で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1534回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ザ・ファブル』
一年間、普通に暮らし、誰も殺してはならない、というボスの指令を忠実に守ろうとする凄腕の殺し屋に、次々と試練が襲いかかる痛快アクション・コメディ。
南勝久の大人気コミックスを原作に、「SP」「図書館戦争」の岡田准一が、一般人として普通の生活を送るという過酷なミッションに挑む伝説の殺し屋を演じ、迫力のアクションとともにコミカルに描く。
監督は、『ガチ星』、『めんたいぴりり』の江口カン。
物語。
どんな相手でも6秒以内に殺してしまう都市伝説とも言われている凄腕の殺し屋“ファブル”。
ある日、大仕事の後で、彼の育ての親でもある組織のボスに、世話係のヨウコと一年間の休養を命じられる。しかも、その間は決して人を殺してはならないとクギを刺される。
ボスには絶対服従のファブルは、佐藤アキラという偽名をもらい、ヨウコと兄妹のフリをして、大阪の街で一般人として暮らし始める。
情人とはかけ離れた生活をしてきたファブルに普通の暮らしは不慣れなことばかりで戸惑うが、真面目に一般社会に溶け込もうと奮闘する。
だが、世話になっているヤクザの組はどうにも不穏な空気。
原作は、南勝久 『ザ・ファブル』(講談社「ヤングマガジン」連載)。
脚本は、渡辺雄介。
出演。
岡田准一が、ファブル/佐藤明(アキラ)。
木村文乃が、佐藤ヨウコ。
佐藤浩市が、ボス。
南出凌嘉が、幼少期のファブル。
山本美月が、清水ミサキ(川村ミキ)。
佐藤二朗が、社長の田高田。
福士蒼汰が、フード。
木村了が、コード。
安田顕が、海老原。
柳楽優弥が、小島。
井之脇海が、黒塩(クロ)。
光石研が、真黒の会長の浜田。
向井理が、砂川。
加藤虎ノ介が、風間。
粟島瑞丸が、松沢。
好井まさおが、貝沼。
六角精児が、バー「バッファロー」マスター。
モロ師岡が、鉄板焼き屋「ちっち」店長。
倉本美津留が、古着屋店主。
藤原光博が、工場長。
藤森慎吾が、河合ユウキ。
宮川大輔が、ジャッカル富岡。
スタッフ。
製作は、大角正、今村司、藤島ジュリーK.、谷和男、有馬一昭、角田真敏、田中祐介、坪内弘樹、和田俊哉、
赤座弘一、大鹿紳、小櫻顕、毛利元夫。
エグゼクティブプロデューサーは、高橋敏弘、伊藤響。
プロデューサーは、宇高武志、佐藤満。
ラインプロデューサーは、毛利達也。
企画・プロデュースは、吉田繁暁、藤村直人。
キャスティングは、北田由利子。
助監督は、是安祐。
監督補は、西山太郎。
ファイトコレオグラファーは、アラン・フィグラルツ、岡田准一。
スクリプターは、吉田純子。
撮影は、田中一成。
照明は、三重野聖一郎。
VFXスーパーバイザーは、小坂一順。
美術は、小泉博康。
装飾は、高畠一朗。
ガンエフェクトは、納富貴久男。
スタイリストは、伊賀大介。
スタントコーディネーターは、富田稔。
ヘアメイクは、中山有紀。
録音は、反町憲人。
編集は、和田剛。
サウンドエフェクトは、北田雅也。
音楽は、グランドファンク。
音楽プロデューサーは、茂木英興。
主題歌は、レディー・ガガ 『ボーン・ディス・ウェイ』。
現代日本、凄腕の殺し屋が一年殺さず普通に暮らす任務についたら困難が降りかかるコメディ・スリラー・アクション。
漫画の実写化。きっと原作は面白いんだろうなぁ。
