日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

都議会議員の責任を問う

2016年10月15日 09時14分54秒 | 日々雑感
 豊洲移転問題やオリンピック施設問題で大騒ぎの東京都議会は、13日閉会した。小池都知事は閉会後各会派を挨拶に訪れたとのことであるが、その対応で自民党の態度は就任時の挨拶時とは一変したとのことである。当初、敵対関係を予想していたが、友好ムードであったようだ。議長らの変わり身の早さは見事と言うより他ない。第1幕は小池氏の勝利だったと感ずる。

 就任後、初めてとなる都議会は先月28日に開会され、知事の所信表明を受けて今月4日には各会派による代表質問が行われた。都議会の各会派は、豊洲の建物下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、都の姿勢を厳しく追及すると表明した。しかし、一方的に都側に責任あるとし、都議会がこれまで何もしてこなかった点の反省の意を表した会派は無かった。

 お役人は自分の生活が懸かっているから、自分勝手に行動し、責任を問われるような行動はまずしないだろう。すなわち専門委員会の提言に反する、建物の下に地下空間を設けるとの発想をする筈がない。今回の不祥事も上の方からの ”神の声” があったに違いない。
都議会は行政の在り方を監視ししつつ、新たな仕組みや改善を提案するのが役目である。今頃になって厳しく追及するとは、逆に言えば議員はこれまで見て見ぬ振りをしてきたとしか思えない。更に言えば、”神の声” に従って盲目的に働く役人に全責任を負わせることを前提に、神様と一緒に甘い汁を吸ってきたと思わざるを得ない。特に最大会派の自民党の責任は大きい。

 自民党の高木啓幹事長は、小池知事が都政改革本部に多数の顧問を起用していることに触れ、「知事の側こそ、都議会や都民にとりブラックボックスになっているのではないか」と指摘した。確かに顧問は一般公募で選ばれていないが、名前は公表されているし、原則公開であるし、議事録も公開されている。新都知事に何か文句を付けておかなくてはならないとの、言葉遊びの感である。”神の声” の正体を暴く迫力は全く感じられない。

 また、知事の報酬半減問題に各会派がどのように対応するかが関心の的であった。4日の代表質問では、自民党から”知事の給与は審議会に諮問すべきだ”といった意見が出されたが、積極的な賛成や反対意見は避けた。本会議でこの条例が成立し、小池都知事は、大きな切り札を手にした。

 小池都知事は、先日政治塾「希望の塾」のホームページ(HP)を開設し、塾生の募集を始めた。今月30日に開塾式を開くそうだ。応募資格は日本国籍の18歳以上で「東京大改革の理念に賛同し、政治を学びたい方を幅広く募集する」としている。来年7月には都議の任期が満了となり選挙が行われる。これに向けて政治塾を小池新党に発展させる構想をちらつかせているとのことである。小池新党が出来れば、その公約は身を切る改革が筆頭に挙げられるだろう。都知事より高額の報酬を受ける現議員は来年の都議会選挙に対し立場が非常に苦しくなるだろう。小池新党が出来ないよう、これからの都議会において都知事の意向に、各会派は大きな抵抗が出来なくなったことであろう。

 小池氏は都知事選挙において、当選した場合都議会の即時解散を宣言したこともあったが、現在はトーンダウンしている。現時点で都議会の反発を食らったことには、何も先に進まなくなることを承知しているのであろう。しかし、当選前から都議会のブラックボックスを改革したいと感じていたに違いないが、多勢に無勢では何もできない。かって、青島元都知事が都市博の中止を議会の反対を押し切って断行したが、その後何も出来なくなった前例を勉強していたのであろう。

 豊洲移転問題では、取り敢えず都に全責任を負わせることにより、議会との波風を起こさず、結果自民党は小池都知事に擦り寄った。しかし、解決したわけではなく、いずれ議会との衝突は避けられないだろう。

 米国大統領選挙において、エスタブリシュメント(Establishment)との言葉をよく耳にする。既得権益と訳されているが、もっと広い意味であろう。すなわち、受験英語では、施設、設置などと訳されるが、ここでは確立された大きな組織や制度を示し、既得権益とはその一部に過ぎないだろう。

 小池知事の最終目的である東京大改造とは、まさにこのエスタブリシュメントの大改造であろう。今なお着地点が見出されていない豊洲移転問題を解決しただけでもその功績は大きいと思うが、エスタブリシュメントの大改革にはエベレスト並みの壁が立ちはだかる。今後の活躍を期待したい。2016.10.15(犬賀 大好-277)