日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

生産労働人口の減少を考える

2015年07月22日 09時25分10秒 | 日々雑感
 来春2015年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の求人倍率は大幅に改善されたようで、若者にとって大変喜ばしいことだ。しかし、学生の民間企業就職希望者数は、前年42.6万人とほぼ同じ水準の42.3万人であったとのことで、生産労働人口はこれから着実に減少の一途であろう。
 この生産労働人口の減少は当分の間如何ともし難い。この減少分をどうやって補うかが次の問題だ。定年年齢の引き上げによる高齢者の活用も考えられるが、外国人労働者の受け入れが一つの解決策であろう。
 外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする高尚な制度である。厚労省が関与している研修生・技能実習生は、平成24年末、約15万人とのことだ。ピーク時には20万人いたとのことだが、いろいろ問題があり、減ってきているようだ。その最大の問題は、実習生を単なる低賃金労働者として働かしていることだ。
 7月10日、NHK,首都圏報道で茨城県の農家における海外からの実習生の逃亡問題が報ぜられた。平成26年までの10年間では約2万5千人が実習先に無断でいなくなり、平成26年は、過去最多4800人が失踪したとのことだ。
 多くの実習生が研修との名の下に最低賃金水準で働いているが、残業代の未払いなど労働関連法違反は後を絶たない。このような労働条件の厳しさが失踪増加の背景にあると言われている。しかし、NHKの報道では、特に中国からの実習生は、技能の習得より金稼ぎが目的であり、本来の技能実習では金が貯まらないため、少しでも高収入を目指して、逃亡し、不法就労化するとのことに焦点が当てられていた。
 しかし、逃亡した実習生がやはり茨城県下の農家で働いている場合もあるとのことである。これは、少しでも割りの良い農家を求めて転々とするためらしいが、現行の実習制度の下では雇用主を代えることはご法度とのことだ。一方農家の方でも農繁期には彼らが居ないと、やっていけないのが現状らしい。それならば、農閑期には最低賃金でも実習生のスキルアップに繋がる研修をしっかり行い、農繁期には単純労働でも賃金を増す等の柔軟な運用に変える必要がある。
 一方、不法残留者の数は、法務省統計によれば、平成25年1月1日現在、約6万人であるが、本当の数は不明らしい。現在の日本は人手不足の状況であるが、主として建設関係やサービス関係に限定されている。多分、この分野に多くの不法滞在者が流れているのだろう。
 毎年40万人強の新人労働者は増えるが、定年退職者も多く、昨年4月には生産労働人口がついに8千万人を割ったとの話だ。現在の社会システムを維持しようとすれば、労働者が必要になる。今後技能実習制度の見直しや不法労働者の合法化等が必要になってくる。
 集団自衛権云々の問題でも日本を取り巻く環境変化は誰もが認めている。環境変化は、領土問題だけではなく、グローバ化された世界での人の移動のし易さにもある。難民に関しても、日本はほとんど受け入れを拒否し、単一民族文化を重んじてきた。
生産労働人口減少の時代、積極的平和主義は、軍事面だけではなく、他民族と同居できる文化の育成に力が注がれるべきである。(犬賀 大好-148)