文中『歌島』と呼ばれる、“潮騒”の聖地、
鳥羽市神島を訪れました
標高170㍍周囲約4㌔、
450人足らずの島人を守る孤島
ここは日本の秘境100選として選ばれています
ホームポート蒲郡から約5時間
機帆走を繰り返し渥美火力沖を経て
本船行き交う“伊良湖水道”を渡ると目の前が神島の港
冬になれば西からの強風のため渡島不可能と聞かされ
勢いづいた今年最後のロングセーリング、神島初上陸です
正直なところ『三島文学』を解する才など持ち合わせてはいないので
海路を辿って行き着き尋ねることができるという、yacht友の誘いと
その可能性だけが気力の元だったと思います
この島は、多くの観光地に起きがちな客寄せのための
“見せんかな”や“いらっしゃい”を長く自重しているとか
入港時に見た双胴船以外、カモメ舞う湾内は長閑な漁港そのもの
それでも「来た人」は慎ましく迎えられている様に感じました
荒天時にはじっと耐え抜かんばかりに、狭い入り江に寄せ集まった住居
そこかしこを縫うようにめぐる通路は坂路や階段ばかり
2時間あまりの周遊さえ息遣い荒く、途中何度も休憩する体たらく
『潮騒』にまつわる碑や解説板が立つ先々で周りを眺めなおし
誰もがレンズを向けそうな建物や景色をデジカメにおさめ
誰しも堪能する海産物に舌鼓を打ち丸一日
選りすぐって島の時間を味わい尽くしました
水平線に眺めた島の夕暮れ朝焼け、
堤や岩場で群れながら毛繕いする鳥たち
日の当たる坂で孫を背負う姿、
頬かむりのおばさんが魚を干す磯浜
ここが“神に支配される島”と呼ばれるのは、
さほど不思議ではありません
潮の騒ぎこそ似つかわしい離島です (R)