日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

飽食の国日本はいつまでもつか

2016年06月22日 09時23分46秒 | 日々雑感
 地球上に住む人間は、現在73億人と推定される。国連の「世界人口展望」は、21世紀半ばには90億人を突破、その後は増加のペースが鈍化していくものの21世紀末までに100億人を突破するだろうと予測している。世界の人口が100億人に達した場合、種々の問題と直面するが、食料問題もその一つだろう。

 食料は、現在の食事のとり方を続ける限り、100億人を食べさせられることは到底出来ない。米国の平均的食生活を基準にすると、この地球は26億人分の食糧しかまかなうことができないと言われている。日本人は米国人ほどでは無いだろうが、どんどん欧米化していることは間違いない。

 世界で、穀物は年間 24億トンも生産されているが、これは世界中の人が生きていくのに必要な量のおよそ2倍にもなるそうだ。しかし、これは穀物のみを食する場合の話であり、人間は穀物と同時に蛋白源である肉を食べるため、多大な穀物が飼料として使用される。牛肉1キロ作るために11キロ、豚肉1キロのために7キロ、鶏肉1キロのために4キロの穀物が消費されてしまうのだ。

 最近マグロの養殖が盛んになり、マグロ資源の枯渇の心配がなくなったと喜ぶ人もいるが、畜養マグロの体重を10キロ太らせるためには、200キロ前後にも及ぶイワシのエサが必要だそうで、何におかいわんやである。

 今、世界には約10億人の「飢餓人口」があると言われているが、日本では飢餓で亡くなったとの話はまず聞かない。児童虐待による飢餓で亡くなったとの話は例外的にあるが、ホームレスの人が糖尿病に罹る位で食料は十分にある。日本に居ながら、世界中の食材を味わうことが出来る。テレビ番組では連日グルメを取り上げ美食を誘っている。TPPが発効すれば、食料が更に安く手に入る。食べ物に関しては、日本は我が世を謳歌している。

 しかも、大多数の日本国民はこれが当たり前だと思い込んである。世界中の食べ物を買いあさり、食い散らかした挙句の食品ロスの多さを猛省し、食料自給率の低さが示す不安定さを心に止めておかなければならない。

 日本は年間 5500万トンの食糧を輸入しながら、1800万トンも捨てているのだ。廃棄される食品は、加工工程でごみとなって捨てられるもの、流通過程で賞味期限等の理由で捨てられるものもあるが、日本の食品廃棄の実に半分以上にあたる1000万トンが家庭から捨てられているのだそうだ。この家庭からでる残飯の総額は、日本全体で年間11兆円、これは日本の農水産業の生産額とほぼ同額となり、さらにその処理費用で、2兆円が使われているとのことだ。TPPで食料が安価に手に入れば、更にこの無駄は増えること間違いなしだ。

 終戦直後に育った人間は、茶碗に米粒一つ残しても叱られた。お百姓さんが一年かかって育てたお米は一粒なりと大切にしなければならないと。”先祖を敬え”等の道徳教育は好きになれないが、”もったいない”の精神は是非学校でも教えていただきたい。

 長野県では、平成22年度から食品ロスの削減を目指し、飲食店や宿泊事業者にも協力願い「食べ残しを減らそう県民運動」を実施しているそうだ。具体的には、飲食店で注文の際に適量を注文しよう、等との運動だ。余談だが、長野県は介護予防の点でも県民運動が盛んであり、医療費が大幅に削減出来ているそうだ。いづれも信濃教育の成果であろう。学校教育の重要さがうかがい知れる。

 一方、日本の食料自給率は、40%以下の低さだ。この低さのお陰で、世界中の一番安い所から輸入できるという長所を最大限に利用して、世界中から食料を安く手に入れることが出来ているのだ。また、逆に安く入手できるから、国内の生産は育たず、食料自給率が下がるのだ。しかし、世界に食料が十分にある時には、食料自給率の低さは利点となるが、不足状態となると途端に欠点となる。地球温暖化による異常気象は世界のいたる所で発生しており、不足状態はいつ何時やってきてもおかしくない。

 国内農業の育成と海外からの輸入のバランスをどうとるか、いろいろな意見がある。農協におんぶに抱っこの兼業農家はさておき、農業に挑戦する若者たちは、是非応援したい。自由貿易の流れは止められないであろうが、少なくとも若者の挑戦は積極的に応援すべきだ。日本の将来は若者にかかっているのだ。
2016.06.22(犬賀 大好-244)

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