英国はEU離脱の是非を巡って迷走しているが、この問題の底には、自由主義経済によるグローバル化の弊害問題があり、近い将来日本にも同様な問題が引き起こると思われる。
グローバル資本主義は本質的に国の内外を問わず経済格差を助長する。企業はより多くの利益を求め、消費者はより安く良いものを求める。このため、企業は世界中に生産・販売網を展開して、効率化を徹底する。効率化の中には富の平等化の考えは毛頭無い。富は1局に集中し、大企業は中小企業を吸収し益々大きくなる。
課税は富の平等化を図る有効な手段であるが、税の徴収は国の単位でしか行われない。最近GAFAと言う言葉が良く聞かれる。これは、Google、Apple、Facebook、Amazonの世界的な企の業の頭文字を綴った名前である。グローバル企業はGAFAに代表されるが、世界には国家の国内総生産 (GDP) を軽く超える多国籍企業が多く存在し、国境を越えて資金と物資を自由に動かすことが出来る。
一方、税金は儲けに応じて課税される筈であるが、どの国でどの位い儲けたなどの数値は明確には出せないであろうし、大企業はこれを逆手にとって税金逃れをしていると思われる。しかし、このようなグローバルな企業を規制することのできる国際機関や法は現時点では存在しないのだ。
更に、自国の税金を逃れるためにタックスヘイブンと称する税制上の優遇措置を設けている国または地域に名目上の本社を設け、節税している企業も無数にある。
経済のグローバル化は、経消費者の生活を便利で豊かにしてきた反面、このような課税問題や経済格差、個人情報の独占等、様々な面で世界各国に弊害をもたらしている。
かっての英国は産業革命以来、常に時代の先端を走り、我が世の春を謳歌することが出来た。第2次世界大戦後のイギリスには、”揺りかごから墓場まで”、と福祉の充実した理想国家というイメージがあった。しかし、1960年代以後、世界中の人が羨ましがった福祉の先進国英国がイギリス病に罹った原因の一つは国内産業の衰退にある。
国内産業の衰退の原因は、戦後誕生した労働党内閣による主な産業の国営化政策のため、競争が十分行われず、設備の近代化が遅れ、国際競争力を失しなってしまった、が通説だ。
しかし、それよりもイギリスを羨ましがる周辺国家のハングリー精神が勝っていたのだ。新しい産業を興すより、真似をした方が立ち上がりが早いし、満腹状態より空腹状態の方が吸収が早いのは自然の摂理だ。
イギリス病の治療のため、1979年に保守党のサッチャーが首相に就任し、”サッチャー革命”と評価されるような構造改革を行った。
そこでの経済の立て直しは金融関係が主であった。しかし、ロンドンのシティが牛耳っていた金融部門も、グローバル化の一環として行われたビッグバン政策と呼ばれる規制緩和によって外国資本の参入が認められると市場を外国資本に奪われ、国内企業が競争に敗れるという結果を招いてしまった。
イギリスは1973年にEUに参加し、EUの中でグローバル化の恩恵を享受できたのもはじめの頃で、次第に弊害が目立ってきた。そもそもEU統合は経済の活性化により、富の平等化に繋がるはずであったが、逆にEU域内でも経済格差が広がり、国内にも貧富の格差拡大等といった社会問題を引き起こす結果となった。
そこでグローバル化を問う国民投票により僅差でEU離脱が決まったが、貧しい層が離脱賛成派であったであろう。
経済先進国ではグローバル化の弊害が顕著になり自国第1主義が勢を増す一方、アジア諸国は1周遅れでグローバル化に邁進している。現在日本はアジアのグローバル化の中で潤っている反面、その弊害も既に現れ始めており、いずれ英国と同様に反グローバル化の波が押し寄せるであろう。2019.03.16(犬賀 大好ー529)
グローバル資本主義は本質的に国の内外を問わず経済格差を助長する。企業はより多くの利益を求め、消費者はより安く良いものを求める。このため、企業は世界中に生産・販売網を展開して、効率化を徹底する。効率化の中には富の平等化の考えは毛頭無い。富は1局に集中し、大企業は中小企業を吸収し益々大きくなる。
課税は富の平等化を図る有効な手段であるが、税の徴収は国の単位でしか行われない。最近GAFAと言う言葉が良く聞かれる。これは、Google、Apple、Facebook、Amazonの世界的な企の業の頭文字を綴った名前である。グローバル企業はGAFAに代表されるが、世界には国家の国内総生産 (GDP) を軽く超える多国籍企業が多く存在し、国境を越えて資金と物資を自由に動かすことが出来る。
一方、税金は儲けに応じて課税される筈であるが、どの国でどの位い儲けたなどの数値は明確には出せないであろうし、大企業はこれを逆手にとって税金逃れをしていると思われる。しかし、このようなグローバルな企業を規制することのできる国際機関や法は現時点では存在しないのだ。
更に、自国の税金を逃れるためにタックスヘイブンと称する税制上の優遇措置を設けている国または地域に名目上の本社を設け、節税している企業も無数にある。
経済のグローバル化は、経消費者の生活を便利で豊かにしてきた反面、このような課税問題や経済格差、個人情報の独占等、様々な面で世界各国に弊害をもたらしている。
かっての英国は産業革命以来、常に時代の先端を走り、我が世の春を謳歌することが出来た。第2次世界大戦後のイギリスには、”揺りかごから墓場まで”、と福祉の充実した理想国家というイメージがあった。しかし、1960年代以後、世界中の人が羨ましがった福祉の先進国英国がイギリス病に罹った原因の一つは国内産業の衰退にある。
国内産業の衰退の原因は、戦後誕生した労働党内閣による主な産業の国営化政策のため、競争が十分行われず、設備の近代化が遅れ、国際競争力を失しなってしまった、が通説だ。
しかし、それよりもイギリスを羨ましがる周辺国家のハングリー精神が勝っていたのだ。新しい産業を興すより、真似をした方が立ち上がりが早いし、満腹状態より空腹状態の方が吸収が早いのは自然の摂理だ。
イギリス病の治療のため、1979年に保守党のサッチャーが首相に就任し、”サッチャー革命”と評価されるような構造改革を行った。
そこでの経済の立て直しは金融関係が主であった。しかし、ロンドンのシティが牛耳っていた金融部門も、グローバル化の一環として行われたビッグバン政策と呼ばれる規制緩和によって外国資本の参入が認められると市場を外国資本に奪われ、国内企業が競争に敗れるという結果を招いてしまった。
イギリスは1973年にEUに参加し、EUの中でグローバル化の恩恵を享受できたのもはじめの頃で、次第に弊害が目立ってきた。そもそもEU統合は経済の活性化により、富の平等化に繋がるはずであったが、逆にEU域内でも経済格差が広がり、国内にも貧富の格差拡大等といった社会問題を引き起こす結果となった。
そこでグローバル化を問う国民投票により僅差でEU離脱が決まったが、貧しい層が離脱賛成派であったであろう。
経済先進国ではグローバル化の弊害が顕著になり自国第1主義が勢を増す一方、アジア諸国は1周遅れでグローバル化に邁進している。現在日本はアジアのグローバル化の中で潤っている反面、その弊害も既に現れ始めており、いずれ英国と同様に反グローバル化の波が押し寄せるであろう。2019.03.16(犬賀 大好ー529)