まだうねりの残った台風一過の海の色は朝餉の味噌汁のよう。
時折りヒュルルゥーと威嚇するような風に、ジブセールが膨らみヒールする。
ティラーの操作が普段の3本指では敵わず、緊張から少し汗ばむ。
航路も時ならぬ風に押し流されていたため、
タックで進路を戻し間近に迫っていた陸の景色から遠ざかる。
ようやく風もおさまり、緊張も解けついウトウトしかけたころ
ふと波間に目を向けると「?」ぽかっぽかっと何かが見え隠れする。
たしかに海上に浮遊物が多いのだけれど、
流木や漂流物とは違うなにかが・・・と思ったとたん!
ザンブリザンブリと2頭のスナメリ(噂に聞いていたので多分そうだと思う)が
交互にヨットの後ろを付いてきているのが見えた。
急いでカメラをコックピットに取りに行き構えたけれど時すでに遅し・・・。
初お目見えの印象としては申し訳ないのだけれど、
目に焼きついているのは味噌汁に浮き沈みする黒銀の古タイヤ・・・
空模様も気になり始めたので姫島をぐるっと一周。
海岸では釣り人が竿を垂れ、『禁止』の標識の前で
大勢がバーベキューをしていた。
夕方幾隻かの大型船を見送りながら帰路に着く。(R)