日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

経済学は将来を予測出来るか

2015年07月11日 10時00分37秒 | 日々雑感
 現在、日銀は未曾有の金融緩和を続けている。政府が今年度発行する新規国債は37兆円、日銀は年80兆円の国債を毎年買い、結果市中にお金があふれているそうだ。
 いつかは、国債の大量発行を減らさなくてはならないが、いつも掛け声だけで終わっている。その前に日銀の国債購入も止めなくてはならないが、その時、国債価格の急落が心配と元日本銀行副総裁の山口泰氏も指摘している(朝日新聞、オピニオン、2015.06.24)。
 国債急落は通貨安に繋がると思うが、日本では国債をほとんど日本人が保有しているのでその心配は無いと主張するエコノミストも居るが、このグローバルな時代にそんなドメスチィックな話で済むとは到底思えない。自国通貨が急落すると、輸入品の値段が急騰し、それがインフレの原因になるのだ。その時インフレ目標、物価上昇率2%は達成されるが、2%程度に留まる保証は無い。
 年金生活者はこれを恐れるが、先の山口氏はどんなインフレでも、政策金利を必要なだけ引き締めれば必ず押さえ込めると強調し、不安の高まりを抑えようとしている。同じ論調で過度なインフレを抑制できると黒田総裁もたびたび言及するが、政策金利の操作だけで押さえ込めるのか疑問である。
 また、山口氏は逆に独力でインフレを生み出せる実力装置は持っていないとも強調する。日銀OBとして、黒田総裁を擁護しているのか。実力装置とは、金融緩和ではなかったのか。あるいは、黒田総裁は金融緩和が実力を有さないのに期待だけで闇雲にやったのか。
 経済学は、過去の経済現象を説明するのは得意である。しかし、将来の経済を予言することは出来るであろうか。経済を支配する要因は数知れない。グローバル化された世界、各国で進む少子高齢化等は、これまで誰もが経験したことが無い新たな要因である。これらの要因が経済にどのように影響を与えるか、誰も分かっていない。これを予言できて初めて経済学は学問となるのであろうが、現状ではほど遠い。
 黒田総裁のインフレ目標は物価上昇率2%であるが、当初の目標年度には達成出来ず、1年先延ばしされた。これだけ金融緩和が続けばいつかは達成されるであろう。インフレの恐ろしいのは、まさに “経済は気から“ であるそうだ。皆がインフレになると思い始めると、争って物を買い始める。そうなると一気にインフレは進行するのだそうだ。政策金利の操作だけでハイパーインフレを抑止できると言うのは過去の経験則でしかないと思うが。(犬賀 大好-145)

自民党の若手議員は何を考える

2015年07月08日 09時42分02秒 | 日々雑感
 安倍晋三首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)の初会合が6月25日、自民党本部で開催され、大西英男、井上貴博、長尾敬の3名の議員から、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの暴言発言があった。早速7月2日発行の週刊誌には、3馬鹿大将の見出しがあった。
 しかし、3馬鹿大将の3馬鹿大将たる由縁は、上記の発言だけではなく、行動の浅はかさにある。すなわち自民党政権はかねてよりマスコミ対策を強めている。安倍首相は報道各社の政治部長らと会食したり、読売グループの渡辺会長や産経新聞の清原会長等と会食したりして、メディア・トップとの親交を深めている。またNHKの籾井会長の起用や朝日テレビの報道番組における古賀元通産官僚の発言に対する事情聴取等、マスコミに何かと介入している。
 マスコミもこれくらいでびびるとは情け無いと首相の強気の抗弁もあり、その通りと思うが、マスコミ関係者も所詮は一介のサラリーマンに過ぎないと思えば、これだけで首相の意向は十分届くだろう。
 また、谷垣幹事長は、当初前記勉強会での発言は品位が無いとコメントしていたが、これは「マスコミ対策はあからさまにやるな」との意味に解される。しかし、その後、同勉強会の代表を更迭処分した他、上記3議員を厳重注意処分したが、ことの重大さに気づくのが遅かった。
 上記勉強会は非公開で行われたようであるが、3人の議員の発言は筒抜けであったようである。すなわち、自民党のマスコミ抑圧空気を察知し、おれも「この通り安倍首相を援護しているんだぞ」と目立つ行動を起こし、国民向けと言うより安倍首相に向けたおべんちゃら発言と勘繰られる。多分自民党の中ではこれくらいのことを言わないと目立たないのであろう。国益ではなく、ポストあるいは次の選挙での公認権等の私益からの発言と透けて見える。なんとも浅ましい。
 安全保障関連法案は日本の将来を決める重要な法案である。上記3議員が今回目立ったが、若手議員と言われる議員は他にも多数いるはずである。このような低次元の議員ばかりではないと思うが、彼らの声が聞こえてこない。賛成にしろ、反対にしろ、もっと声を上げるべきである。自民党の将来を担う若手議員がどのように考えているか、まさか安倍首相のご意見御もっともと簡単に納得しているのではないことを願うばかりである。(犬賀 大好-144)

