1~2人乗りの超小型モビリティの開発が急である。トヨタ自動車の一人乗り用 I-ROAD を始め、ホンダ、日産はそれぞれ独自のコンセプトを発表し、自動車メーカが開発を競っている。背景には蓄電池の高性能化や制御技術の進歩があり、また高齢化社会へのニーズもある。
しかし、小型モビリティが社会へ浸透、すなわちハードの変革ばかりでなく社会まで変革させるイノベーションとなるか、となると様々な問題が浮かび上がる。すなわち、これまでに市販されている小型モビリティが、道交法(道路交通法)や道路の構造により普及が今一であるからである。
例えば、電動車いすやシニアカーは身障者や足腰の弱い老人用として買い物等に便利であるが、道交法では歩行者として扱われ、歩道を走行してもよいが、歩道の起伏が激しいための転倒事故や歩行者との接触事故が多発し、普及を妨げている。
また、電動アシスト自転車は手軽さから普及が目覚しい。この自転車は、名が示すように多少の人力を使わなくてはならないため、道交法では自転車の範疇で扱われる。僅かな改良により人力を使わずに走れるようにすれば、一層使用の範囲も広がり普及すると思うが、現在の法体系の下では原動機付自転車の仲間となってしまう。そうなると安全性の面から、ウインカーの設置等が義務化されるため、重装備となり折角の長所が損なわれる。
またセグウェイと称する一人用の立ち乗り二輪車は従来の車の概念を覆す画期的な乗り物であるが、現在の日本では公道での運転は禁止されている。すなわち、現行の道交法では、その出力の大きさから自動車扱いになるため、車両運送法で定める保安基準を満たさなければならず、すべて電気的にコントロールするセグウェイの場合機械的な制動装置を持たず、保安基準を満たさないため禁止となってしまう。
現在の道路は一般的に車最優先で作られている。道路は、まず車が通ることの出来る幅が決められ、残りを歩道等に割り当てられる。このため、自転車の通行帯が10cmとの笑い話的現象も起こる。また、歩道は車の出入りのため凸凹だらけである。
今後、従来の車の概念を覆す小型モビリティもどんどん発案されるであろう。自動運転が可能となると更に新しい概念の車も生まれる。しかし、それらが道交法により禁止され、道路の構造により制限されるとなれば、折角のイノベーションの芽を摘むことになってしまう。
将来の交通システムは小型モビリティにより一新される、すなわち交通システムのイノベーションがなされる可能性があるが、それには、道交法まで含めた周辺環境の整備がどこまで進むかに左右されるであろう。従来から指摘される電気の補充ステーションの充実等は当然であるが、どちらかと言えば簡単な部類であろう。従来型の自動車を優先した道路ではなく、小型モビリティを想定した道路が必要となろうが、この狭い日本で可能かとなると、頭の痛いところだ。まず、どこかに特区を作り、試行することから始めればよい。しかし、いつまでも現状に固執しておれば、世界の潮流から取り残されることになろう。(犬賀 大好-149)
しかし、小型モビリティが社会へ浸透、すなわちハードの変革ばかりでなく社会まで変革させるイノベーションとなるか、となると様々な問題が浮かび上がる。すなわち、これまでに市販されている小型モビリティが、道交法(道路交通法)や道路の構造により普及が今一であるからである。
例えば、電動車いすやシニアカーは身障者や足腰の弱い老人用として買い物等に便利であるが、道交法では歩行者として扱われ、歩道を走行してもよいが、歩道の起伏が激しいための転倒事故や歩行者との接触事故が多発し、普及を妨げている。
また、電動アシスト自転車は手軽さから普及が目覚しい。この自転車は、名が示すように多少の人力を使わなくてはならないため、道交法では自転車の範疇で扱われる。僅かな改良により人力を使わずに走れるようにすれば、一層使用の範囲も広がり普及すると思うが、現在の法体系の下では原動機付自転車の仲間となってしまう。そうなると安全性の面から、ウインカーの設置等が義務化されるため、重装備となり折角の長所が損なわれる。
またセグウェイと称する一人用の立ち乗り二輪車は従来の車の概念を覆す画期的な乗り物であるが、現在の日本では公道での運転は禁止されている。すなわち、現行の道交法では、その出力の大きさから自動車扱いになるため、車両運送法で定める保安基準を満たさなければならず、すべて電気的にコントロールするセグウェイの場合機械的な制動装置を持たず、保安基準を満たさないため禁止となってしまう。
現在の道路は一般的に車最優先で作られている。道路は、まず車が通ることの出来る幅が決められ、残りを歩道等に割り当てられる。このため、自転車の通行帯が10cmとの笑い話的現象も起こる。また、歩道は車の出入りのため凸凹だらけである。
今後、従来の車の概念を覆す小型モビリティもどんどん発案されるであろう。自動運転が可能となると更に新しい概念の車も生まれる。しかし、それらが道交法により禁止され、道路の構造により制限されるとなれば、折角のイノベーションの芽を摘むことになってしまう。
将来の交通システムは小型モビリティにより一新される、すなわち交通システムのイノベーションがなされる可能性があるが、それには、道交法まで含めた周辺環境の整備がどこまで進むかに左右されるであろう。従来から指摘される電気の補充ステーションの充実等は当然であるが、どちらかと言えば簡単な部類であろう。従来型の自動車を優先した道路ではなく、小型モビリティを想定した道路が必要となろうが、この狭い日本で可能かとなると、頭の痛いところだ。まず、どこかに特区を作り、試行することから始めればよい。しかし、いつまでも現状に固執しておれば、世界の潮流から取り残されることになろう。(犬賀 大好-149)