男子たるもの、一度 ”カラスが白いと言ったら、死んでも言い続けろ” とは、少々言い過ぎではあるが、人間はそれくらい自分の発言に責任を持て、と教えられたものだ。しかし、次期米国大統領トランプ氏は発言をたびたび簡単にひっくり返えすが、詫びれた様子はなく、またそれを非難する声も余り聞こえてこない。
例えば、イスラム教徒に対する差別発言を選挙運動中しばしば行ったが、当選後学校の児童の間での差別発言が問題となると、それはいけないことと、臆面もなく言う。大統領が自ら差別発言を扇動することは大問題であるが、こうも簡単に前言を翻してよいだろうかと考えてしまう。
トランプ氏の発言は、信念に基づくものではなく、その場の雰囲気を盛り上げるための戯言のようなものかも知れない。米国国民もそのことを理解しており、過激な発言も単なるエンターテイメントと理解し、大統領になってもその通りやる筈はないと、安心して投票したかも知れない。
トランプ氏は、メキシコとの国境に壁を設置、パリ協定やTPPからの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しや中国製品の輸入関税引き上げ、を選挙運動中訴えた。日本人並みに ”武士に二言は無い” 、とそのまま実行に移すと世界的にも大問題となるが、ここでは前言を翻してくれた方が、何かと安心である。
そもそも、政治家の公約は何かを犠牲にしなければ実現が難しいとの局面を有する。世界の出来事はこんがらがった糸のように繋がっている。オバマ大統領も核廃絶を訴えてノーベル賞まで受けたが、核兵器削減ですら一向に進んでいない。核廃絶は、北朝鮮のように核兵器を誇示する国を抹殺でもしない限り、実現できないだろう。トランプ氏の地球温暖化陰謀説も、米国各地における異常気象も神様のせいにしておけば、安心して石炭や石油を使用できるとの思惑であろう。将来を犠牲にして、今を享受するは日本でもよく行われており、珍しいことではない。何処かで、犠牲者の出ることを覚悟しなければ、公約の実現は難しい。
また先日、トランプ氏は環境保護局長官にスコット・プルイット氏を起用することに決めたようである。プルイット氏は地球温暖化対策に対する規制反対の強硬派であるとのことだ。どうも、地球温暖化に対しては世界の潮流に従い前言を翻すと期待していたが、前言をそのまま実行するのではないかと危惧される。
なお、中国は米国と共に初めてパリ協定に参加し、世界の指導者たらんことを示そうとしていたが、米国が離脱した場合、なおかつこの姿勢を固持するであろうか。中国の大都会での排出ガスの影響は抜き差しならない状態に追い込まれているが、中国経済の減退まで覚悟出来ているだろうか。今後の様子で中国の本気度が分かる。温出効果ガスの二大排出国である米国と中国が離脱するとパリ協定はもぬけの殻となってしまうが、ここで日本の真価が問われる。
安倍晋三首相は先月中旬、ペルーで行われるAPEC首脳会議への出席の途中、ニューヨークでトランプ次期大統領と会談した。会談後の記者会見で安倍首相は、”信頼できる指導者だと確信した”と述べ、日米間の”同盟というのは、信頼がなければ機能しない。私は、トランプ次期大統領は、まさに信頼することができる指導者だと確信した”と述べた。世界の首脳に先駆けてトランプ氏と会談できたことに舞い上がっている様子であった。
ただ、ゴルフでは意気投合してもトランプ氏の腹はまだ読めない筈だ。何が本心で、何が戯言か、記者会見で外交辞令上、腹の内は読めなかったと批判的な発言を出来ないことも確かであろうが、少々はしゃぎ過ぎの感でもあった。
トランプ氏が選挙運動中過激に発言していたことが、当選後穏やかになったと一安心してか、ニューヨーク株式市場は度々過去最高値を更新しているとの話であるが、期待し過ぎではなかろうか。政治家として、あるいはビジネスマンとして、その時の一番の利益を優先させることは当たり前と言う人もいるが、間違いと分かっても前言を変えない人間の方が人として信頼できる。今後、トランプ氏の発言で、世界は右往左往することになるだろう。2016.12.14(犬賀 大好-294)
