2月末行われた米朝首脳会談は物別れに終わり、今後の両国の出方が注目されている。トランプ政権は、非核化をめぐる交渉のボールは北朝鮮側にある、として、今後の交渉は北朝鮮の出方を見極めながら検討していく方針だそうだ。
トランプ大統領は北朝鮮の金正恩委員長との関係は良好だとして、北朝鮮がアメリカの期待に反して核やミサイルの実験に踏み切ることはないだろうと楽観視している。
最近活発化しているらしい東倉里の動きは、米国の衛星監視を意識した見せかけとの説もあり、両者の腹の探り合いは第3者的には面白い。
トランプ大統領は来年の大統領選挙に向けて、米朝会談を人気復活の切り札にしようと焦っていたようだ。金正恩委員長はこの焦りにつけ込んで経済制裁を解除しようと過度に期待していたが、会談決裂に終わった。結果、両者とも国内で苦境に立たされることになった。
と言いながらもトランプ大統領の苦境は今回に始まったものではない。昨年4月にはイラン核合意を破棄したり、TPPや地球温暖化に関するパリ協定からの離脱等、国際協調を乱すものとして世界の国々から批判を浴びている。
直面する問題は米中間の貿易問題である。トランプ大統領の関税増攻撃に中国も米国から輸入される農作物に報復関税を課しており、米国農家の打撃も大きくなった。そこでトランプ大統領は自国農家へ配慮せざるを得なくなり、今年に入ると態度を軟化し始めた。その結果、3月2日の25%への関税引き上げは延期された。
一方中国でも、先日行われた全人代では、米国の要求に応じて外資の技術を中国側に強制移転させることを禁じた”外商投資法”を可決し、李克強首相は米国との貿易協議については、互いに利益のある結果となることを世界も望んでいる、と言及し、歩み寄りの姿勢を示している。
両国の間には依然ハードルは残るものの話し合いは進んでおり、近日中に予定されている米中首脳会談で正式な合意が結ばれる可能性があるとマスコミは報道している。逆に少しでも話の進展があれば、トランプ大統領のこと首脳会談がすぐにでも行われるだろうが、全面的円満解決とまではならないだろう。
また、トランプ大統領のロシア疑惑の霧は、大統領の元顧問弁護士の連邦議会での証言で一層深まったが、新任のウィリアム・バー司法長官が24日、トランプ氏やトランプ陣営がロシアと共謀した証拠はないと連邦議会に報告したため、大統領は胸をなでおろしていることだろう。
ロシア疑惑が遠のいたと言え、トランプ大統領の自分第1主義の態度や政治の行き詰まり等、来年のトランプ大統領の再選は無理と思われるが、トランプ大統領の最大の功績は、これほどの馬鹿気た行為にも拘わらずなお支持する保守層の存在を明らかにした事であろう。それも全国民の40%程度もあるのだ。
次期大統領が誰になろうと、トランプ大統領をこれほどまでに熱烈に支持する人々の存在を意識しなくてはならないだろう。2019.03.27(犬賀 大好-532)