化の改新の中の薄葬令によって、巨大古墳を造るのが難しくなり、古墳が小型で簡単に造れるものに変わり、その後、仏教が入ってきたことによって火葬が増えるなどして、古墳は造られなくなったと考えられているそうだ。

 古墳の一つ一つはその真実性が乏しいが、群としては中央の統制が日本隅々まで行き届く過程を表しており、歴史的な価値が高いことは間違いないだろう。2019.06.05(犬賀 大好-552)

日本人のルーツを探ることは興味深いが!

2019年06月01日 09時24分57秒 | 日々雑感
 DNA(デオキシリボ核酸)解析の目的は、すべての生物が持つ遺伝情報伝達物質であるDNAの塩基配列を読み取ることにより、ある種の病気に関する発症リスク、体質、祖先のルーツなどについての情報を得ることである。DNAは分子の塊であり、分子の配列の仕方に遺伝情報を保持している物質として遺伝子の本体あるいは遺伝情報の本体と呼ばれるそうだ。

 生物であることの定義の一つは遺伝子を有することであり、遺伝子は生体を形成する全細胞に含まれ、一生変化することなく、親から子へと引き継がれていく。その過程で突然変異によって、塩基配列が変化することがあるが、原則そっくり伝えられるために、その家系が有する体質や先祖のルーツなどが分かる訳である。

 さて、今年5月13日、国立科学博物館などの研究チームが北海道・礼文島の遺跡で出土した3500~3800年前の縄文女性の歯から採取したDNAを分析した結果を発表した。

 この縄文人は現代の日本人と比べ肉や魚を消化しやすい遺伝子を持ち、肉など高脂肪食の消化を効率的に助けるタンパク質を作る遺伝子を有し、この特徴はアザラシなど肉食が中心の北極圏のエスキモーに多くみられ、現代の多くの日本人にはみられないという。

 国立科学博物館の篠田謙一人類研究部長は、縄文人の特性がかなり分かり、今後は日本人の成り立ちとの関わりも解き明かしたい、と話しているそうだ。日本人のルーツに関しては、これとは別のDNA解析からも次第に明らかにされてきている。

 ハプログループとは、人間の細胞内のミトコンドリアと呼ばれる小器官のDNAの型により分類される遺伝的なグループである。ミトコンドリアは祖母から母親、母親から自分と母系を伝って受け継がれるため、ミトコンドリアのDNAを調べることによって母系の祖先のルーツを辿ることができると考えられている。

 様々な研究が進んでいる現在では、各ハプログループに属する人々の母系の祖先が、人類誕生の地とされるアフリカからどのような経路で大陸を移動して日本に辿り着いたかが少しずつ明らかになってきているようだ。

 中国中部が起源とされるハプログループDは、35%以上の日本人が該当する最大のグループだそうだ。中国中部が起源と言っても、人類誕生はアフリカとのことであるので、ある時期アフリカから移動したある集団が中国中部に留まる間に突然変異を受け、グループDを形成したのであろう。

 このグループは、日本以外では中国や朝鮮半島にも多く、中国中部で原始的な稲作を開始し、その技術とともに日本へやって来ることで弥生時代の到来に貢献したと考えられている。

 大相撲ではモンゴル出身の力士が大活躍であるが、モンゴル人の顔つきは日本人そっくりである。日本人のルーツの一部は中国中部にあるとの説はなるほどと納得できる。

 また、中国南部が起源とされるハプログループBは、ハワイを含む太平洋の島々から南米大陸まで、全世界に分布を拡げた開拓精神あふれるグループで、 日本人の約13%が該当するそうだ。このように日本人は地球上のあちこちからやってきた人々の混血であると考えられている。

 さて、日本の天皇は万世一系と称され、ある系統が脈々と引き繋がれてきたと説明される。一般日本人のような混血が無いとすると、そこに独特なDNAが存在し天皇家のルーツが縄文、弥生時代まで遡って分かるかも知れない。非常に興味深いが、宮内庁を始め右翼系の人々はこのDNA解析に猛反対するであろう。2019.06.01(犬賀 大好-551)