卒業証書を捨てよ

新年度が始まって早１か月。４月当初は、いかにも新入社員でございますといった風の若者が、おそらく新人研修なのだろう、着なれないスーツに身を包み、先輩社員に引き連れられながら、集団で歩いているのを事務所近辺でよく見かけた。
業界誌を見ていると面白い記事を見つけた。「卒業証書を捨てよ」という新入社員に対するメッセージである。これは出光興産の創始者・出光佐三氏の言葉らしい。
・学校は理屈や理論で簡単に割り切れるところだが、実社会、人間社会はそうはいかない。
・もっと複雑で人間の感情や色々な人の利害がからみあっていることが多い。
・まずは謙虚になって、人の話を良く聞き、その上で行動し、また考え、そして再び行動することが必要。
・実社会における諸問題は、受験勉強のように一つに定まる明確な回答はない。
・仕事は、まず小さなことを一つずつ大切に、徹底して取り組むべきもの。
・卒業証書をいくら振りかざしても仕事はできない。
というような趣旨。
なるほどその通り。学歴なんて所詮、「１８歳～２０歳のときに、試験で良い点を取るための知識やテクニックが備わっていた証」。そんなものが長い人生でいつまでも通用するものではない。
それを「卒業証書を捨てよ」というインパクトのあるフレーズに集約できるところが“海賊と呼ばれた男”出光佐三氏の素晴らしさである。