森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

戦いの神、クーカイリモクの神像の行方

2020年02月04日 | 神話・伝説


昨日の続きで、今日はちょっとスピリチュアルなお話です。そういうお話を希望する声が、相変わらず強いようなので、書いてみました。不思議話…というより、神話本を書いていた時に学んだ、戦いの神クーの像にまつわる話なのですが…。

まず簡単に説明しますと、4大神の一人クーは、癒しや森の恵みにも関わる神でもあるのですが、一般には戦いの神との印象が強いですよね。

特にカメハメハ大王が崇拝していた戦いの神はクーカイリモクといい、カメハメハが戦場に赴く時は必ず、神官がその神像を掲げて続いたそうです。神像は戦場で雄叫びをあげ、その声は戦場に響き渡ったという、恐ろしい話があるそうです…。

クーカイリモクの神像はビショップ博物館に展示されており、それが冒頭の写真です。説明書きには、あたかもそこに展示されている羽毛のクーカイリモク像が、カメハメハ大王の守り神だった神像かのように書いてあるのですが…このほど違うことがわかりました。

というかその説明は単に「クーカイリモク」はカメハメハ大王の戦いの神だと書いているだけで、別にその羽毛の像のことを語っているわけではなかったのでしょう。私の大きな勘違い?

実際には羽毛でできたクーカイリモクの神像はいくつもあり、ハワイ王国7代目のカラカウア王によれば、カメハメハ大王所有の像は黄色い羽毛でできていたそう。元々はハワイ島の大酋長リロアの持ち物で、代々王家に伝わり、カメハメハ大王の手に収まったものです。

ですがその神像の最後は、やや悲しいものでした。カメハメハの死後、息子の2世や愛妃カアフマヌによって古来の宗教が全否定され、神殿や神像の破壊令が出た後のことです。

神像を守っていた神官は破壊の手を逃れるため、カヌーに乗せて神像を海に送り出したそうです。カヌーに神像と食べ物、アバ酒、タパ布などを乗せて、「タヒチにお帰りください」と言いながら…。その時、神官は泣いていたとか。

ちなみにこの場合のタヒチは仏領タヒチに限らず、海の果ての地という意味になります。ハワイアンの故郷とされる地ですね。

それが、人々に崇拝され、畏れられたクーカイリモク像の最後だったそう。何だかせつない話です…。

そんなわけで、ビショップ博物館の神像はカメハメハ大王所有のものではなかった…わけなのですが、神像破壊令を免れた大変貴重なものなのは確か。口には犬の歯がびっしりうめられているこの恐ろしい神像、ビショップ博物館にお出かけの際は、探してみてくださいね。





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