書名 :もうすぐ絶滅するという紙の書物について
著者名 :ウンベルト・エーコ/著 , ジャン=クロード・カリエール/著 , 工藤妙子/訳
要旨(BOOK):紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?書物の歴史が直面している大きな転機について、博覧強記の老練愛書家が縦横無尽に語り合う。
著者紹介:
【エーコ】1932年生まれ。イタリアの中世学者、記号学者、哲学者、文芸批評家、小説家。ボローニャ大学人文科学部長を務める。邦訳された主な著作に「フーコーの振り子」など。
【カリエール】1931年生まれ。フランスの作家、劇作家、脚本家。ルイス・ブニュエル作品の脚本家として知られ、手がけた脚本は80余、主な脚本に「ブリキの太鼓」「存在の耐えられない軽さ」があり、大島渚監督作品「マックス、モン・アムール」の脚本も担当。
469ページの間、この二人の本についての対談が延々と続きます。
マニアックな著作や、著名な作者の裏話や、本業界のあれこれ
などなど...
でかいハードカバーなのに469ページとかなり長いですが、ぜんぜん飽きません。
ヨーロッパの本の文化の歴史はすさまじく深い...
ことを実感できます。
本好きにはたまりません ♪
でも紙&皮製本の話で盛り上がって、電子本に関する内容がほとんどないような気がしますが...
題名がこんななわりには、この二人は本の将来をまったく心配していないような...
この二人は古書蒐集家としても有名で インキュナビュラ (1455年のグーテンベルグ聖書印刷~1500年12月31日の夜までに印刷された本のこと。約4万版が刊行された。)なんてものまで持ってるそうです。
古書もなんか面白そう ♪
すると
タイミングよく、こんなのも出版されてましたので読みました。
書名 :古書修復の愉しみ
著者名 :アニー・トレメル・ウィルコックス/著 , 市川恵里/訳
原書名 :A degree of mastery./の翻訳
要旨(BOOK):触れただけでぼろぼろと崩れそうな古くて貴重な書物を丹念に修復してゆく。手仕事の技を学ぶ愉しみ、実践する喜びをいきいきと描く。
著者紹介(NS):【ウィルコックス】アイオワ大学で英文学を学ぶ。アイオワ大学中央図書館保存修復部で貴重書の修復を手がけていた高名な製本家・書籍修復家ウィリアム・アンソニーに女性として初めて弟子入りした経験をもとに本書を執筆。
古書修復・保存という分野は実質的に1966年のイタリア、フィレンツェの大水害のときに誕生したそうです。
このあたりにもヨーロッパ文化のDEEPな香りが...
紙を洗浄したり、崩壊しつつある本をピンセットなどを使い精密につなぎ合わせる等の工程は、失敗が許されないので実に過酷...
時代ごとに製法が違うので、対処法も千差万別...
本は時代が進むにつれ、どんどん品質低下しており、寿命もどんどん短くなっているようです。
特にゼラチンによる滲み止め処理が明礬にかわってから、紙は大幅に酸性化し...
紙の短繊維化や作りのもろさなど(昔は糸でページを縫い上げた)も加わり、もうたいへんだそうです。
なので
古書はその新旧を問わず、同時に全崩壊に向かい加速しているそうです。
時間との戦い...
古書については あと こんなのもあります。
書名 :死の蔵書
著者名 :ジョン・ダニング/著 , 宮脇孝雄/訳
原書名 :Booked to die.
要旨(BOOK):十セントの古本の山から、数百ドルの値打ちの本を探しだす―そんな腕利きの“古本掘出し屋”が何者かに殺された。捜査に当たった刑事のクリフは、被害者の蔵書に莫大な価値があることを知る。貧乏だったはずなのに、いったいどこから。さらに、その男が掘出し屋を廃業すると宣言していた事実も判明し…古書に関して博覧強記を誇る刑事が、稀覯本取引に絡む殺人を追う。すべての本好きに捧げるネロ・ウルフ賞受賞作。
古書が主役のミステリ本 ♪
シリーズ5作目まで翻訳されてます。
アメリカが舞台なので、古書といっても100年くらい前のアメリカ作家の名作本がメインですが、名が知られている本や作家の意外な事実やウンチクが盛りだくさんで、全巻読んでます ♪
でも作中に紹介された本も読みたくなるので、図書館で借りる本が膨大な数になり たいへん...