感傷

ふりかえると
なんだかとてつもなく遠くまで歩いてきてしまったような気がして
ほんの少し心細くなった

旅先で
見知らぬ湖の遊歩道を歩いて
景色は少しずつ変わっているのに
気づかず歩きすぎて
探しにきた両親の心配と安堵の混ざった顔

今はもう迎えには来てくれない

隣にいる人が変わり
住む街が変わり
仕事が変わり
愛する対象が変わり
季節が変わり

わたしはなにかを選んできただろうか
それとも流されてきただけ？

なるべく独占しないように
なるべく身軽でいられるように
トランクひとつに
わたしの人生なにもかも詰めこむことが出来たのならば

どうしようもなく懐かしいと思うのは
それだけ時間が経過したってこと

あと残りの時間はどのくらい？
わたしはなにを捨て
なにを護るだろうか