物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

「三洋電機買収される」の巻

2008年11月05日 | Weblog
 パナソニックの三洋電機買収のニュースを見ると、買収する側のパナソニックよりもむしろ、買収される側の三洋電機を主体に考えてしまう。
 メディアでの報道に加え、自分自身も少しだけ内情を聞いていたのだが、ここ数年三洋電機は相当迷走していた。
・経営難の中、次世代リーダー候補として学卒エリート社員をキャリア採用し、選抜的な人材育成をして失敗したり(私の知人もその一人として中央官僚から転職したが、古参社員の風当たりも強く、結局2年ほどで大手自動車会社へ再就職してしまった)、
・あろうことか経営者としては全くのド素人の野中ともよを最高経営責任者に据えて粉飾決算疑惑で退任に追い込まれたり、
・中国ハイアール社商品の輸入合弁会社を解散し販売提携を解消したり、
・突然、幹部クラスは一人200万円分以上、一般社員は20万円分以上(ちょっと数字はうろ覚えだが)の自社製品の直販ノルマを課せられたり(私もその時、前述の知人から頼まれ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機すべてSANYOブランドに買い換えた)、
 というような出来事が次々とあった。そんなわけで(ああ、ついにこうなってしまったかぁ~!)という気持ちである。
 パナソニックは、三洋電機買収後も当面SANYOブランドを維持、雇用も確保すると発表したが、今後どれだけ合併効果を出せるのか。もともと日本の総合電機メーカーの利益率は軒並み低い。神戸大学の三品和広教授は、「これだけ商品開発やコスト削減に努め、生産現場を合理化しても、営業利益率が3%くらいしかない日本の総合電機メーカーはすべて『戦略不全』に陥っていると言うしかない。」とおっしゃっていたが、これは業界の構造上仕方がないことだと思う。サプライヤーは共通、商品も多くの分野で似たり寄ったり、リテイラーも大手家電量販店などは基本的に特定のブランドに偏らず、メーカーの競争を煽り立てる。TVゲーム機のように機能での差別化を図れる余地はあまりなく、自動車のようにデザインやフォルム、ステイタスで付加価値を付けることもできない。もともと両社は事業領域も相当被っている所がある。グローバル・マーケットまで見据えた今後の新生パナソニックの舵取りは相当難しいだろう。
 先日、漫画『社長 島耕作』で、松下電器がモデルとなっている「初芝電産」が、今後の世界戦略を見据えて、三洋がモデルとなっている“ように思われる”「五洋電機」を買収して、島耕作が社長に就任した。もちろんパナソニックや三洋の幹部が本ストーリーを元に今回のM&Aへと動いていったのではないだろうが、現実がフィクションを完全に“後追い”しているところが何とも皮肉な話である。
 もうこうなったら今後のパナソニックの経営戦略は弘兼憲史が描くしかないぞ。
コメント (3)
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