潔

長い間、自分を責めていたね

陥没したみちに水が流れ込むように
とても救いようがない

さよならもせず
いいわけもせず


　　おちる　おちる

風に吹かれひとひら舞い　おちる

あれほど待ち焦がれたのに

　　伸ばしてもつかめず


　おちる　おちる

それが常ならためらわない

おちて、きえる


　きえる　きえる


もう、あなたを解放する

同窓会

おとなには秘密のわたしたちの基地

あの日見たおそろしいほどの赤い月を憶えてる？

一緒に並んで歩いた帰り道

追いかけて走って

やり過ごして

大事にしたくてできなくて

歯がゆくてこそばゆくて

捕まえた瞬間
消えるのか死んでしまうのか


君は憶えていますか？

君の記憶と
わたしの中の記憶は重なりますか？

同じ思い出で笑える日がいつか来るかな？

桜

３年前の春

これほどの桜を見たことがなかった

上から見下ろしたことなんてある？

ふたりは無邪気だったから
「初めて見たね」と笑った

また春が来る

不意によみがえったあの春に
わたしはあの日からとりつかれている

ジェンガ

ずっとそばにいたのに

いつからか
同じ景色を見ながら
違うことを考え始めてた

同じ時間を生きながら
違う未来を描いてた

幼い約束はたとえ果たせなくたって
どっちのせいでもない

昨日まで、そばにいたはずなのに、

強固な結びつきになると思ってした
１００の約束は
ゆるり　ほどけた
誰が悪いせいでもない


どっちのせいでもない
誰も悪くない

積み重ねてバランスが悪くなって崩れただけさ

８バイト

ケータイの点滅するブルーを待っていた

はやくしてよ

また、夜がやってきて
不安が増幅して
わたしはベッドの中で泣くの

さよならが言えずに
今日まで引っ張ってきた気持ちだったけど
正解だったとは言えない


さよならの　たったひと言


ケータイの点滅するブルーを
ずっと、待っていたんだ
８バイトの文字を
長すぎるほど待っていたんだ

夜

ただの言葉なのに
それ以上の意味はないのに

勝手にこころが走りだしてる
浮かれすぎ　な夜

このままずうっと、とまらずにいたいと思ってしまう

朝になれば
やけに冷静なわたしが還ってきて
そしてわたし自身を笑うのかな

自分でもわかってるんだよ
妙にはしゃぎすぎなのは
普段しないことをしてるせい？


夜中、遊びまわって
歩きまわって


朝になれば、忘れる

忘れるから

本についてのメモ３０

宮部みゆき「取り残されて」
槇村さとる「イマジン・ノート」
貴志祐介「硝子のハンマー」
赤川次郎「ＰＯＩＳＯＮ」
「哀しい殺し屋の歌」「駆け落ちは死体とともに」
「消えた男の日記」「夜」「女学生」
「霧の夜にご用心」「さびしがり屋の死体」
「たとえば風が」「明日を殺さないで」
「裁きの終わった日」「ネガティブ」
永井するみ「防風林」
「唇の後に続くすべてのこと」
「天使などいない」
田口ランディ「縁切り神社」
真保裕一「ダイスをころがせ！」「誘拐の果実」

鋭角の空

ビルとビルで鋭角に切りとられた空は、
あおい

いつか見た海の色とおなじ

なにもかもを捨てて
こわいものがなくなるの？
少しは身軽になったのかな

なにもかもをなくしても
わたし自身は変わらないの？
少しは成長したかな


ふと、見上げた空が
降り積もった雪が
昔のように見れないとしても

すれちがい

誕生日０時に送信してくれた君と

それを翌朝受信したわたしと

たぶん、そのくらいの差がある

はかれないものを
はかろうとするから
苦しくて
愚かで
泣き出したくなってしまう

同じだと信じられたら、それだけで嬉しいのに


ひたすら夜中待ち続けたわたしと

ふいに約束もなしにあらわれる君と

そのくらいの差がある　わたしたちには

埋めようとも埋められず
その距離　この違い


し尽くせない、もどかしさ

shooting star

君の空に、
１００の星が　流れますように

その願いすべて　叶いますように