世界銀行は今年1月6日公表した経済見通しで、2016年の世界経済の成長率見通しを引き下げた。主要新興国の成長鈍化と米国など先進国の低成長によって世界全体の経済活動が弱まるとの見方を示したのだ。その直接的な原因は、中国経済の低迷、原油安等挙げられているが、その根源には社会の成熟あるいは技術の低迷があると思う。
人類発祥以来、人々は各種の発明・発見を行い、生産技術を発展させてきたが、それでもわずか250年位前までは、ほとんどが人力によってなされていた。しかし、18世紀の後半の第1次産業革命では、水力や蒸気機関などによる機械化を進め、繊維産業等の軽工業が発展させた。19世紀末から20世紀初頭の第2次産業革命では、石油と電力の活用による大量生産を開始した。ライト兄弟が1903年に飛行機による有人動力飛行に世界で初めて成功し、フォードが1913年に自動車の大量生産を始めたのもこの時期である。
第2次世界大戦後の第3次産業革命では電子技術が主役であった。1949年のトランジスターの発明を契機に、トランジスターがIC(IntegratedCircuit)になり、LSI(LargeScale IC)となり、集積密度が飛躍的に上がり、それに伴い周辺の電子部品も小型化され、一方では電子機器を制御するソフトウエアの飛躍的な進歩があった。エネルギー源としては、それまでの水力、火力に加え原子力まで利用を始め、電子化による製品、生産設備システムの自動化 、は人々の生活を格段に便利にした。
生産技術を始めとする科学技術の発展のお蔭で、世界の人口は飛躍的に伸びた。 しかし、生産技術の面では人間個人の価値は相対的に低下して行った。すなわち、人間の肉体的な力は機械の力に益々敵わくなり、どんどん機械に置き換わって行った。
更なる生産技術の進歩が必要と、ドイツ政府は、2012年に第4次産業革命と呼ぶべき Industry 4.0プロジェクトを発足させ、2013年には約280億円の予算を割り当てた。インターネットと人工知能の本格的な導入によって、生産・供給システムの自動化、効率化を革命的に高めようとする試みであり、米国ではIndustrial Internet呼ばれているとのことだ。
これにより機械が自動的に機械を製造するようになると、画期的に産業構造は変わるであろうが、そのときには人間の必要性は大幅に減少する。力では必要なくなった人間が、頭脳の点でも必要が無くなって来るのだ。人間の飽くなき探究心もいよいよ考えに行き詰まり、人間の排除を考え出したと言うことだ。
この流れは文明論的には当然の流れかもしれない。わずか250年前までは人間が主役であったが、機械がどんどん人間に置き換わり、人間は脇に追いやられた。そして終には人間の存在価値は無くなってしまうのだ。約6500万年の人類の発祥から今日までほとんどが人間は主役であった。そして人間が脇役になったのは高が250年前であり、この分で行くと存在価値が無くなる将来も極めて近い将来かも知れない。
これまで経済の発展は生産技術の発展と一体であった。現在の世界の生産システムは世界の需要を賄うに十分である。人々の生活は豊かになり、これ以上欲しいものが見当たらなくなった。社会は成熟したのだ。必要は発明の母。成熟した社会では当然技術の停滞は起こる。
しかし、日本のみならず世界は相変わらず成長戦略を掲げ、景気浮上を模索する。現在は世界的に景気が悪いと言われている。原油の過剰供給による価格下落の為とか説明されるが、その裏には社会の成熟があるのだ。しかも、近い将来は人間不必要の社会が待ち受ける。技術者も人間排除は心外であろうが、その方向でしか考えることが出来無くなっているのだ。しかし、人間を必要しなくなった世界における経済の発展とはどのような状態であろうか。想像できない。
2016.03.02(犬賀 大好-212)
人類発祥以来、人々は各種の発明・発見を行い、生産技術を発展させてきたが、それでもわずか250年位前までは、ほとんどが人力によってなされていた。しかし、18世紀の後半の第1次産業革命では、水力や蒸気機関などによる機械化を進め、繊維産業等の軽工業が発展させた。19世紀末から20世紀初頭の第2次産業革命では、石油と電力の活用による大量生産を開始した。ライト兄弟が1903年に飛行機による有人動力飛行に世界で初めて成功し、フォードが1913年に自動車の大量生産を始めたのもこの時期である。
第2次世界大戦後の第3次産業革命では電子技術が主役であった。1949年のトランジスターの発明を契機に、トランジスターがIC(IntegratedCircuit)になり、LSI(LargeScale IC)となり、集積密度が飛躍的に上がり、それに伴い周辺の電子部品も小型化され、一方では電子機器を制御するソフトウエアの飛躍的な進歩があった。エネルギー源としては、それまでの水力、火力に加え原子力まで利用を始め、電子化による製品、生産設備システムの自動化 、は人々の生活を格段に便利にした。
生産技術を始めとする科学技術の発展のお蔭で、世界の人口は飛躍的に伸びた。 しかし、生産技術の面では人間個人の価値は相対的に低下して行った。すなわち、人間の肉体的な力は機械の力に益々敵わくなり、どんどん機械に置き換わって行った。
更なる生産技術の進歩が必要と、ドイツ政府は、2012年に第4次産業革命と呼ぶべき Industry 4.0プロジェクトを発足させ、2013年には約280億円の予算を割り当てた。インターネットと人工知能の本格的な導入によって、生産・供給システムの自動化、効率化を革命的に高めようとする試みであり、米国ではIndustrial Internet呼ばれているとのことだ。
これにより機械が自動的に機械を製造するようになると、画期的に産業構造は変わるであろうが、そのときには人間の必要性は大幅に減少する。力では必要なくなった人間が、頭脳の点でも必要が無くなって来るのだ。人間の飽くなき探究心もいよいよ考えに行き詰まり、人間の排除を考え出したと言うことだ。
この流れは文明論的には当然の流れかもしれない。わずか250年前までは人間が主役であったが、機械がどんどん人間に置き換わり、人間は脇に追いやられた。そして終には人間の存在価値は無くなってしまうのだ。約6500万年の人類の発祥から今日までほとんどが人間は主役であった。そして人間が脇役になったのは高が250年前であり、この分で行くと存在価値が無くなる将来も極めて近い将来かも知れない。
これまで経済の発展は生産技術の発展と一体であった。現在の世界の生産システムは世界の需要を賄うに十分である。人々の生活は豊かになり、これ以上欲しいものが見当たらなくなった。社会は成熟したのだ。必要は発明の母。成熟した社会では当然技術の停滞は起こる。
しかし、日本のみならず世界は相変わらず成長戦略を掲げ、景気浮上を模索する。現在は世界的に景気が悪いと言われている。原油の過剰供給による価格下落の為とか説明されるが、その裏には社会の成熟があるのだ。しかも、近い将来は人間不必要の社会が待ち受ける。技術者も人間排除は心外であろうが、その方向でしか考えることが出来無くなっているのだ。しかし、人間を必要しなくなった世界における経済の発展とはどのような状態であろうか。想像できない。
2016.03.02(犬賀 大好-212)