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日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

忖度する官僚は安倍政権が生みの親

2017年06月21日 09時48分33秒 | 日々雑感
 共謀罪に関する法律では、運用の仕方によって拡大解釈される懸念があるにも関わらず、多数を占める自民党議員のイエスマン集団の賛成により決まってしまった。投票の際、騒ぐ野党議員に向かって、 ”共謀罪で逮捕だ”とやじった議員がいたとの話だ。共謀罪とはいともたやすく拡大解釈される典型例だ。現段階では冗談で通ずるかもしれないが、運用の仕方により、冗談で無くなる恐れは十分にある。

 民主党の政権時代は決められない政府と揶揄されていたが、安倍一強体制が確立した現在、強引に決める政府が大手を振っている。19日の記者会見で、安倍首相は国会運営の強引さを反省したが、恐らく言葉だけで今後も同じ運営を続けるであろう。これは、直近の都議選を意識した発言で、国民はすぐに忘れると期待しているのだろう。国民も馬鹿にされたものだ。

 今月16日朝、共謀罪を成立させた直後の毎日新聞の全国世論調査では、安倍内閣の支持率は36%、不支持率は44%となり、不支持率が1年8カ月ぶりに支持率を上回った。

 政権発足からすでに約4年が経過している安倍政権だが、これまで内閣支持率は発足当時からほとんど低下しないという未曾有の高値安定状態を維持していた。なぜ、安倍一強体制が確立したのか、色々な説がある。

 民主党の政権時代のていたらく、自民党のキャッチフレーズ政策や広報・宣伝戦術の巧みさ、等色々理由が指摘されるが、その一つに官僚の人事権を掌握したことが含まれていると確信する。

 森友学園問題では財務省の、加計学園問題では内閣府や文科省の集団忖度が問われている。官僚は政権の上層部が何を希望するかを察知、忖度し、実行に移す。官僚は国家公務員の上級試験を経てきた超優秀な集団であり、一を聞けば十を知る人間ばかりの筈である。

 文科省が内閣府から総理のご意向などと記載された文章に関し、荻生田副官房長官がそんな指示を出した覚えは無いと述べたが、恐らく直接指示したことは無いだろう。官僚であれば直接の指示は無くても普段の言動より、何を欲しているかは充分心得ている。

 この忖度システムの良い点は、いちいち具体的に指示しなくてもことが実行されるばかりでなく、何か問題が起こりマスコミに騒がれた場合でも、そんなことを言った覚えが無いと、責任逃れが出来ることである。

このような素晴らしいシステムが出来上がったのは、官僚の人事権を内閣が握ったからである。安倍首相のおひざ元である内閣官房に内閣人事局と称する組織があり、国の省庁の幹部の人事をまとめて管理する役割を担うところである。

 この組織は、官僚の採用が省庁別々に行われているため、どうしても縄張り意識が生まれやすく、国益よりも省益を優先しているという弊害があったことを踏まえ、出来たのだ。

 例えば、保育園は厚労省の管轄、幼稚園は文科省の管轄と別れており、小学校入学前の教育の一貫性や、少子化に向けて統一が望ましい状況下にある。しかし、それぞれ官庁が縄張りを主張し、統一することが出来ず、結果、喧嘩両成敗で内閣府管轄の認定こども園の制度が作られた。これで、教育体系は一層複雑化し、幼保一体教育の理念は吹き飛んだ。

 このような出来事の反省を踏まえ、2012年の総選挙で樹立した第2次安倍政権下で、内閣人事局が2014年設置された。以降国家公務員の人事は、最終的には、すべて内閣の権限と責任の元で行われ、首相をはじめとする政治家の関与が強まった。

 民主党政権では官僚を十分使いこなすことが出来なかったことが、崩壊の原因の一つと言われていた。しかしこの制度の成立により、官僚は政府の言いなりになった。森友、加計学園問題では、たまたま文科省や内閣府が問題になっているが、この問題に関わりある筈の財務省や農水省では大きな問題となっていない。安倍首相は文科省人事に大いに口を挟むであろう。2017.06.21(犬賀 大好-348)