で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1015回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『フィッシュマンの涙』
イ・チャンドンが製作総指揮を務めた異色のファンタジー・ドラマ。
新薬の治験で副作用から不気味な魚人間になってしまった青年の悲哀を、社会風刺を織り交ぜつつユーモラスなタッチで描き出す。
監督(脚本も)は、長編デビューのクォン・オグァン。
物語。
真面目なフリーター青年パク・グは、高額の報酬につられて参加した新薬の治験で副作用を発症し、上半身が魚の姿になってしまう。
テレビ局の見習記者サンウォンは、そんな“魚男”の存在を暴き出し、製薬会社の不正を告発する。
その活躍によってサンウォンは念願の正式採用を勝ち取る一方、魚男パク・グも韓国の若者の就職難の象徴として、一躍、国民的スターとなってしまう。
出演。
イ・グァンスが、魚人間になるパク・グ。
まったく顔が見えないキャラに魂を入れています。
仮面が動くので、多少はその味わいもありますけどね。
イ・チョニが、TV記者になりたいサンウォン。
パク・ボヨンが、ジン。
チャン・グァンが、父親のパク・サンチョル。
イ・ビョンジュンが、ピョン博士(教授)。
キム・ヒウォンが、弁護士。
こういう記号的なキャラに面白みを与えてくれるのはさすが。
スタッフ。
製作総指揮は、チョン・テソン、イ・チャンドン。
撮影は、キム・テス。
少々、水を感じる色味と湿気のある画面がぬるってしてていいです。
音楽は、チョン・ヒョンス。
音はどこか乾いた感じ。
バイトでやった治験の薬の副作用で上半身が魚(半魚人)になってしまった男の寓話系社会派ブラックコメディ。
キモ可愛く、よくできた魚の造型とキャストのたたずまいが悲哀と可笑しみを引き出す。画と仕草がぐぁんと刺さる。記号のようで、巧くずらしたキャラ造形がリアリティを加える。
現代版『私は貝になりたい』であり、コメディ版『エレファントマン』でもある。
ルネ・マグリットの『共同発明』からのインスパイアだけあって、シュール・トラジディと呼びたい薬作。
おまけ。
原題(邦訳)は、『突然変異』。
英語題は、『COLLECTIVE INVENTION』。
『共同発明』の意味ですね。
インスパイア元のルネ・マグリットの絵画のタイトルです。
画家名と画のタイトルで画像検索すると出てきます。
実話で悲劇だった『エレファントマン』の寓話版として、発想した気もするのです。
上映時間は、92分。
製作国は、韓国。
映倫は、G。
キャッチコピーは、「さようならヒューマンたち」
これは、ダメ。
理由は、下のネタバレで書きますね。
中国では、『人魚姫』が特大ヒットになり、韓国の今作も評価が高く、アメリカでは、人魚コメディの『スプラッシュ』のリメイクが決まり(しかも、男に変更)、『リトル・マーメイド』の実写版も製作予定(主演が決まっていたクロエ・グレース・モレッツが降板したがプロジェクトは継続中)、DCのアメコミヒーローでも水棲人の『アクアマン』が活躍中で単独映画も待機中、と、映画界では、ひそかに半魚人ブームが来ている模様。
日本だと、水泳部もの(アニメ『FREE!』とドラマ&舞台化の『男水!』)が来ているから、その流れで行けるかしら。
被りもの主人公映画はすでに定着してきましたね。
アメコミ映画の影響ですかね。
あれは、逆にマスクの中も本人がやるようになり、CGで代用するようになったことで発展したとも言えますね。ある意味では、藤岡弘、仮面ライダーの時代に逆戻りってことですね。
そういえば、『ジャッジ・ドレッド』 (1995)で原作で絶対にマスクを脱がないキャラだったのに、シルベスター・スタローンが脱いで顔見せて、ファンからブーイングあったりしたんですよね。で、リメイクの『ジャッジ・ドレッド』(2012)では、カール・アーバンは一度も脱ぎませんでしたしね。
最近だと、マイケル・ファスベンダーの『FRANK -フランク- 』が話題になりましたけど、そもそもホラースターとはマスクのままでしたからね。ジェイソン・ボーヒーズ、マイケル・マイヤーズ、フレディ・クル-ガー(は火傷だけど)などなど。まぁ、主役かと言われれば微妙ですけどね。ダース・ベイダーとかもか。
それを逆手に取った、『スクリーム』シリーズはマスクがあれば、中身が変わってもいいことでシリーズ化させてましたしね。
そもそものそもそもで、『エレファントマン』 が覆いをとらないしね。
日本だと、ハンギョドンなんてのもいたっけ。
ややネタバレ。
エンディングは、『アメリ』の曲っぽいけど、オリジナル?
ポン・ジュノの『ほえる犬は噛まない』は原題が『フランダースの犬』だったので、エンディングテーマも『フランダースの犬』のものだったなぁ。
ネタバレ。
キャッチコピーは、エンディングの展開を説明しているので、イマイチ。
たまの『さよなら人類』へのパロディでもあるのだろうが、アイロニーがない。
おいらなら、「ボクは食い物?」を推したい。