日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

異常気象の頻発を前提に災害対策をすべし

2021年11月24日 09時22分33秒 | 日々雑感
 今月13日に英グラスゴーで閉幕した第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、世界第3位の二酸化炭素排出国であるインドは1位の中国と組んで、化石燃料に関する合意の文言を和らげた妥協案を成立させた。その結果、締約内容には国は火力発電での石炭使用を「段階的に廃止する」のではなく、「段階的に削減する」という文言が盛り込まれた。

 当初からの懸念通り今回のCOP26では、最大の争点であった石炭火力発電の扱いに関し各国の利害が大きく対立した。最近よくインドの首都ニューデリーが有害なスモッグに覆われているニュースを耳にし、また中国の多くの都市も相変わらずそのようだと思うが、石炭廃止に伴う経済の落ち込みを懸念しての判断だろう。

 石炭火力発電についての表現が廃止から削減に弱められたことを巡って、山口環境大臣の発言が注目されたが、何も発言をしなかったようだ。内心ほっとしているに違いない。

 日本の昨年の年間発電電力量の割合は、化石燃料による火力発電が74.9%と依然高いレベルであり、内訳は石炭(27.6%)およびLNG(35.4%)とのことだ。日本は2050年の「カーボンニュートラル」を実現するため、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度から46%削減することを目指しており、更に50%に向けて挑戦するとした目標を示しているが、その実現性は危ぶまれる。

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは”COP26は失敗だ”と批判している。グレタさんの主張はもっともであるが、現状の経済状況を考慮しておらず、政治家は将来の理想を語る前に現実の生活の安定を考えなくてはならないことにジレンマを抱えている。

 ホスト国のジョンソン首相はCOP26は ”私たちは石炭火力発電を段階的に削減する初の国際合意と産業革命前と比べた気温上昇幅を1.5度に抑える行程表を手に入れた”と成果を強調したが、その実行性は弱く、単なる強がりに過ぎない。

 国連環境計画(UNEP)は、各国が掲げる温室効果ガスの削減目標を達成したとしても、今世紀末には世界の平均気温が産業革命前から2.7℃上がるとする報告書を公表しており、ジョンソン首相の発言は空しい。

 さて、このような状況下で世界各地の気温がまんべんなく上昇するのではなく、世界各地に異常気象が頻発することになるだろう。気象庁が発表する世界の週ごとの異常気象情報でも、年間平均より高温な所と低温な所が入り交ざっている。最近50年に一度の大雨との報道をよく聞くが、今後頻繁に各地に発生するに違いない。これに伴い、今年熱海で発生した人災と思われる土砂崩れのような災害も誘発されるだろう。

 世界の努力に拘わらず地球温暖化は着実に進むであろうが、地球温暖化対策を緩めるわけにはいかない。同時に予想される異常気象に対しても最大限の対策を進めるべきである。2021.11.24(犬賀 大好ー766)


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