日々雑感

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来年の東京五輪に新型コロナウイルス用ワクチンは間に合わないだろう

2020年07月15日 09時06分02秒 | 日々雑感
 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発プロジェクトは現在世界で120以上が進行中だそうだそうだ。ワクチンの役目は人体に抗体を作ることであり、従来の方法は活性化または不活化のウイルスそのものを体内に入れて抗体をつくる方法であり、開発に時間と、費用を多大に要した。

 最近、遺伝情報や遺伝子組み換え技術を使う新しいタイプのワクチンの開発が試みられ、この種のワクチンは開発期間を大幅に短縮できる可能性があり、中にはゼロからワクチンを作りわずか数カ月で臨床試験に持ち込むことができたと述べる企業もあるのだそうだ。しかも大量生産が容易で、製造コストも安く出来る利点、更にウイルスそのものではないので病原性はなく、安全性が高いという利点もあるのだそうだ。

 現在遺伝子を利用したワクチンは家畜には使われているが、人間への使用はまだ承認されていないそうだが、上記の利点によりこの技術を取り入れた数多くのワクチンの開発が試みられ、早期に使用できる期待が膨らむ。

 ワクチンの開発過程においては臨床試験が必須であり、早い所では臨床試験を始めた企業もあるようだが、従来型のワクチンと同様に3段階の試験を踏まなくてはならない。

 第1段階では数十人程度の健常者に接種して安全性を簡単に確認する。第2段階では数百人の健常者で抗体の出来具合や年齢による違い、投与法などを検討する。最後の第3段階では数千人以上の大集団に接種し、副作用も含めた安全性確認と免疫の有効性を調べるのだそうだ。

 副作用は個人差や症状が出るまでに時間がかかる等、安全性の確認には膨大な時間を要すると思われる。この過程でワクチン候補の9割は実用化できず失敗に終わると言われている。

 また、ノーベル医学・生理学賞を受けた本庶佑教授は新型コロナウイルスはその構造が不安定で、遺伝子が変異し易いため、効果的なワクチンを作るのは難しいと述べている。すなわちインフルエンザのワクチンを打っても効かないことが多いのは、流行している間にウイルスの遺伝子が変異し易いため、ワクチンが効き難くなったり、全く効かなくなったりするのだそうだ。

 このような関門を突破し、無事開発されたとしてもワクチンの使用はまず開発した国が優先されるであろう。そこで日本国内に早期に安定供給するためには、国内で開発・製造する必要があることになる。

 各国の開発が急であるが、日本も負けていない。バイオベンチャーのアンジェスは6月に、大阪大学と共同開発した新型コロナウイルス向けの遺伝子ワクチンの臨床試験を開始したと発表した。健康な成人を対象に、筋肉内にワクチンを接種し、安全性と免疫原性を評価するそうだからまだ第1段階の試験だ。試験期間は2021年7月31日までを予定している。国内で最初の治験とのことだが、結果が分かるのは来年の夏だ。東京五輪の開催までに間に合わなさそうだ。

 また、大阪市に本社を有するアストラゼネカ株式会社は、日本国内における供給に向けて、日本政府と具体的な協議を進めることに合意したと6月26日発表したが、同社のワクチン開発がどの程度進んでいるかよく分からないが、随分先走っている感もする。2020.07.15(犬賀 大好-617)