副題;猿害の根本的解決に向けて
著者;和田 一雄
発行;農村漁村文化協会
1990年代頃から日本各地で猿による農作物の被害が激増しています。
いろいろな原因がありますが、1970年頃に全国で急増した人工林の影響が大きいと考えられています。
人工林ができた当初は木が小さいので、林床を覆った草木類や潅木の繁茂がサルの採食に有利に働きました。
しかし木が大きくなると日の当たらない地面付近の草木類はなくなり、採食できなくなります。
人工林のスギやヒノキは食物供給量が低いので、人工林が増えた分、食べ物がなくなったのです。
農作物に被害がでると、サルの駆除が行われます。
全国で1年間に駆除されるサルは1万頭を超えます。
しかし駆除しても被害が減らないのが難しいところで、駆除の数と農作物の被害額はなんと比例関係にあります。
抜本的な解決には農家・行政・サル専門家の連携がポイントになります。
連携がうまくいっている地域とそうでない地域との猿害の差は大きく、やりようによってはサルとヒトとの共生は可能かもしれません。
代表的なのが奈良県吉野郡十津川村です。
行政による学集会の開催、サルの誘引を起こさない栽培方法の指導、防御装置”猿落君”の開発・設置など積極的な対策が行われ、また農家の自主的な活動も盛んです。
日本は先進国で唯一ヒト以外の霊長類のいるところです。
(アメリカにはビッグフット、ロシアにはアルマス、カナダにはサスカッチがいますが、正式には確認されていないので...)
共生は難しいですが、お互いにとって最善の道が見つかることを願ってます。
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