霧雨

聴かせて欲しい

その言葉を聴いていたい

抱きしめられて

ここでなら泣いていいんだって
安心させて
甘えてもいいんだって
そうおもわせて

わかっていても、
訊いてしまう

面倒でも、大切にして欲しい

わかるだろう、なんて
なにも語らずにいないで

あなたの声は霧雨みたく
優しく降って
わたしのこころに沁みていくんだよ

無題

じぶんのなかの
あたらしい　きもち

いつもいつも曖昧で
輪郭をたどるたびに、違っていて
軽いのか重いのかもわからなくて

でも
あなたの姿を見た時に、
はっきりとわかった

わたしは、このひとのためになら
どんな辛いことも乗り越えていける

いままでの歴史の中にも
目の前に広がる景色の中にもなかった
はじめてのきもち
こんな自分にであったことはなかった


もう、ただの綿菓子みたいな想いじゃない
何度も何度もねじって
すりきれそうになるたびに、
強く、強く
結び直してきた

信念、のようなもの

かけら

あなたが出て行った部屋は


まだシーツがあたたかいままで
シャンプーの香りが残っている



わたしの、これから先の人生に
あなたはいない

あなたが残していったものが、ありすぎる


もう、あなたと出会う前のわたしにはもどれない
あなたはいないのに


あちこちに散らばった欠片をあつめても
もとにはもどらない


想いは燃え尽きぬまま
まだここに

幸福

ぎゅっとされると
もうなにもいらなくなる

今日の憂鬱も
明日の不安も
ふしぎ　消えてしまう

ぎゅっとすると
ちからが湧いてくる
きっと、だいじょうぶ　そう思える

こんなに
あなたでなきゃだめになってしまって
もうあなたに出会う前のわたしじゃない


いつもいつも
不器用なあなたが
精一杯の優しさで包んでくれる時
今まで味わったことのない幸福を
感じることができるの

夜

出会った頃よりも

傍にいた夏よりも

ずっと、ずっとあなたを愛している

その表情を、誰にも見せないで

いつも触れていたくなるその肌

あなたのために、なら
つらいことも我慢できる
明日も会えなくても、
泣かない


会えない日に、願って祈って
夜を数えることに　きっと意味がある

あなたのためだけに生きる日々でないことに
きっと意味がある


次会った時
ふたり強くなれていたら

曖昧

愛しているのに
見えなくなるのはなぜ
誰のせい？
愛しているのに
その気持ちに自信が持てなくなる

あなたに求めるものは
自分に足りないものだった

愛しているのに
確かにそうなのに

足下から不安が這い上がってきて
いつのまにかがんじがらめ
何度振り払ってここまで来ただろう

いつもいつも
あやふやな愛を
見つめようとしている気がする