で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2308回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『バービー』
完璧なバービーランドで毎日ハッピーに暮らしていた人形のバービーが綻びを見つけてしまうファンタジー玩具コメディ。
原題は、『BARBIE』。
『バービー』。
製作年:2023
製作国:アメリカ
上映時間:114分
映倫:G
配給:ワーナー・ブラザース映画
映画興行史上に残る超特大ヒットを記録し、女性監督による作品の最高記録も打ち立てた。
監督は、『レディ・バード』、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語:』のグレタ・ガーウィグ。
主演は、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』のマーゴット・ロビー。
共演は、ライアン・ゴズリング、アメリカ・フェレーラ。
物語。
現代、バービーランド。
人形のバービーは、ほかの完璧なバービーと、ケンと一緒に完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。
ある日、あるバービーの彼女の身体に異変が起こり始める。
バービーは原因を探るため、実は完璧ではないバービーランドのはみだしものの基を訪ねることに。
スタッフ。
監督:グレタ・ガーウィグ。
脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック
製作:デヴィッド・ハイマン、マーゴット・ロビー、トム・アカーリー、ロビー・ブレナー
製作総指揮:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック、イノン・クライツ、リチャード・ディクソン、マイケル・シャープ、ジョシー・マクナマラ、コートニー・ヴァレンティ、トビー・エメリッヒ、ケイト・アダムズ
撮影:ロドリゴ・プリエト
プロダクションデザイン:サラ・グリーンウッド
衣装デザイン:ジャクリーン・デュラン
編集:ニック・フーイ
音楽:マーク・ロンソン、アンドリュー・ワイアット
音楽監修:ジョージ・ドレイコリアス
出演。
マーゴット・ロビー (バービー)
ライアン・ゴズリング (ケン)
アメリカ・フェレーラ (グロリア/秘書)
アリアナ・グリーンブラット (サーシャ/娘)
ウィル・フェレル (マテル社CEO)
ケイト・マッキノン (バービー)
イッサ・レイ (バービー)
アレクサンドラ・シップ (バービー)
シム・リウ (ケン)
スコット・エヴァンズ (ケン)
キングズリー・ベン=アディル (ケン)
リー・パールマン (ルース)
マイケル・セラ (アラン)
ハリ・ネフ
エマ・マッキー
デュア・リパ
アナ・クルーズ・ケイネ
シャロン・ルーニー
エメラルド・フェネル
ンクーティ・ガトワ
ニコラ・コーグラン
リトゥ・アリヤ
コナー・スウィンデルズ
ジェイミー・デメトリウ
ジョン・シナ
ナレーション:ヘレン・ミレン
『バービー』を鑑賞。
ハッピーに暮らしていたバービーが綻びに震えるファンタジー・アドベンチャー・コメディ。
世界的ファッションドールの<バービー>をモチーフに風刺を効かせまくって映画ならではのぶっ飛んでいるのに地に足の着いたコメディになっている。
現在の男性優位社会を女性優位社会ひっくり返して見せて、おもちゃ映画にメッセージ性とエンターテインメントを両立させる離れ業を成し遂げた。
脚本が技あり。
絵本的作劇により、人形とそれに作られた人間の世界を並列に描いたり、二重のメタ(一つはナレーション=作者の言葉に収めているのが巧ミレン)の語りをするなど、ぶっ飛んでいながら、あくまで管制塔の制御の中にある。
監督(共同脚本)は、『レディ・バード』、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語:』のグレタ・ガーウィグ。共同脚本は、ノア・バームバック。
濃いめの映画作家だった二人に、娯楽にもアートにもフルスイングのマーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングの掛け算が見たことのない有娯楽アート映画を生み出した。
その二つの世界を渡ってきた個性がそのまま、バービーランドと人間界で語る構造に反映される。
記号的なのに複雑な人間模様を人形と映画で子供の自由な創作のように自由に。
そこにサブカル的に小ネタ満載(わからなくてもわかるネタを用意してにんまりさせる)にしつつ、ファストな現代に合わせて、素早い累積でお菓子のアソートパックのように。
定番展開を踏まえてからのひねり展開の段取りで螺旋階段のように。
それにより、バービーに詳しくなくても、それらの衝突の振動で揺さぶられる。
ユーモアと響くと愛で境を飛び越える。
問いストーリーな一本。
ネタバレ。
最後の言葉。
「シ・セ・プエド」(スペイン語)は、全米農場労働者連合のスローガン。
「はい、それは可能です」というような意味になるそう。
オバマ大統領のスローガン「イエス・ウィ・キャン」はここからとられたと言われている。
そして、バービー自体のキャッチコピーは、「ユー・キャン・ビー・エニシング(あなたはなんにだってなれる)」
バービーの生みの親であるルース・ハンドラーは詐欺罪でつかまったことがある。
娘のバーバラ・ハンドラーのニックネームがバービーだった。
ヘレン・ミレンのナレーションによる「Margot Robbie is not the actress to get this point across.(マーゴット・ロビーにいわれても説得力がない)」のメタのパンチ力。
セットを塗るのに、ピンク色の塗料を集めたら、アメリカでピンク色不足が起きた。