接客応対が鳴りを潜め、悶々とする船長は心身枯渇。
急いで仕事を済ませて平日エイヤッ!と出かけました。
予報で風速6~7メートルとなってはいましたが
真冬のそれは心しなければならず、完全防寒、携帯食確保と怠りません。
「活」を入れるという心づもりあり。
年末正月新年会飽食に加え、膝の痛みでランブリング登山もままならず、
満身だらけ切っているので気合入れです。
「喝」。そう、修行僧のあれ。
海に向かって大声出したら気分イイかなぁ、潮風めいっぱい吸い込んで・・・
想いを込めた出航は、数分後には久しぶりの洋上と言う
ハンデらしき恐怖に引きつり、耳元で鳴るビョービョーという風に
「活・喝・渇」はぶっとびます。
しばくしてSailingらしくはなったものの30分後には足の先の感覚が無くなり、
寒さに肺も胃もすくんで口ずさむ歌も途切れ途切れ。
観念して見渡せば、俗に言う波頭が
“白ウサギたちの乱舞”と“白ヘビ軍団”、
空は青くも羽衣の如く薄絹を掃いたよう、
セールをきる風音はほら貝の如し、対岸の工場の煙は地を這っています。
波しぶきを全身に浴び、ティラー(舵)をガッシと握って「渇」を癒す相棒に
「カエロウ」と云う言葉は掛けられず1時間20分にわたる航海を終えました。
「活・喝」を入れられた己は、湯たんぽ抱えてドックハウスに身を横たえ
船中の人となります。
片や「渇」を満たした海男はセール補修、デッキ掃除等も満喫。
帰り際、新月雲も無い極寒の夜空にオリオンが厳しく光ってました。(R)