ビジターバースには佳麗なる大型ヨット、100ft.の外来船が停泊中。
その姿を横目に見ながらエンジン快調に・・・
と思いきや、音ばかりでなぜか遅々として進まず、
チンタラ亀の如く出口にたどり着くも思った方向へ行かず、波と強風にあおられっぱなし。
Captainは首を捻りながらエンジンをふかし、
好転しそうもない状況に徐々に顔が引きつり始める。
ティラー(舵)を任されているこちらは訳も分からず、
ただ岸壁にぶつかりたくない一心で、足を突っ張り「帰らねばっ!」っと全身を強張らせながら操作。
未熟な船乗りたちをあざ笑うかのように波風は強まり、
どうやらエンジントラブル確定となった愛艇は、木の葉の如く波間をクルクル・・・。
マリーナにスクランブルを要請。
通りすがりのセール仲間が激励しつつ援護してくれる。
「おーい!だいじょうぶかぁ!」
「・・・だめ」
プロペラがスリップ状態で全然利いていなかったらしい。
もちろん修理を依頼し、ボートに抱き合わせられ空いてるバースへ一時帰還。
同じバースの仲間が放心状態を見かね、係留を手伝ってくれて漸く安堵。
兎にも角にもホッ。
落ち着いて船内を見渡すと、お弁当箱が落ちてひっくり返り、混ぜご飯仕様になっている。
足止めされた難民の気分で黙々とご飯を食べ、小一時間の恐怖体験の疲れから一眠り。
夕方、気分転換と厄落とし?をかね、知人に勧められたアクアトニックでヒト泳ぎする。
深層海水の塩辛さにたじろぎながらも心身をほぐし、長い半日の帰路に着く。(R)