日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

経済成長を期待できるか

2015年02月22日 14時33分35秒 | 日々雑感
 1月末の朝日新聞オピニオン欄に“経済成長を問い直す”の特集があった。テーマは、“この20年経済成長を追いかけても手に入らなかったが、そもそも経済成長を手に入れれば幸せになれるのか”のまことに当を得た設問であり、識者の意見が楽しみであったが、そこに満足できる回答はなかった。
 バブル経済が崩壊したのは、1991-1993年とほぼ20年前であるので、失われた20年とはバブル崩壊後の日本を指すのに間違いない。その間経済成長率は一時期5%に近い年もあったが、押しなべて±2%であった。バブル景気は1987-1990年頃と言われているが、確かに経済成長率は5%を超える年が何年か続き、日本国中好景気に浮かれた。東京を売れば米国が買えると言われた位、異常な状態であった。失われた20年と嘆く人は、異常なバブル景気の再来を夢見ているのであろうか。あるいは、戦後の高度経済期(1954-1973)の再現を夢見るのであろうか。
 失われた20年の間には6年間の長期に亘るいざなみ景気(2002.1-2008.2)もあった。技術革新に基づくデジタルテレビの普及や携帯電話の普及等もあったが、GDPの伸びは2%程度であった。いざなみ景気は、ゼロ金利政策に代表される金融緩和政策が主因であるそうだ。黒田日銀総裁は、これを見習い異次元の金融緩和政策により景気浮上を図ろうとしているのであろう。また、デジタル機器の普及は本来の経済成長に直結するはずであったが、たいした効果は無かったようである。
 今後、4Kテレビや3Dプリンタ等の普及や医療革命もかなり進むであろうが、携帯端末ほど国民一人ひとりに普及するものでないので、GDPがそれほど影響を受けるとは思われない。異次元の金融緩和政策も政府と日銀のコンビにより徹底されている。株価の高騰を招いていることは確からしいが、国民全体が幸せになったとの声は聞かれない。世論調査での政府の取り上げるべき課題の第1位は相変わらず経済政策であり、国民の不満は大きい。
 デジタル革命ほどの技術革新でも不十分で、未曾有の金融緩和でも効果ないとなれば、経済成長を何に期待できようか。しかも、購買に寄与する若者人口が減り続ける時代に、どうして経済成長を期待できるであろうか。
 日本大教授の水野和夫氏は、これまでのような技術革新に基づく経済成長は期待できず、「電子・金融空間」の中にしか望めないとの指摘は、まさにその通りと思うが、ではどうするかの処方箋が示されないのが不満である。この他の識者と言われている人は、相変わらず経済成長を夢見て、これ無くして幸せは無いとの論調である。真にがっかりである。(犬賀 大好-105)