日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

人命優先はコロナウイルス対策か経済対策か

2020年07月08日 09時10分11秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルス感染拡大の動きが止まらず、ついに世界の感染者数は6月末1000万人を超えた。しかし、経済の失速を恐れ各国は規制解除を始めているが、その程度は国によって様々である。さて累計感染者数は、第1位が米国、次いでブラジル、ロシアと続くがこれらの国に共通するのは、国の指導者が感染拡大抑止よりも経済活動を重視する姿勢を示している点だ。

 ワクチンが開発されていない今日、最大の感染防止対策は人と人の接触をひたすら避けることであり、このため営業自粛や工場閉鎖がされたため経済が失速し、失業者が激増することになった。

 米労働省が6月11日発表した統計によると、新型コロナウイルスの感染拡大により職を失った人の数は計4420万人に達したとのことだ。一方米ジョンズ・ホプキンス大学は同日米国内の新型コロナウイルスの累計感染者数が少なくとも200万人を超えたと報告した。隠れ感染者が報告数の10倍はいるとの説もあるがそれを含めたとしても失業者の方が圧倒的に多い。

 日頃の蓄えの無い人々にとっての失業は日々の糧を失うことであり死活問題だ。何か商売を営む人にとっても営業自粛は日々の収入が無くなり失業者と同様になる。これらの人々に政府の何らかの支援をするだろうが、政府に財源が無限にある訳ではない。

 コロナ感染予防対策は人命の安全にあるのは当然であろうが、感染を免れ命が助かっても栄養失調等で死亡では何のための対策か分からない。コロナに感染し命を失うリスクと、食料を断たれて命を失うリスクの両方を考慮しなくてはならない。

 このため経済活動を最低限保っていかなくてはならなため、感染拡大の中にあって経済を再開させる動きがあるのは理解できる。しかし商売人のトランプ大統領が今年11月の大統領選を控え、景気回復を優先する姿勢を示しているのはコロナ感染より人数が多い失業者対策に的を絞っている為かも知れない。

 さてそもそもトランプ大統領はこのウイルスを甘く見ており、経済の規制に消極的である。この点、ブラジルのボルソナロ大統領も同じであり感染阻止にかじを切る兆候はない。

 さて、感染症は人口の6~8割が免疫を得ることで自然消滅するとのことであり、米国やブラジルの指導者はこのまま拡散拡大を黙認し自然に消滅することを願っているのかも知れない。しかし米国の感染者は隠れ感染者を含めて2000万人いるとしても、米国の人口を3.3億人として計算すると、まだ6%の感染率で、自然免疫の条件には程遠い。また、ブラジルは人口が約2.1億人、7月始め累積感染者が約154万人とのことであるが、隠れ感染者を含め予想される累積感染者数を1500万人としても感染率は約7%で、米国同様にまだまだ低い。

 更に感染しても抗体の持続期間が1年足らずの可能性もあり、自然に収束するのを期待するのは百年河清を俟つの如しかも知れない。一方、世界的に予防ワクチンの開発が急であるが、ようやく臨床試験が始まったばかりであり実際に使用できるのは2,3年先になると言うのが定説である。ワクチンが実用化されるのが早いか、自然消滅する条件が揃うのが早いか。兎も角時間がかかる。
2020.07.08(犬賀 大好-615)