岡田准一のアクション案件。なので、アクションは日本としては楽しく見られるが、冒頭の大仕事とチンピラに絡まれたとき以外は普通。日本ではいいレベルなのだが。設定の見せ方が出来ていて、もうちょっと描けていたら、全然違っていたはず。
シナリオは雑さが残り普通。コメディはぬるいがこれが合う人もいるのだろう。編集のリズムがイマヒトツ。
キャストはそれぞれ味は出していて見ごたえある。木村文乃と山本美月は見どころ多め。だが、これまた設定がぬぬぬ。
無駄が多すぎる。
撮影も落ち着いているが魅力薄め。
音楽はいいのだが、音響バランスがもう一歩。これは日本映画全体の問題だが。
でも、普通を求める天才という図の面白さが群を抜ている。
寓話の意味のファブルさえ劇中で上手く使えていない挫作。
おまけ。
英語で書くと『THE FABLE』。
意味は、『寓話』、『作り話』、『都市伝説』。
上映時間は、123分。
製作国は、日本。
映倫は、G。
キャッチコピーは、「あなたの隣のちょっとヘンな人は、休業中の殺し屋かもしれない。“伝説の殺し屋”が挑む究極のミッション! 誰も殺さず、一般人として暮らせるか?!」。
『ヒットマンズレクイエム』、『ガンシャイ』、『ポイント・ブランク』、『隣のヒットマン』、『めぐり逢ったが運のつき』なども思い出した。
『ウィーアーリトルゾンビーズ』は音響バランスがよかったなぁ。
ややネタバレ。
原作未読だが、もっと食い込んだブラックな笑いになっているのだろうと思われる。
『散り椿』もそうだが、もう少しはじけた監督と脚本に岡田准一作品をやらせてあげて欲しい。
世界レベルになれる可能性だって十分あるのに。
イケメンヤクザにして、ジャニーズファンが来ても拒否反応が出ないようにしたのかしらね。
ネタバレ。
『Born This Way』のくっつけた感が酷い。
似たようなバトルを『RE:BORN リボーン』でもやってるんだよなぁ。
編集のカット尻がホント酷いのよね。間が悪い。灰皿で煙草を消すカットとかさぁ。
ヨウコの見せ方が原作を守り過ぎたのか、映画としては意味をなしてないのよね。最初はキャラ紹介だとしても、逃がし屋なら飲酒はダメだろう。クライマックスバトルではイヤモニしてても意味がほぼないし。あのイヤモニを隠したミサキちゃんに渡して、心配を取り除くとか。
そもそもほとんどなんの作戦もなく、いつもと違う条件だからヨウコも心配しているのに。そのまま突撃ってどういうことよ。銃を作るんだから、催涙ガスとかで戦力を落とす手をなぜ打たない。夜を舞台にして、明かりを消すとかさ。鍛えた目が暗闇でも見えるとか足してもいいじゃない。そしたら、あの星空のエピソード活きるよ。
一人一人丁寧に、結束バンドで動けなくしていくとかさ。で、「これは普通の反撃か?」とかヨウコに聞くとか。
一応、あの銃を隠し持ってるとか使い方はいくらであったはず。フードに「銃手作りなんだすげ」とか言わせておいて、その銃をフードが欲しがり、なんとか手に入れる。隠し持っていた持ち出し銃を取り出す。とっさにフードが撃つと手作り銃の限界で暴発、手をやられる。ファブルが「これはお守りなんだ」という。
これぐらいのアイディアは入れて欲しかったよ。
最初に、銃を持って行っている時点で指令破りをしているので、そこは重要なはず、上手く使わないと。
もうちょっとシナリオをきちんとして欲しかった。
『ガッチャマン』、『MONSTERZ モンスターズ』、『ジョーカー・ゲーム』と渡辺雄介作品はあんまり合わないんだよなぁ。テレビのはまだ見られるんだけど。
最後に、たとえば職場にいるファブルを見せて、誰もいない部屋にボスがいるのを見せ、ボスがラジカセに触るぐらいの情緒があってもよかったと思うのです。