日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自民党のメディア戦略

2015年05月13日 10時06分06秒 | 日々雑感
 NHKの報道番組「クローズアップ現代」で取り上げた“出家詐欺”に関しやらせがあったと、報道各社ばかりか政府までこの時とばかりNHKのやらせを批判する。報道番組で人物をぼかしたり、モザイクかけたり、下半身のみを写したりすることは日常茶飯事である。これらを見ながらいつも「本当に本人か?」と思う。本人らしい人に証言させるのは、より本当の話らしく思わせる効果を狙ってのことであろうが、一方では本当に本人かの疑念を抱かせるのも事実である。本人が話しても、本人からの話を別人が話しても、内容が変わらなければ、別に気にするほどのことではないかも知れないが、本人でないと分かるとその内容まで嘘となってしまう。現に出家詐欺そのものが嘘との週刊誌の記事もある。
 報道とは事実を伝えるのが役目であろう。しかし、事実とは何かとなるとはたと考え込んでしまう。報道は人間が伝える。ある事象を見て、そこから感じとることは個人により異なる。言葉で表現しようとするとまた個人により異なる。更にそれを聴く人によっても、感じ方は異なる。一般国民はメディアを通してのみ世の中を知る。メディアの報道の仕方により、国民の向く方向が決まるから恐ろしい。
 最近、日本を訪れる観光客が爆発的に増加している。日本人でも余り知らない観光地を大勢の外国人が訪れて話題になることもある。外国メディアが取り上げたためだとのことである。メディアの影響がいかに大きいかの一例であるが、逆にこれらのメディアを上手に使うことが、世論を導く有効な手段と誰もが気づく。
 そこで自民党は、情報関連企業や広告会社の力を結集し、着実に情報戦略を進化させているとのことだ。例えばあるニュースキャスターがどんなコメントを付すか、そしてそれがどのように世論に影響するかを常に監視することは、金をかければ容易なことであろう。特にディジタル化されたメディアの世界においては簡単であろう。政権にとって都合の悪い報道を直接批判することは逆効果であることを十分承知している筈だ。そこで放送内容に関して詳しく聞きたいと呼びつける。そのこと事態が報道への介入であるが、それ位でびびるとはだらしないと開き直る。確かにその通りであるので、一理ある。これも一つの戦略であろう。
 ロシア経済は、欧米の経済制裁と原油安、ルーブルの急落により苦境にある。それでもプーチン大統領の支持率は、80%近くを維持しているとのことである。安倍政権の支持率50%強に比較し驚くべき値である。強いロシアを強調する大統領の魅力のなせる業かも知れないが、メディアに対する圧力の影響が一番大きいと感ずる。人間は自分の生活に直接影響する経済問題に一番関心があると思うから、通常こんな高支持率になるはずはない。
 憲法記念日当日の『報道ステーションサンデー』は、英国のロイヤルベビー誕生等の政治に関係の無い話題の後で、少しだけ「改憲」「護憲」を主張するグループが集会を開いたことを伝えた。この番組は、先日古賀茂明元通産官僚の発言に関し、自民党が事情聴取したことで有名である。事情聴取位でこうも変わるものかと驚きであるが、自民党のメディア戦略の効果が現れた一例であろう。(犬賀 大好-128)