森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

カラカウア王の受難

2021年01月09日 | 歴史


一昨日の記事を書いていて、あれこれ思い出してしまいました…。リリウオカラニ女王の兄でありハワイ王国7代目の君主だった、カラカウア王のことを!

1893年に王国が倒れた時のことを書きましたが、その6年前の1887年。ハワイ史上悪名高い、銃剣憲法が成立しました。銃剣憲法とは日本語で聞きなれない言葉ですが、カラカウア王の権力をほぼ奪い去る新憲法が武力でカラカウア王に押しつけられたため、その名があります。詳しくはこちらをご覧くださいね。

しかも銃剣憲法成立の直前には、カラカウア王の右腕で首相だったウォルター・ギブソンが、恐ろしい目に合っています。カラカウア王に相反する武装集団に、拉致されたのです! ギブソンはアメリカ人ですが武装集団によって家から連行され、ホノルル港脇の建物に監禁されたのでした。

リリウオカラニ女王の自伝によれば、そこにはすでに絞首刑用の縄が吊るされていて、ある著名な宣教師の息子が先導して「吊るせ! 吊るせ! 吊るせ!」の大合唱が湧きあがったそうです。その無政府状態、先日の議事堂襲撃を思い出してしまいますね…。

結局、ギブソンは無理やりサンフランシスコ行きの船に乗せられ、命からがらホノルル港を出立。カラカウア王が銃剣憲法に署名したのは、まさにその翌日のことでした。

本当に、暴力が歴史を、そして政治を変える世の中は世紀末としか言いようがありません。さようなら、トランプ! 永遠に…。
(冒頭の写真:Photo Courtesy of Hawaii State Archives)
コメント (2)
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