日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新しい資本主義に期待するところ大ではあるが

2022年08月20日 10時09分49秒 | 日々雑感
 1980年代から2000年代にかけて、市場や競争に任せればうまくいくという”新自由主義経済”と呼ばれる考え方が台頭し、グローバル化が進展することで、世界経済が大きく成長したかに思えた。しかし、経済的格差の拡大、気候変動問題の深刻化、過度な海外依存による経済安全保障リスクの増大等、多くの弊害も生んだ。

 特に、グローバル経済の発展は人々の往来を活発化し、これが新型コロナウイルス感染症拡大に大きく影響した。また、物流のグローバル化は、エネルギーや食糧資源の世界共有に貢献したが、ロシアのウクライナ侵攻により、ロシアの天然ガスやウクライナの穀物の輸出が停止し世界中が大迷惑している。米国におけるトランプ前大統領の人気は相変わらず高いが、これも急激に変化するグローバル経済に落ちこぼれた人々の不満の捌け口となっている側面もあろう。

 過度な自由主義経済は多くの弊害を生んでおり、これに代わると思われる”新しい資本主義”は一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現するものと期待される。岸田首相の新しい資本主義の具体的な中身がはっきりしないが、”成長と分配”の考えは、安倍元首相の進めた異次元金融緩和による格差拡大を解消するものと期待したい。

 岸田政府は ”成長と分配の好循環”と”コロナ後の新しい社会の開拓”を実現するとして、内閣に新しい資本主義実現本部を設置した。今年5月31日、総理大臣官邸で第8回目の新しい資本主義実現会議が開催されたようだが、理念が先行するばかりで、具体策が余り聞こえてこない。会議資料の中に、新しい資本主義を貫く基本的な思想は、①「市場も国家も」、「官も民も」によって課題を解決すること、②課題解決を通じて新たな市場を創る、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎を実現すること、③国民の暮らしを改善し、課題解決を通じて一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現すること、と有難い言葉が並べられているが、中身が伴わない文言は、御託に過ぎない。

 現在の日本は、少子高齢化、経済格差、1000兆円を越える国の借金、インフレ等、対外的には韓国との徴用工を巡る問題、ロシア産エネルギー資源問題、北方4島問題、対中国問題等、枚挙にいとまがない。

 新しい資本主義はどうも国内向けの対策のようで対外的な問題は別扱いのようであり、こちらはこちらでどのように対応するか注目される。と言いながらも、国内の難課題一つでも無事解決できれば、万々歳とするべきであろう。

 さて旧統一教会の自民党への浸透ぶりがますます明らかになってきた。これも安倍元首相の影響によるところが大きいのであろうが、安倍氏の8年間の実績も国葬に値するどころか、先述の国内問題の元凶と評価すべきであろう。
2022.08.20(犬賀 大好ー839)