安全保障関連法案の違憲問題

2015年07月04日 10時00分39秒 | 日々雑感
 国会に呼ばれた憲法3学者の集団自衛権に対する違憲陳述は当然と思われるが、安倍政権はあわてて、数少ない賛成論者の意見を披露したが、説得力は全く無かった。
 すなわち、西修・駒澤大学名誉教授は、集団自衛権の目的は抑止効果であり、本質は抑止効果に基づく自国防衛であり、法案は「限定的な集団自衛権の容認であり、憲法の許容範囲内」であるとの意見である。また、森本敏、元防衛大臣は、核実験を繰り返す北朝鮮や海洋進出を強める中国に対応する必要性を強調したが、違憲・合憲の判断はしなかった。
 両者の意見ばかりでなく、集団自衛権賛成の立場の人々は、憲法判断より中国や北朝鮮の脅威にどのように向き合うかが最重要課題のようである。東シナ海や南シナ海に進出する中国をいかに押し止めるか。北朝鮮の核の脅しにいかに対処するかである。その答えは、米国の軍事力に期待しつつ、出来る限り米国に協力するである。そのためには、集団自衛権の法制化が必要であり、違憲・合憲は二の次である。
 つまり、軍事力には軍事力で対抗しようとする姿勢である。ある意味非常に分かりやすいが、短絡的な主張である。確かに、集団自衛権の法制化は一時的な効果があるかもしれないが、中国や北朝鮮は次の手を打ってくるだろう。
 中国政府の最大関心事は国内をまとめることであり、そのために手っ取り早いのは外に敵を作り、国内の問題から目を背けさせることである。中国はこの法案を理由に国内を引き締め軍事力の一層の強化を図るであろう。軍拡競争になれば、最終的には日本の核武装しかない。
 中国の新聞、“人民日報” の関係者が分かりやすい解説をしていた。予定されている安倍首相の談話でも、兎も角日本は中国に謝っておけば、両国は幸せになれる。言葉には一銭も必要ない。後は黙って経済面で儲ければよい。中国は政府のメンツが保たれ、共産党独裁の理屈が成立する、との趣旨だ。日本が集団自衛権を容認しようが、しまいが、中国は日本に難癖をつけてくる。同じであれば、敢えて法制化の必要は無い。中国の国内問題は中国に任せるしかない。
 もう一つの問題国、北朝鮮も国内の難問を日本に転化し、核の脅しをかけてくる。これに対抗するため、集団自衛権の賛成者は、核弾頭が飛んでくる前に、核基地攻撃をしたいと思っているようである。しかし、万が一日本に向かって核弾頭を発射するにしても、結果米国が黙っている筈がないので、自国の消滅を覚悟しなければならない。北朝鮮が問題視するのは、日本ではなく米国なのだ。このため米国を脅かすミサイルの開発を急いでいるはずだ。
 安全保障関連法案の違憲性は益々はっきりしてきた。このため、安倍政権は中国、北朝鮮問題を前面に押し出してくるだろう。違憲・合憲問題とは別に、この国際情勢に力で対抗する是非を考える必要がある。(犬賀 大好-143)

企業の運命を考える

2015年07月01日 10時10分28秒 | 日々雑感
 2014年度の電機大手各社は決算が好調とのことであった。しかし、好調の中身を見ると、三菱電機や日立は発電機や鉄道車両の大型機械が円安効果で、パナソニックは電気自動車用電池や自動車用部品が、ソニーはスマートフォン用高性能画像センサーが好調であるとのことであり、かって日本が得意としていた家電製品はすっかり影を潜めてしまった。また、テレビ等の家電製品を支えていた半導体も目につくのは高性能画像センサー位であろうか。
 企業の寿命30年、1つの会社が繁栄を謳歌できる期間は30年だと言う。その最大の原因は、一つの技術が商品価値を有するのは30年程度であることである。
 先述の大手電気メーカは、テレビやパソコンで有名であったが、今では別の商品が会社を支えているのだ。シャープは液晶テレビで一世を風靡したが今では虫の息である。技術の変革は早い。企業は、現状に甘んじているとすぐに時代に後れる。社会がグローバル化すると、この傾向は益々強まる。
 一方、トヨタ自動車は30年を越えて、今なお栄華を極めている。自動車産業は、節々で技術革新があったのが幸いしている。この技術革新は、企業の努力と言うより、時代の流れであった。最初の技術革新は電子化であった。エンジンの始動時にチョーク弁の調整等の面倒な操作が必要であったが、今では何も考えずにスイッチオンで済む。これも電子化のお陰だ。
 次の技術革新はガソリンエンジンから電気モータへの移行だ。当初蓄電池の性能が飛躍的に向上したため、そのうち自動車は家電化すると言われた。複雑なガソリンエンジンは不要になり、電気モータのみで動かせるようになれば、誰でも自動車を作れるようになるからである。
 しかし、蓄電池の性能は予想したほどには伸びなかった。日産自動車のゴーン社長は電気自動車に社運をかけたが当てが外れた。トヨタは、ガソリン車から電気自動車への急激な変化を疑ったのか、技術的には中途半端なハイブリッド自動車を選択した。ガソリンエンジンと電気モータの両方を持てば当然コストは上がる。しかし、電気自動車の技術的な低迷もあって、爆発的に売れ、日産とトヨタの差は大きく開いた。
 技術の変化は激しい。しかし、この変革を受け入れていかないと会社の存続が怪しくなる。常にアンテナを張り巡らし、変革についていかなくてはならない。政府はこのほど、いわゆる「残業代ゼロ制度」を盛り込んだ労働基準法改正案を閣議決定した。年収1075万円以上の専門職の1日8時間、週40時間などの労働基準法の時間規制から除外し、休日、深夜の労働手当を支払わないようにするとした法律だ。変革について行かなくてはならないとの厳しい企業環境も伺い知れる。しかし、このような法律が無くても、実質このような状況におかれている人はかなりいることも事実である。
 企業にとって、このような状況を正当化するために、この法律は大歓迎のようである。これも世界の中で生き残るためか。働かされる立場の人は大変であるが、年収1000万以上であれば、まだ我慢できるであろう。派遣法の改定に比べれば、罪は軽い。しかし、1000万の条件を下げようとする要望も強いと言われ、いずれその方向に向かうであろう。
 技術の変化は益々激しくなる。経済は変化によってのみしか成長できないのであろうか。(犬賀 大好-142)