日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

トランプ新大統領の対ロシア政策

2017年01月21日 09時48分51秒 | 日々雑感
 本日(21日)早朝、トランプ新大統領の就任演説が行われた。しかし、これまでの大統領のように世界に向けた格調高いものではなく、選挙戦におけると同様な国内向けの演説であった。これを切っ掛けに世界は大きく変わると予感させもした。

 さて、昨年11月8日の大統領選において、民主党の中枢組織などがサイバー攻撃されたのはロシアが関係していたと、米国中央情報局(CIA)等は結論付けたとの報道があった。これを受けて、オバマ大統領は29日、米駐在のロシア外交官ら35人を国外退去処分にするとの報復措置を発表した。

 これに対し、プーチン大統領はロシア側のサイバー攻撃疑惑を否定するとともに、報復措置をしないと発表した。まさに大人の対応であると感心させられたが、国際政治はそんなに単純ではなさそうだ。

 通常ロシアは過剰なほど反応するが、今回は対抗措置を控えている。これは、米国新大統領のトランプ氏が米情報機関による見方を一蹴していることが一因と思われる。

 しかし、今月11日に行われた記者会見で、大統領選中に民主党本部のメールサーバーなどがハッキングされたのは、ロシアによるものだと公的に初めて認めた。それまで頑として認めてこなかったロシアの介入を認めたのは、情報機関のトップがトランプ・タワーを訪れ、2時間に渡ってロシアのサイバー攻撃に関する説明を行った結果のようである。しかし、トランプ氏が本当に確信したのかどうかは、不明である。

 そもそもロシアはこれ以前から大規模なサイバー攻撃を繰り返してきたようであるが、情報通信技術の総本山の米国情報機関でさえ、なぜ防ぐことが出来なかった不思議である。今回の選挙ではサイバー攻撃が無くても結果は変わらなかったと言われているが、選挙結果を左右するようなことがあれば、民主主義の破壊であり、恐ろしい事態が予想される。ある意味、核兵器攻撃に匹敵する。

 トランプ氏の次期大統領当選を祝して、プーチン氏は電報で、共に露米関係を改善し世界の安全保障問題に取り組んでいこうという歓迎のメッセージを送ったそうだ。そもそもトランプ氏がプーチン氏と仲が良いのは、トランプ氏の事業がロシアと深く結びついているためと勘繰られる。不動産事業などを通じてロシア政財界の要人と昔から付き合いがあったとされるが、ロシアとの間に何らかのつながりが存在するのかは目下のところ不明のようだ。

 さて、迷走していたトランプ大統領の国務長官選びが、やっと決着したようだ。米石油大手エクソンモービルのティラーソン元最高経営責任者(CEO)がトランプ政権の外交を担うことになったとのことだ。

 ティラーソン氏は上場する世界最大級の石油メジャーで10年にわたりCEOを務めてきた。プーチン大統領と親密な仲であることも知られており、ロシアで着々とエクソンの権益を拡大してきたそうだ。従って、ロシア絡みの経験は豊富で、ロシアと太いパイプを持つそうだ。

 ティラーソン氏は2011年、ロシアの国営石油会社ロスネフチと歴史的な合弁事業の合意にこぎつけた。しかし、その合意は、2014年に始まった米政府の対ロ制裁の影響で停止に追い込まれた。ティラーソン氏とトランプ氏の関係は不明であるが、トランプ氏は対ソ制裁の解除を匂わせており、ティラーソン氏の新国務長官就任とも関係があるものと勘繰られる。

 トランプ氏は経済封鎖解除と引き換えに核兵器削減を進めるとの大義名分を掲げているが、どうもトランプ氏の対ロ政策は余りにもビジネスファーストを感ずる。ロシアと米国が経済を通して交流が深まり、仲良くできるに越したことは無いが、地球資源の独占が目的であるような気がしてならない。2017.01.21(犬賀 大好-305)