例えば、イスラム教徒に対する差別発言を選挙運動中しばしば行ったが、当選後学校の児童の間での差別発言が問題となると、それはいけないことと、臆面もなく言う。大統領が自ら差別発言を扇動することは大問題であるが、こうも簡単に前言を翻してよいだろうかと考えてしまう。
トランプ氏の発言は、信念に基づくものではなく、その場の雰囲気を盛り上げるための戯言のようなものかも知れない。米国国民もそのことを理解しており、過激な発言も単なるエンターテイメントと理解し、大統領になってもその通りやる筈はないと、安心して投票したかも知れない。
トランプ氏は、メキシコとの国境に壁を設置、パリ協定やTPPからの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しや中国製品の輸入関税引き上げ、を選挙運動中訴えた。日本人並みに ”武士に二言は無い” 、とそのまま実行に移すと世界的にも大問題となるが、ここでは前言を翻してくれた方が、何かと安心である。
そもそも、政治家の公約は何かを犠牲にしなければ実現が難しいとの局面を有する。世界の出来事はこんがらがった糸のように繋がっている。オバマ大統領も核廃絶を訴えてノーベル賞まで受けたが、核兵器削減ですら一向に進んでいない。核廃絶は、北朝鮮のように核兵器を誇示する国を抹殺でもしない限り、実現できないだろう。トランプ氏の地球温暖化陰謀説も、米国各地における異常気象も神様のせいにしておけば、安心して石炭や石油を使用できるとの思惑であろう。将来を犠牲にして、今を享受するは日本でもよく行われており、珍しいことではない。何処かで、犠牲者の出ることを覚悟しなければ、公約の実現は難しい。
また先日、トランプ氏は環境保護局長官にスコット・プルイット氏を起用することに決めたようである。プルイット氏は地球温暖化対策に対する規制反対の強硬派であるとのことだ。どうも、地球温暖化に対しては世界の潮流に従い前言を翻すと期待していたが、前言をそのまま実行するのではないかと危惧される。
なお、中国は米国と共に初めてパリ協定に参加し、世界の指導者たらんことを示そうとしていたが、米国が離脱した場合、なおかつこの姿勢を固持するであろうか。中国の大都会での排出ガスの影響は抜き差しならない状態に追い込まれているが、中国経済の減退まで覚悟出来ているだろうか。今後の様子で中国の本気度が分かる。温出効果ガスの二大排出国である米国と中国が離脱するとパリ協定はもぬけの殻となってしまうが、ここで日本の真価が問われる。
安倍晋三首相は先月中旬、ペルーで行われるAPEC首脳会議への出席の途中、ニューヨークでトランプ次期大統領と会談した。会談後の記者会見で安倍首相は、”信頼できる指導者だと確信した”と述べ、日米間の”同盟というのは、信頼がなければ機能しない。私は、トランプ次期大統領は、まさに信頼することができる指導者だと確信した”と述べた。世界の首脳に先駆けてトランプ氏と会談できたことに舞い上がっている様子であった。
ただ、ゴルフでは意気投合してもトランプ氏の腹はまだ読めない筈だ。何が本心で、何が戯言か、記者会見で外交辞令上、腹の内は読めなかったと批判的な発言を出来ないことも確かであろうが、少々はしゃぎ過ぎの感でもあった。
トランプ氏が選挙運動中過激に発言していたことが、当選後穏やかになったと一安心してか、ニューヨーク株式市場は度々過去最高値を更新しているとの話であるが、期待し過ぎではなかろうか。政治家として、あるいはビジネスマンとして、その時の一番の利益を優先させることは当たり前と言う人もいるが、間違いと分かっても前言を変えない人間の方が人として信頼できる。今後、トランプ氏の発言で、世界は右往左往することになるだろう。2016.12.14(犬賀 大好-294)