書名 :アグルーカの行方
副書名 :129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極
著者名 :角幡唯介/著
要旨(BOOK):極地探検史上最大の謎、十九世紀に一二九人全員が行方を絶った英国のフランクリン探検隊。幻の北西航路発見を果たせず全滅したとされるが、アグルーカと呼ばれる生き残りがいた?人間の生と死をめぐる力強い物語。十九世紀、地図なき世界と戦い、還らなかった人々を追う、壮絶な一六〇〇キロ徒歩行。
エクストリーム系ノンフィクション・ライター 角幡唯介さんの新作です ♪
中国奥地のツアンポー渓谷や
ヒマラヤ山中に続いて
今回は北極海です。
レゾリュート湾からベイカー湖にいたる1600kmを徒歩で踏破する大冒険 !
特に前半のキングウィリアム島のジョアヘブンという集落までの1000kmは生物といえば最強の捕食獣・白熊しかいない無人の氷の海の上 !
19世紀 マゼラン海峡と喜望峰をスペインとポルトガルに押さえられていた世界情勢...
北回りでヨーロッパからアジアも目指す北西航路を開拓すべく果敢に北極海に挑んで...
でも 全滅してしまったイギリスのフランクリン隊...
1845年にイギリスを出発し、途中のビーチェイ島で越冬し、氷が解けたので突撃するも...
1846年9月12日から氷に閉じ込められ、1948年4月22日にキングウィリアム島の北西沖で船を放棄するはめに...
しかも 隊長のジョン・フランクリン卿は、1947年6月11日に既に死んでいました...
で
副官フランシス・クロージャー大佐がリーダーとなり南のカナダ本土に向かう地獄の行軍が始まります...
バタバタと死んでいく隊員たち...
ちゃんとした記録がないので、その経緯は謎だらけですが...
1850年春キングウィリアム島のワシントン湾で白人40人の集団がアザラシ猟のイヌイットに目撃されます。
その集団のリーダーは自分のことをイヌイット語で「大股で歩く男」を意味する アグルーカ と名乗ります。
かれらフランクリン隊の最後に生き残った何人かの男たちが向かったとされる北米大陸のツンドラ地帯
「私が見たかったのは彼らが消えたその風景だった。」
角幡唯介さんはフランクリン隊が通ったその地獄の行軍ルートを60日分の食料を積んだソリを引いて徒歩で旅しました。
寒いと体は予想以上にエネルギーを消費し...1日に5000キロカロリーを摂取してもどんどん痩せていく...
予想外の乱氷に閉じ込められて本当に命がけな旅を、その現地ですることにより...
謎の多いフランクリン隊全滅の全貌が少しずつ解明されていきます。
当時は科学力もそえなりに進んでて、極地探検でも死人がそんなに出ない状況だったのに、なぜ129人もの大量死になったのか?
なぜ不毛のツンドラ地帯を目指したのか?
最初から最後までスリリングな読書時間を味わえます ♪