日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

トランプ大統領の掌で踊らされる安倍首相

2019年07月10日 08時55分10秒 | 日々雑感
 先月25日、米国トランプ大統領が、日本との安全保障条約を破棄すべく熟考中、と周囲との私的な会話の中で述べたとの報道があった。翌26日には、この安保条約を不平等だとする見解を公に示し、安保条約破棄も全くの絵空事でもなさそうである。

 安倍首相は日米首脳会談がある度に、日本と米国の同盟関係が揺ぎ無いものであることを確認したとの談話を出しているが、これもトランプ大統領のリップサービスに旨く乗せられているようにも見える。

 先の発言の裏には、日米貿易交渉を有利に進めるための脅かしがあるとの話であり、安保破棄は商売上の駆け引きの一つかもしれない。実際、当面の問題は日米貿易交渉である。そこでは環太平洋経済連携協定(TPP)の水準を超える要求、為替条項や自動車の数量規制の要求等、裏では相当強い要求があるとの予測であるが、安倍首相は耐えきれるだろうか。

 トランプ大統領は来年の大統領再選選挙を控え成果を焦っており、安倍首相のへつらい外交を旨く利用しているように見える。安全保障では米国におんぶに抱っこの日本は高額兵器を言い値で買わされ、沖縄問題でも日米地位協定を盾に、沖縄住民の安全軽視が際立っている。

 高額兵器の筆頭はイージスアショアと呼ばれる地上配備型のミサイル防衛システムである。これまで我が国に飛んでくるミサイルはイージス艦によって撃ち落とす作戦であるが、船を動かすためには多くの人員を要するため、地上配備型は運用面でメリットが数多いとの宣伝文句だ。

 北朝鮮のミサイル攻撃に備えるためとの配備説明であり、山口と秋田に設置予定とされる。ただ、2基配備には総額6千億円以上を要し、1隻約1700億円のイージス艦3隻分以上に相当する巨額な買い物である。

 さて、今年5月上旬に、北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射実験があった。安保理決議は、北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も禁じているが、トランプ大統領は、気にしない、とツイッターに書き込んだ。

 トランプ大統領は北朝鮮の米国にまで届く長距離ミサイル実験には断固反対するであろうが、日本が射程範囲となる短距離ミサイル実験は容認しているのだ。これも日本にイージスアショアを売りつけるための作戦であると思うと、安倍首相のお人好しに呆れ、毅然たる態度を期待したい。

 一方、イランと米国が核開発を巡り揉めている最中、安倍首相は米国とイランの間の危機打開の仲介役への期待を担いイランを訪問した。イランと日本は昔から友好関係にあり、また安倍首相がトランプ大統領と親密な関係にあるとみなされていることから、安倍訪問が米国とイランの緊張緩和の仲介が出来るとかすかな期待があったが、予想通り思惑が外れた。

 そもそも、日本にイランと米国の仲裁が出来るほどの外交カードがあるのか疑問視されたが、これもトランプ大統領の煽てに乗った結果であろう。

 しかも首相のイラン訪問中に日本の石油タンカーに対する爆破攻撃があった。選りによって訪問中の出来事である。米国はイランの革命防衛隊の仕業と主張するが、イランは真っ向反対している。

 イランにとって何ら得るものが無い一方、イランの仕業と見せかけて日本を怒らせ、日本とイランを仲違いさせようとの誰かの魂胆にも見える。トランプ大統領の魂胆で無ければ良いが。2019.07.10(犬賀 大好-562)