日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

格差拡大と税制を考える

2015年01月08日 10時09分48秒 | 日々雑感
 グローバル経済は新自由資本主義と相俟って大暴走中である。米国では、ニューヨーク株式市場において31日、2014年最後の取引が行われ、ダウ平均株価の終値は1万7800ドル余りとなり、この1年好調なアメリカ経済を反映して7.5%上昇して取引を終えたとのことだ。
 好調さを支えているのが、シェールオイルブームであり、それに拍車をかけるのは「60か月金利0%」の特別な自動車ローン等のようである。元FRB副議長 アラン・ブラインダー氏も、バブルが起きることを心配していると公言している。
 リーマンショックの反省を踏まえ、米国では各種の規制が設けられたが、どこ吹く風と好景気に沸いているようだ。リーマンショックで大損した人もおれば、大もうけした人もいるはずだ。大もうけした人はもう一度と、大損した人は今度こそ挽回をと、マネーゲームをしているに違いない。マネーゲームも仲間内だけで済めば問題ないが、米国経済は世界経済に影響を与える。黒田日銀総裁は、日本経済はコントロール可能と胸を張るが、日本経済がコントロール外の米国経済の影響をもろに受けることは間違いない。
 米国では好景気の一方、ピケティブームが起きているようだ。トマ・ピケティ氏が、1970年代以降生じている貧富の格差拡大を統計的にきちんと説明したからだそうだ。ピケティ氏は、格差の拡大した社会では、「所得の格差を決定づけるのは、個々人の能力ではなく、個々人が初期条件として所有する資本、つまり相続で得た富である。」と、主張する。また、このような社会では人々は市場経済を支える前提である「機会の平等と能力主義への信頼」を失う、とも主張する。これを克服するには所得の累進税率の引き上げと再分配の強化だけでは十分ではなく、資産に対する累進課税が必要であるとピケティは提言する。
 我が日本でも、貧富の格差が拡大しているとの指摘がある。税制においても、子育て支援や孫の教育費に対する贈与税の控除拡大が、格差固定化に繋がるとの指摘がある。これは高齢者の持つ莫大な資産を吐き出させようとの魂胆からであろうが、格差拡大に寄与することは間違いない。
 また、今年より相続税が大幅に引き上げられる。相続税の引き上げは、富の再配分には間違いなく役に立つ。これにより資産が海外に逃避するとの指摘があるが、そんなことを心配していたらきりが無い。問題が大きくなったら対策を講ずればよい。対処策はいくらでもあるはずだ。
 更に、ピケティ氏の主張する所得税と資産課税を上げれば起業家はやる気を失い、人々はリスクを取らなくなるとの指摘があるが、格差固定化によるやる気の減退や増大する社会不安のリスクとの比較の問題である。経済学者は答えを用意すべきだ。(犬賀 大好-91)

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