日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

エルニーニョ現象の原因は?

2015年07月18日 09時45分43秒 | 日々雑感
 今年6月九州南部で記録的豪雨があったり、東北地方の入梅が例年よりかなり遅れる等、今年の梅雨は異常状態である。気象庁は、この異常な梅雨前線の動きの一因をエルニーニョ現象と発表している。エルニーニョ現象とは東太平洋の赤道付近で海面温度が高くなる一方、沖縄の南海上からフィリッピン付近では比較的低くなる現象である。
 エルニーニョ現象が起こると太平洋高気圧が発達し難く、このために梅雨前線の北上が遅れる等の因果関係はテレビのワイドショウでも説明され、なるほどと分かったつもりになる。しかし、なぜエルニーニョ現象が起こるかとなると、ほとんど説明が無いと言うより、実際ほとんど分かっていないらしい。
 地球表面には偏西風や貿易風など、年中ほぼ一定に吹いている風がよく知られている。これらの風は、太陽からの輻射熱や地球の自転等も影響して起こる地球規模の現象である。しかし、常に一定ではなく、変動がある。すなわち、エルニーニョ現象の数ヶ月前には、通常赤道付近を東から西に流れる赤道海流の流れが弱まり、同時に西から東に向かって吹く風が強くなる現象が起こるらしい。ラニーニャ現象と言われる逆の現象もある。正に自然現象のゆらぎだ。
 このようなゆらぎの原因は何か、研究者にとって重要かつ研究意欲をかきたてる壮大なテーマだとも言える。振動力学の分野において、自励振動と称する振動が知られている。一般に振動は外からの周期的に変化する力によって振動を起こすが、自励振動においては外からの働きが無くても一旦発生するとその特性から振動が継続するという特徴がある。エルニーニョやラニーニャは、この一種と勝手に想像するが、何とも壮大な現象であろうか。
 このような研究には計算によるシミュレーションや観測手段が必須である。シミュレーションと言えば、スーパーコンピュータである。 日本には世界に誇る超大型計算機、“京” がある。
 更に、気象衛星ひまわり8号が、今年7月7日より、運用が開始された。最近のテレビの天気予報を見ていると、日本を覆う雲の流れが鮮明に分かり、神様になった気分にもなる。また、台風も単なる渦巻きではなく大きな流れの中に細かな不規則な流れも読み取れ、予報の難しさを示唆する。更に、地球温暖化の影響を加味するとなると、一層複雑となろうが、気象学者の奮闘を期待したい。
 しかし、ゆらぎの原因が分かったところで、具体的な対策が立てられるかとなると疑問であるが、そこは科学である。科学は即成長戦略に結びつかないが、子孫のために金を惜しむべきでない。(犬賀 大好-147)