日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

民進党岡田代表の消費増税先送り戦略は是か

2016年06月25日 09時22分09秒 | 日々雑感
 今夏の衆院選で、民進党はマニフェスを掲げず、「国民との約束」を公約とする方針だ。民主党時代、高速道路無料化などのマニフェストを掲げ、痛い目にあった反省でもあろう。内容は、・経済と暮らしの立て直し、・憲法の平和主義を守ること、の二本柱であるとのことだ。

 経済面ではアベノミクスの失敗で格差が広がったとし、低所得者層への影響を考慮し2019年4月まで消費税の増税を再延期すべきと主張する。理屈的にはその通りであろうが短絡的である。消費税の増税は毎日の買い物で実感される痛みであり、一般庶民に不人気なことはよく理解できる。民主党政権の菅総理大臣時代、突然消費増税を言い出し、民主党没落のきっかけを作ったこともトラウマになっているに違いない。

 消費税の増税再延期は自民党も主張し、安倍首相はこのため約束の社会保障の充実は困難であると予告している。一方民進党は、増税延期に関わらず年金・医療・介護の充実と子育て支援は、予定通り来年4月から実施するとし、その財源は構造改革・身を切る改革等の推進で捻出すると主張する。民主党政権時代にも身を切る改革等を主張し結局実現出来なかった実績がある。今更何を言っているのかと空々しく聞こえる。当初、財源は赤字国債の発行で補うとしていたが、受けが悪かったのかその主張は影を潜めてしまった。

 民進党は消費増税の再延期ではなく、来年4月実施を主張した方が俄然筋が通っている。5月18日に行われた党首討論において、民進党の岡田代表は、1年半前の衆院解散時に、安倍首相は”必ず消費税を上げられる状況にする”と国民に約束した故、果たされないならば、内閣総辞職だと首相に迫った。野党第1党の党首として当然の主張だ。しかし、参院選挙での影響を心配したのか、その直後、増税の再延期も言い出したのには、驚いた。

 安倍首相も岡田代表の言に意を強くしたのか、再延期を正式決定した。今回の再延期も、アンケート調査でも、国民の4割が評価、2割が否定的と答え、国民受けはすこぶる良い。消費税に限らず、所得税、相続税等、何でも増税は評判が悪く、強く主張すれば選挙では負ける覚悟がいる。この意味では、岡田党首の主張はよかったかもしれないが、民進党の存在は薄くなってしまった。

 日本は1千兆円を超える借金を抱え、これまで基礎的財政収支の黒字化を目標にすると言いながらも、相変わらず膨大な借金を増やし続けている。破綻という時限爆弾の導火線の長さは短くなり、爆弾の大きさはますます大きくなっていることは間違いない。確かに、破綻の話はかなり前からあったが、一向に破綻せず、すっかりオオカミ少年化したきらいもある。

 しかし、借金返済のため借金する自転車操業状態が現に起こっている。国の借金が1.1千兆円に迫っており、更に借金を増やしたところで、大した影響は無いと、今年度の赤字国債は28兆3800億円としたが、昨年より減らしたと大見得を切っている。問題を子供や孫世代へ先送し、我が世を謳歌していることが一番の問題だ。

 消費税増税の再延期は、国民が買い控えし日本経済が低落するとの理由であるが、そんな理由より選挙目当てであることが明白である。消費増税は、野田元首相が命をかけた3党合意の筈であったが、簡単に否定されそうだ。安倍首相もあれほど胸を張って来年4月実施すると確約していたが、”新しい判断”であるとあっさりと覆してしまった。

 今回に限ったことではないが、首相の言の軽さは一層の政治不信を招いた。今回の選挙は、18歳~19歳の若者が初めて参加する選挙である。マスコミは、連日若者を登場させ、政治に関心を持っているようなコメントを載せ盛り上げようとしている。しかし、大半の若者は政治に無関心であろう。その大きな理由は、政治は自分とは関係ないところで行われているとの政治不信にあることを肝に銘ずべきである。

 民主党政権時代のていたらくを今でも誰も忘れていない。岡田代表が何を主張しても、民主党政権時代はどうであったとか、対案を出せとか、すっかり弱みを握られている。政権奪還など夢のまた夢である。消費増税の再延期を主張して選挙民のご機嫌を取るより、予定通りの実施を主張し、国家100年の計を念頭に、政治の信頼回復に努めるべきであろう。

 なお、消費税の10%化が本当に日本経済の低迷に結び付くのであろうか。多少影響はあるかも知れないが、根本にあるのは政治不信だ。所得が増えても老後の蓄えの為に消費を控えるのも、政治不信が根にあるからだ。

 今回の参院選では、自民党、民政党ともに、「分配と成長」をキャチフレーズにしている。しかも民進党は民主党時代の弱みを握られ、何を言っても否定される。民進党は、自民党と同じ土俵で争うのではなく、別の観点から争うべきである。すなわち、日本が抱える時限爆弾を子孫に引き渡さないように、今何をなすべきか、アベノミクスは時限爆弾の縮小に役立っているのか、政治不信はなぜ起こるのか、を取り上げるべきだと思う。
2016.06.25(犬賀 大好-245)

コメントを投稿