ハッピーバースディー

「お誕生日、おめでとう」
その言葉で
まるで免罪符をもらったような
気持ちになるの

おおげさだねって笑ってたっけ

何度も言うよ
明日別れるふたりでも
出会えてよかったって
誇りを持って言える

ふいに泣きだしたくなる
桜の咲く頃
どうしてわたしたちは別れるんだろう？

一緒にいた時間
あなたはわたしに
いくつの免罪符をくれたろう
そのたびに生きる実感と自信をくれたね

だから、これから先だって
何回迷ってうちひしがれても　大丈夫
あなたのくれた言葉と
一緒の時間が
わたしを強くしてくれたからね

浄化

ただのひとひら

これはこうなんだよって
細胞のひとつひとつに
わからせるため

反芻して
身体をひとまわりして
外へ出てきた
この言葉が
わたし自身を浄化するのだ

誰とくらべて

あのことくらべて
なにを持っているから
幸せだとかそうじゃないとか

順調そのものの
あのこの人生に
わたしは嫉妬しているの？
上手に喜べなくなっている

あのこの持っているものと
わたしの持っているものと
最初から最後まで、違うなんて当たり前さ

手の届きそうな幸せが
目の前にあるとき
どうやら当分それにありつけなさそうなとき
余裕がなくなっている

なんだろう、
なんかショックだったんだ
それだけだよ

わたしが
あなたの幸せを願わないはずがないじゃないか

物理的な距離じゃなく
疎遠になる
寂しいと呟きながら
そうなることを望んでいる気がするの

よかん

やばい
胸がずきん　とするの

日常の何気ないヒトコマを切り取って
あなたの視点で見た風景
そんなものを見せられると

その気もないくせに
優しすぎるあなたはけっこう、罪深い

ちょっと優しくされて
舞い上がるわたしは、愚か者だ、ね？

なんでもない会話が
ひたすら楽しかったね
なんでもないメールが
ただ楽しかったね

だから、胸がずきんとするの
遠くにいるひとを
わたしは待てるでしょうか

扉

どうして、本当のことが言えなかったんだろう

嫌われたくなかったの

核心を隠したまま好かれようとするなんて
ムシが良すぎた

誰も入れない場所があって
きっとあなたは扉の前で
待っていてくれた

わたしはその扉を開けず
その存在すら隠そうとしたの

これ以上孤独は嫌だよ
泣いてたわたしの
扉の前であなたはずっと待っていてくれたのに


分けられるものがこの孤独だったのなら
見せてしまえばよかったのに

・・・今思えば

越えられない壁があるの？
それを作ってたの
あなたを何時間、扉の前で待たせていたろう